〈私は、お母さんに嫌われている。〉[私は、娘に嫌われている。]

春さん

ふたりは、それぞれすれ違いをしている。

わたしのにちじょう。


私の名前は千代ちよ鈴波すずなみ千代ちよ



お母さんは、私を嫌っている。







「なにをやっているの。さっさとこっちに来なさい」

お母さんがため息をつく。

「ごめんなさい、お母さん」

私は、下を向いた。

「大丈夫って言っているでしょう。…そこに立ち止まってないで、早く来なさい」

「……うん」


お母さんを見ていれば、私を嫌っていることなんか一瞬でわかる。






こっちを見をともしないお母さん。

『なにをしているの?千代』




"それ"以外のことに目を向けているお母さん。

『"   "ったら、もう』





そして、"外"では完璧なお母さん。

『気をつけて行ってくるのよ?』




──その顔は、貼り付けたような笑みをしている。




私のお母さんは、一度も私の目を見てくれたことがない。

それ以外の人の目は絶対に見ているのに。

私だけ、見ようともしてくれない。



それは、そうだ。

だって私達は──















“フツウ”の親子では………ないのだから。







"あの家"の……そして"あの人"の奴隷だから。 




私も、お母さんも。


__________________

あとがき。


始まりましたふたりのすれ違いが。

さて。次回、お母さん視点を視ていきましょう。


そして、“フツウ”の親子ではない、とは?


一体なんでしょうねぇ。

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