【GL】二人がいいの2 晴と真央スクールラブ

葉っぱ

第1話 みんながいいの?

「はぁ・・・そろそろちょっとイライラしてくるんだけど?」


「え、なになにー?イライラしたらダメだよー?体に悪いよ?」


 放課後、ざぁざぁ雨。

 私、佐伯晴さえきはるは彼女である安倍真央あべまおのいるクラスにいつもどおり会いに来ていた。そのまま一緒に帰ることもあれば、どちらかに約束があれば別々に帰ることもある。


 なぜ私がイライラしているかというと、今日に限って真央がなかなか帰りたがらない。二人で帰れば済む話なのに、友人たちに私たち二人と遊ぼうとしつこく声をかけている。


「ね、今からカラオケ行かない?3人でさ。」


「ごめん~。部活、体育館だからあるんだよー。また今度ね。」


「んー、のりちゃんたちは?カラオケじゃなくてもいいけどー」


「や、うちらは佐伯さん良く知らないし、また今度~」


「ん~だめかー」


 誰も捕まらないんだから無理に誘う必要ないじゃない。なのにもう20分近く、こんな感じで机から動こうとしない。一体なんなの。。


 私たちは1年生の時に同じクラスになった。親しくなかったけど、すぐに真央を目で追うようになった。涼しげで派手じゃない、清潔感のある髪と顔。でも友達の輪の中に入っていると良く笑うかわいい真央。


 対して私はどちらかというと地味な性格で、おとなしめなグループに入っていた。そんな彼女がまぶしくて、無意識に見つめてしまうことが多いからか、いつからかよく真央と目が合うようになった。最初は休み時間だけ。それから授業中、廊下、体育のときや帰り際。目が合えばどちらからともなくすぐに逸らした。


 2年になってクラスが分かれた。予想できないくらいに私は、真央の顔が見られなくなったことに落ち込んだ。もっと話しかけておけば良かったと。だから思い切って手紙を書いて告白した。真っ向告白できなかったのはフラれるのが怖くて仕方なかったから。だけど、


 真央とよく目が合うのは真央も私を意識していたからだとわかった。私たちは付き合い始めた。うれしくて、本当に嬉しくて、二人の関係は誰にも言えなかったけど、それからうまくやってきたつもりだ。 


 だけど今日はつい、イライラしていると言葉に出してしまった。なぜ?いつもと同じじゃん。二人で帰れば良いでしょ?なぜ誰かを混ぜて遊びたがるの?わけがわからなかった。


「ん、私の家遠いからさ。なんか、この大雨の中帰りたくないなーって。ワンクッション置きたいなーって言うか。ぱぁっと遊びたくない?」


 だから、私と二人でもいいじゃん。答えになってないよ。


「ねぇ、それならうちに来れば良いじゃん。今日も親は夜までいないから。」


「うーん。まぁ、それでもいいけどさぁ。」


 やっぱり二人きりなのは気が乗らないらしい。それがイライラする。

 でもなんとなくわかってる。本当は二人きりになりたくない理由。



 私たちは先週、初めてエッチをした。放課後に、私の部屋で。


 経験のない二人が初めてしたそれはたどたどしくて、緊張で頭がパンクしそうだった。私からそれを望んだから手を出したのは私。真央は受け入れただけ。真央は耳まで真っ赤にして、声を殺して体をこわばらせていた。だからといって、私は真央に幻滅などするわけがなくて、またあの時間をすぐに・・・と望んでいた。慣れれば、、何回かすればお互いに慣れるはずと。


 ただ、真央はそうじゃないのかもね。だってあれから気まずいことはないけれど、真央から二人きりになる提案などしてこない。そして今、明らかに二人きりを望んでいなかった。


 したくないのかもしれない。そういう機会を避けているのかも。


 結構、がつんと頭を叩かれたような気分になったよ。好きな人の体に触れることを拒否されることがこんなに恐怖であるとは思わなかった。


「じゃ、行こっか。晴んちで遊ぼ。いい?」


 やっと真央が立ち上がったけど、私の気分はすっかり滅入っていた。


「いいよ。大丈夫、なにもしないから安心してよ。」



「え?晴?」




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この話は2話までです。

明日の11時に更新します。

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