ハズレ召喚とは呼ばせない! 〜天才魔法使いに召喚されたマッチョおじさん、気が付けば異世界で無双してました〜

まめいえ

第1章 魔法学園オリンピア篇

第1話 天才魔法使いの召喚魔法

「母なる大地の加護のもと

 この地へ舞い降りよ

 世を司る火水土風陰陽の

 六つの精霊たちの祝福を受け

 我の前へと姿をあらわせ

 心を繋ぎ、命尽きるまでの契約を結ばん!」

 

 その詠唱とともに、大広間の天井を埋め尽くすほどの巨大な魔法陣が生成され、青白く光り輝く。その下に立ち、両手を高く伸ばしているのは一人の女の子。体から大量の魔力が放出され、綺麗な金色の髪がたなびく。

 周囲にはその魔法陣の大きさと美しさに見とれている大勢の生徒や先生たちがいた。


「すごい……これが天才魔法使いモカ・フローティンの召喚魔法……」

「一体、どんなすごい召喚獣がでてくるというの……?」


 魔法陣が一層強く光り輝き、その中心から何かが召喚されようとしていた。魔法陣を見つめている全員が、そしてもちろん魔法陣を作り出した本人であるモカ・フローティンもごくりと唾を飲み込んだ。


 ゴゴゴゴゴ……と大広間の空気が震える。他の魔法使いが召喚魔法を使うときにはあり得なかった現象だ。

――これはきっとすごい召喚獣が現れるぞ! そして青白く光っていた魔法陣が金色、さらに虹色へと変わる。

――間違いない、歴代最高の成績を残した天才魔法使いが最後の最後、卒業試験でものすごいことをやってのけた!

 周囲で見守る生徒も先生も期待に胸をふくらませた。


「出でよ! 我が召喚獣よ!」


 虹色の魔法陣から光が溢れ、大広間中を真っ白に染めた。あまりの輝きに全員が目を閉じたり、腕で顔を覆ったり、後ろを向いたり。ただ、モカ・フローティンだけはその純粋な瞳を大きく見開いて、今後の自分の相棒となる召喚獣の出現を待っていた。


「……は?」


 光が収束し、魔法陣が消える。目の前に現れた召喚獣を見て、モカ・フローティンが最初に発した言葉がそれだった。


 その言葉に反応して全員が彼女へと視線を向ける。

 なんと、天才魔法使いモカ・フローティンが召喚したのは、人間の男だった。

 しかもマッチョ。

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