エピソード21 HOPPER  VS EAGLE攻防戦六

 小刀を頭に向けて投げられ絶体絶命な工義。

 このままリヒトは死んでしまうのか…


 と思ったその時

 小刀が頭に向けて投げられたものにクナイが飛んできてはじいた。

 すると浮遊バイクに乗ってここまで駆け付けたのは桜一文字だった。


「何とか間に合ったようだな。工義殿は殺させはしない!」


 と言い捨てて浮遊バイクは戦闘モードへと変形する。


「ロックオン。放て!」


 六方向の発射口から特殊ミサイルがクロウに対して発射された。


「なんだと!?」


 そのミサイル攻撃の対処のうちに倒れている工義を救出し、ちゃんと落ちないように工義を固定し、更にバイクを自動運転にして先に和也達の元へ向かうように設定し向かわせた。

 桜一文字は撤退戦として攻撃を加え時間を稼ぐ。

 狙い通りミサイルの対処と予期せぬ助っ人に動揺したクロウは完全に場の空気をクロウからHOPPERメンバー達に流れた。

 ダメージを受けて桜一文字が助っ人に来てくれたことで気が緩み工義は浮遊バイクに乗りながら気絶した。

 それから少しして和也達の前に着く。

 浮遊バイクの荷物の入った収納部分から運ぶ予定だった兵器や物を兵士達が急いで降ろす。

 それをしている間和也は工義の状態の確認していた。


(これはダメージは大きいが恐らく本人自体にはそんなに損傷も無い。このベルト能力なら大体一時間で戦闘復帰するまで回復するだろう。今は気を失っているだけだし脈にも異常はない。後の問題はどのくらいの時間で対策の手を習得するかか…。そればっかりは工義自身に賭けるしかないか。工義がここに戻るまで命がけで時間をかけるしかないな。)


 と和也は工義の様態を見て今後を考えそして自分のやる事を決めた。


 その頃桜一文字とクロウは…


「これでも食らってなさい!」


 と怒涛の武器での攻撃を繰り広げていた。


「鬱陶しい…。」


「そろそろ時間は十分だろう。最後の攻撃食らえ。ターゲットロックオンHOPPER製の現存一個の最大火力の爆弾を貰って大人しくしていろ!」


 と思いっきりクロウに向けて投げた。


 その間に急いで和也達の元へ向かう桜一文字。


 それを見て追いかけようとするクロウしかしその時、クロウのインスティンクトのタイムリミットを迎えてしまった。

 姿が元に戻ると同時に今まで交わしていた三発の追跡弾と桜一文字が投げて行った追尾型爆弾が反動で動行けなくなったクロウに直撃した。


 辺りを激しい爆発が襲う。


 何とかギリギリ爆発に巻き込まれず和也やほかの兵士達や浮遊バイクがある場所に辿り着いた。


「やっぱり病み上がりにはキツイな。まぁ、当たったのだろう。検証通りの爆発音と範囲だったしな。これで暫くは時間が稼げるか運が良ければ死んでくれるとありがたんだがな。」

「御苦労だったな桜一文字。」

「お安い御用だ。なんせ彼には色々と助けられたしな。それと光から預かって来た。和也殿の愛用のバトルスーツの強化とメンテナンスが終わったから持って行けと頼まれていたのだ。」


 と言うと浮遊バイクのボタンを押しすると変形して名から出て来たのはバトルスーツ一式だった。


「暫くこの戦場の戦士は任せたぞ。和也殿。」

「あぁ。そっちこそ、工義の事を頼む。」

「勿論だ。私の命に代えても無事に基地に連れて帰ると約束しよう。」

「覚悟は良いが自分の命も大事にな。」

「そいうものか。善処しよう。」


 とやり取りと物資の受け取りと工義の救出を終えた桜一文字は乗って来たHOPPER製の多様性オリジナルビークルの浮遊バイクモードで入って来た場所から脱出する算段でEAGLE基地内からHOPPER基地に帰って行った。


「よし、お前達!ここからは持久戦だ。俺達の今の最大目標は時間を稼ぐ事だ。その他敵の始末、戦闘、基地内にいる人間の把握はやれるならやるもしくは避けられない場合は行う極力はリヒトの戻ってくるまで全滅しない事が最も重要だ。出来ればお前達を誰も失いたくはない。幸いな事が一つあるとすれば絶望的な状況とは言えない現状にある。もしかしたらこれからが俺達の正念場だ。これまでリヒトが誕生してからは前ほど俺達は己の立場を全うしていなかった。今こそ、リヒトよりも長い間、EAGLEと戦ってきた戦士としての意地をここで見せよう!皆!」


 と現場の兵士達に作戦と叱咤激励をした和也。


 正式入り口方向にて


 キメラ生命体【スクワロル】とHOPPER兵士達は作戦や能力や連携の畳合いで長期戦に疲弊したりHOPPER兵士の中には負傷者はでながらも戦闘は継続していた。


 地下通路方向にて


 柏木元輝が指揮と戦闘の中心を担い他の兵士達がHOPPER製の武器を用いてキメラ生命体【モンキー】とそれなりに渡り合って戦いが続いていた。


 その二チームに和也から通信が入る。


「こちら幹部室前の和也だ。黙って報告とこれからの動きをその場の全員に伝えてくれ。」


 と言うとその場の手の空いている兵士がその通信に耳を済ませて聞く。


「まず、今俺達は敵幹部の消息不明まで追い込んだ。それが今一番の良い情報だ。悪い知らせはリヒトが幹部との戦闘で戦線を離脱した。なのでこれよりEAGLE基地内に居る俺達全員でリヒトが全線復帰するまで持ち堪える事を目的とする。君達のこの戦場における戦績に大いに期待する。俺達の底力を見せよう。こちらも手が空いたので近い場所にいる部隊に合流する。それまで戦闘を継続せよ。健闘を祈る。」


 と言い終えると通信が切れた。


 互いの最大戦力が全線離脱と言う状態となってしまった。

 これからがHOPPERメンバーの持久力が試される時間が始まる。

 そして工義とクロウはこのまま戦場には戻る事は無いのであろうか…




               続








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