第32話 夏の合宿 怖い先輩

選手達は午前の練習に向けて朝のウォーミングアップをしていた。

一輝「は!は!」

ひたすらダミーにタックルをする一輝。

岡本先輩「踏み込みが甘い、もっと低くタックルしろ」

一輝「はい!岡本先輩!!」


岡本先輩「よし、次は俺にタックルしてみろ」

一輝「はい!!!」

一輝「行きます!先輩!!」

一輝は勢いよく岡本先輩にタックルをした。

しかし、倒せなかった。

岡本先輩「まだまだ甘いよ、俺がお手本を見せてやる。しっかり耐えろよ」

一輝「はい!!!」


岡本先輩が一輝に向かって走り込んだ。

そして一瞬のうちに視界から消えた。

一輝の心の声「え、どこに」

次の瞬間に仰向けに倒れていた。

一輝「いてて、先輩!ありがとうございます!」

岡本先輩「おう、こんな感じにやってみて」

一輝「はい!それにしても一瞬で消えてタックルに入られたの初めてです!凄いです!先輩!」

岡本「コツがあってな、相手との距離が肩幅くらいになったら足を深く前に踏み込むんだ。そして腰を低くして姿勢は真っ直ぐ、そして全体重を肩に集中して真っ直ぐの柱をイメージする。」

一輝「なんだか難しいですけど、頑張ってみます!」


進藤コーチ「みんなそこまでーーー!!ではこれから練習試合に向けて本番同様のスタメンで試合形式を行います。監督に呼ばれた選手は監督の元にくるように、余ったら私の元にきなさい。」

ガラガラの野太い声で「1番、守道!2番、荒巻!...」

次々とメンバーが呼ばれた。

監督「6番、獅々田!7番!岡本!」

2年と1年が「おおー」とざわついた。

監督「15番、志免島!リザーブ、飯野、笠元、金井、羽宮、城戸兄弟!以上だ」

それぞれが分かれた。


一輝「やっぱ岡本先輩凄すぎ」

敦「いやいや、他の2年生もリザーブで凄いよ」

それから選手たちはそれぞれのポジションの練習をして試合に臨んだ。

一輝「敦君凄いよ!メンバーに選ばれたね!」

敦「ああ、正直勝てる気がしないけど貴重な体験さ。頑張るよ」

一輝「うん!頑張って!!」

そうこうしてるうちに試合が始まった。


一輝はリザーブでお水の準備をしたりタックルの練習をしていた。

伊沼「よお、一輝。あぶられた同士がんばろうぜ」

一輝「よせよー、呼ばれるかもしれないだろ~」

すると横から「お前みたいなのが呼ばれるわけないだろ」

そこにいたのは2年リザーブの島崎先輩だった。

島崎先輩「おまえ、きいたぞー?あの種美先輩にやらかしたんだってな。ぷぷぷ。しかも水もろくにつがないし気が利かなすぎなんだよ」

一輝「す、すいません」

島崎先輩「謝っても許されねーよバーカ。今日のお昼で全員につげ?いいな?」

一輝「な、なるべく努力します...」

また横から3年リザーブの飯野先輩がつっかかってきた。

飯野先輩「そうだぞ、みんなにつげよ?特に種美先輩にはな?」


伊沼「あわわわ、どうしよう....丸山が...」

島崎先輩「なるべくじゃねーよ、必ずな!!この野郎。」

飯野先輩「あんま調子のってっと絞めるぞこら」

一輝「ご、ごめんなさい。必ずつげます。」

2人はニタニタしながら去っていった。

伊沼「だ、大丈夫か?」

一輝「うん、平気。慣れているから」


じっと一輝を見つめる宇佐美の姿があった。

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