第28話 夏の合宿 午後練習前

部員たちは、午前練習を終えてお昼の準備に向かった。

先輩方はシャワーを浴びて食堂に待機。

一年生はせっせと食事の準備をした。

遠藤「これどんどん運んでー、フォワード陣は飯多めにバックスは少なめになー」

遠藤 真瑠は一年生の中でリーダー的存在でその類稀な身体能力で15番(フルバック)を任されるほど。


敦たち「へいへーい」

遠藤「おい、須藤(敦)たち、ちゃんと運べ。朝の件忘れてないだろうな」

敦「わってるよ、俺達が遅れて大変申し訳ご味噌ってんだ」

遠藤「ふざけてないで運べ!」

先輩達がゾロゾロ食堂に入ってきた。

一年生達はキャプテンやいい先輩に好かれるために椅子を引いてお出迎えした。


遠藤は、志免島先輩(15番)の椅子を。敦は虔柁「けんだ」先輩(8番)の椅子をそれぞれ引いた。

好かれるために必死である。

しかし、一輝達は特に憧れの先輩は居なかったので棒立ちで会った。

種美先輩(嫌な奴)「おい、一年。俺の椅子はどうした?そこのまる...なんていったっけ?とにかくこい」

一輝「丸山です。ただいま椅子を引かせて頂きます。」


種美先輩が座るタイミングで椅子を後ろに引いた。

すると種美は後ろに激しく横転した。

周りがクスクスと笑いがこみ上げる。

一輝「す、すいません!!椅子を引きすぎました!!」

種美先輩「テメーーわざとか!」

一輝「ち、違います!!ほんとに座る位置を確認してずらそうとして!」

種美先輩「うるせー、てめー後で部屋に...」

周りがしんっと静かになった。


食堂の扉のガラス越しにサングラスをかけた背が小さいけど圧倒的な存在を誇る人の姿が...

ガチャッ

一瞬凍った。

がらがらの野太い声で「そこで倒れてなにしてる?」

種美先輩「すいません!すぐに戻ります!くっそぅ、丸山の奴....」

コーチもソロっと後ろから入ってきた。

マネージャーもずらずらと入り席に着いた。


そしてキャプテンが凍った空気に明るい声で食事前の挨拶をした。

村雨キャプテン「それでは頂きます」

黙々と選手達が食事を食べた。

私語が一切なく緊迫の雰囲気だった。

一輝「うわぁ、種美先輩に睨まれてる...」

敦「おまえやっぱバカだな...クスクス」

一輝「うるせーー、練習の時覚えてろ...」

選手達が食事を終えてきた。

全員が食べ終わった時にキャプテンからごちそうさまの挨拶が行われた。


一年生は食べ終わったお皿を綺麗に片付けて食器を洗う職員に渡した。

しばらく一時間ほどの小休憩を挟み練習に備えて準備した。

一輝は種美先輩から夜に部屋にこいと脅された。

そんな中で準備をしてグランドに向かった。

荷物を運び丁度試合ボードがあったので確認をした。

一輝「げ、種美先輩と一緒だ...」

敦「はい、おっつーーー」

一輝「でも、守道先輩(1番)と一緒だ。守って貰お...それに岡本先輩もいる」


敦「ばーか、守って貰えるわけねーだろ」

一輝「いや、意外と守ってくれるよ。」

敦「どこからその自信がある笑」

一輝「そう思ったっていいじゃないか...」

敦「そうか、まぁ今回は一緒じゃないけどなんかあったら言えよ。」

一輝「うん...」



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