第2話婚約破棄

「シリーナ!我は、お前との婚約を破棄し、『治癒の申し子』であるリーザと婚約する!」


シーーーン


お城の大広間が静まり返った。




あ。皆様、こんばんは。シリーナ・ヴォッカ。アジーリヒ王国筆頭公爵家令嬢であり、第一王子の婚約者なんですが、第一王子の今の発言。ツッコみたい所が色々あるが、どうしてこうなったのかお教えします。






遡ること、18秒前。王子の側近候補のクリス・ゾージガ侯爵令息に連れていかれ、このセリフを浴びせかけられた。






……どうしよ?






そもそも、虐めろ!って言ったのは、王様だし。





「シリーナ。お前には、いつも迷惑をかけているが、今回どうしても頼みたい事がある。『治癒の申し子』を虐めて欲しい」


「王のお望みでしたら」


「申し子は、慈悲深いと聞く。虐められても優しく許してくれるらしい。自分の命が危なくなっても、助けるのか?」


「私には、分かりませんが、王のお望みでしたら、虐めます」


「じゃあ、死ぬ寸前まで頼む」


「!…私は王の忠実なる家臣です」


〜って!!


イジメは、皆の目の前でやったから目撃者も多いと思う。






「何故ですか?」


「っ!酷い!散々私を虐めておいて!」


「そうだぞ!申し開きがあるなら、聞くが!」




「……まず。まだ、リーザ嬢は、『治癒の申し子』ではございません」


「おまえは、リーザの治癒を見たことが無いのか!?」


「はい。ございません」


「…と、兎に角!お前は、平民落ちだ!!」


「そうだぞ!」


「惨めですね。」




何が惨めかはよく分からない。




「何事だ!?」


「父上!私は、リーザと婚約し、シリーナを平民落ちさせます!」


王なら、駄目だ言ってくれる…!










「いいぞ」


え?


「我もシリーナの虐めには困っていたしな。」


嘘でしょ?そもそも、王が言ったんじゃん!






…分かった。ヴァッカ家の権力が強くなり過ぎたから、弱くしておこうって!










「シリーナ・ヴォッカ。お前を爵位剥奪の上、平民落ちさせる!そして、ヴォッカ家をアジーリヒ王国筆頭公爵家から外し、侯爵にする!」


王の言葉。




「…か、しこまり、ました……。」


嘘でしょう?


「1日、あげよう。」


「王の寛大、な御心に、感謝申し上げ、ます…」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る