第02浴 シュワシュワなラムネの湯:ひなたの湯・その二(新大阪)
最初の「ひなたの湯」の訪問から約三か月後の八月末の土曜日、大阪滞在の機会を得た書き手は、再び「ひなたの湯」を訪れたのであった。
そういえば、 である。
スパとカレーを結び付けよう、という思い付きは、まさに完全なる偶然であった。
ひなたの湯はビルの九階に位置しているので、エレベーターで昇ってゆく事になるのだが、五月の初訪問の時期には、エレベーターの壁に、「月替わりタイムセール」のポスターが貼ってあって、五月の平日の十時から十五時の間は、通常〈七〇〇〉円の「カレーうどん」が〈五〇〇〉円で食べられる、と告知されていた。
書き手が訪れたのは土曜日であった為、平日のタイムセールの恩恵に預かれないのは残念だったのだが、それより何より、この施設には飲食店が併設されていて、〈カレー・メニュー〉がある事が知れたのは僥倖であった。
まさにこの瞬間、カレーを題材に随筆を書いている書き手は、〈スパ✕カレー〉という企画を着想し、事実、初回来訪の折には、通常料金ではあったが「カレーうどん」を食したのであった。
実は、ひなたの湯の初回訪問前には、書き手のライフ・ワークにサウナ活動は無かった。だが、六月以降は、スパでサウナに入るようになっていて、だから、八月の二度目のひなたの湯の訪問の際には、初回の時にはやらなかった〈サ活〉も行ったのである。
ひなたの湯のサウナ施設は、普通のサウナと水風呂で、書き手が気付かなかっただけかもしれないが、温度の表示は施設内にはない。ただし、公式ホームページを参照すれば、温度の情報が分かるようになっている。
サイトによると、「冷やし風呂」は〈十七度〉、これに対して、「遠赤外線サウナ」である「サウナルーム」の方は、温度は〈八十五〉度で、ちなみに、サウナ室内には、秒針が見えやすい大きな時計が置かれているので、室内の滞在時間のコントロールがし易くなっている。
この日の書き手は、サウナ、水風呂、休憩を三セットこなし、休憩では、露天風呂で〈ととの〉ったのであった。
そしてさらに、サ活の後に、書き手は、ひなたの湯において特徴的な〈ゆ〉を楽しむ事も忘れはしなかった。
繰り返しになるが、この施設のウリは露天風呂で、開放的な屋外には四つのタイプの浴槽が用意されているのだが、下界を見下ろせる「天の湯壺」に加えて着目したいのが「四季の湯」である。
この四季の湯は「高濃度人口炭酸泉」であるらしい。
炭酸泉とは、炭酸ガス(二酸化炭素)が溶け込んだお湯の事で、成分中に炭酸ガスを含んでいるこのお湯に入ると、その細かな気泡で体の表面が覆われ、清涼感があるそうだ。
そして、気泡がまとまりつく事によって、炭酸浴での体感温度は二~三度高くなるので、低めの温度で体に負担をかけず長湯ができ、それゆえに、ドイツや東欧では古くから〈心臓の湯〉と呼ばれていた、との事である。
残念ながら、日本国内には〈天然〉の炭酸泉の数は少ないらしく、ひなたの湯の炭酸泉は〈人口〉なのだが、ただし、人口であったとしても、その効能は天然の炭酸泉と変わらないそうだ。
ひなたの湯の人口炭酸泉では、湯床から絶えず泡が吹き出していて、炭酸浴をすると、細かな気泡が入浴者の身体、例えば、気泡が腕の上にまとわりつくと、それが、爬虫類の鱗のようにさえ見え、実に不思議な見映えになるのだ。
ちなみに、炭酸泉は、その細かな気泡故にか、「ラムネの湯」とも呼ばれているらしい。
そして、炭酸水は無色透明なのだが、ラムネの湯という呼び名を知ると、その湯の色が薄い緑に見えてくるのは、気のせいだとしても面白い。
かくして、サウナとラムネで、計一時間半ほどスパ活を楽しんでから、書き手は、この企画の本筋であるスパ飯としてのカレー料理を食べる為に食堂に向かったのであった。
〈参考資料〉
〈WEB〉二〇二四年八月二十六日閲覧
「天然温泉について」、『天然温泉 ひなたの湯』 、
「ラムネの湯」、『公園湯』
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