第11話 お勉強開始です……!


案内された勉強をする部屋に入れば促されるまま椅子に座り目の前に積まれた本を私は瞬きしながら見つめた。


「えっと……これは……?」


「この国の歴史についての物になります。」


「こ……こんなに……」


「それにこの国付近の国家の歴史についても勉強して頂きます。」


「は……はい」


「ではまずはこの国についてですが……」


アイルさんは本を片手に開きながらこの国について教えてくれた。このトロプフェン王国は豊かな水と貿易のおかげで水の国と呼ばれていること。そしてこの国の聖女は私が数百年ぶりの聖女だということ。



「我がトロプフェン王国は初代国王の類まれなる話術のおかげで付近の国家、そして大陸を超えた国からも貿易船がやってくるようになりました。」


「……な……なるほど……」


「では次に隣国 炎の国プラーミア共和国についてですが……現在はトロプフェン王国と均衡状態にあります」


「えっと……つまりいつ戦争になるか分からない……という事ですか?」


「えぇ。さすが聖女様その通りでございます」


隣国 プラーミア共和国。通称炎の国……話を聞くとトロプフェン王国の国王……つまりお父様と隣国の国王に亀裂が入りいつ戦争が始まるか分からないのだとか。


「そしてその炎の国の聖女ですが名をフレヤ。彼女は聖女様とは逆に炎の魔法がお得意だと聞いています」



「……そうなんですね」



「聖女様?どうかされましたか?」



「……いえ。なんでもありません……他国の事も教えてください」


私はにこりと笑みを浮かべながら言った。【いつか戦争になるかもしれない】。その言葉が私に重くのしかかった。もし戦争になったら……私はどうすればいいのか。その事を聞けずに今日の勉強はあっという間に終わった。

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