第34話 ディア王女へのドッキリ ②


 『それでは王女様準備はいいですか?』

『いきなり連れ出されて、目隠しされて乗り物に乗せられて、誘拐だと思えと言われて……拷問される心の準備はとっくにできてるわよ!!!』

『では行きます。3・2・1!』


ディア王女が目隠しを外す。

その動作を動画では、心臓の音とともに3回スローモーションで繰り返す。


『ディア王女様お誕生日おめでとうございます!』


と周りからクラッカーが鳴り響いた。


『な、なんですのよこれは!?』

『王女様これを』


フィナリアがタスキと王冠を持ってくる。

タスキには【本日の主役】とも書いていた


『私とフィナリアでいやいや準備したのよ感謝なさい』

『いやいやって何よ!?』

『私は思ってませんので安心してください』

『そう……まぁならば許すわよ!』


:いい反応!!!


:100点満点の反応だな


:いやぁ王女様おめでとう!


:ディア王女泣いてね?


:祝ってもらったこと今までなかったのか?



『今までディア王女の誕生日のお祝いは禁止されていましたから、今回は盛大にさせていただきました』

『うれしいでしょう?感謝なさいよ』

『ちなみに準備中の動画は後日この動画が出た後に、出る予定です。お楽しみに待っていてほしいです』

『ありがとうございますわ!……私初めてですのに……』

『泣くのはあとよ!バカ王女!まずはここに座りなさい!』

『視聴者の皆さんには半画面で映るようにしていますので、ディア王女の表情とともにお楽しみください』


:なんだなんだ!!?


:動画か!?


:こういう展開は大体神


:結構準備してたんだな


:しっかり準備動画も取ってるっていうねwww


『はい、これからお見せするのはある動画です。おちゃ漬けさんが用意をしてくださったのです。私とスメラ嬢はもう知ってますが……』

『はいはーい!じゃあとりあえず再生していくよー!』


王女の見ていたスクリーンが光る。


:ドキドキ


:なんの動画だろ?


:おめでとうのメッセージとか?


:あ~あり得るかも



〈スラム国~ファイ!おー!〉

『え!?この声って』


:!!?


:嘘やんwww


:まじかよ!!


:呼んできたのか!


:おちゃ漬けさんやるなあ!!


画面にとある女の子が出てきた。


〈ディア王女~こんキラ~☆カラミア学園3年、夜空からやってきた女神!バーチャルライバーの夜亜きらりだよー!今回はお誕生日おめでとうー!〉


『きらりさんですわよ!!?』


:夜亜きらりー!!きたー!!


:やばあああ!


:うおおおお!?


:やったああ!



〈改めて今回、スラム国ディア王女様のお誕生日と聞きまして、やってきましたー!!いろいろ動画は楽しく見させていただいています!前回のAMEK生配信もね!すごく面白かった!あとは、やっぱり3人の掛け合いが面白い!短い動画とはなりますが、これからもずっと見ていきますのでこれからも頑張ってください!それでは~〉


ここで動画が終わる。


『すごすぎですわよ!』

『いい反応ですね。ではどんどん行きましょう』

『まだあるわよ。覚悟なさい』


そして再びスクリーンが黒くなった。


『スラム国ーファイ!にゃー!!』

『ヒカリさんですわ!!?』


:やっぱりきたああ!!


:きらりが来るならばって思ったがそりゃそうだよなwww


:きらヒカコンビだあああ!!


:ディア王女一瞬で気づいてて草


:てことはやっぱり見てるのか?


:きらりにも気づいてそうだったし、普段も見てそうですわよね


:↑口調引っ張られてるぞ


:↑すまんつい


:www


〈ディア王女様~こんにゃはー、クリミア学年3年、猫が大好き過ぎて、生まれてしまった猫の妖精、猫鎌ヒカリにゃよー!

本日は誕生日おめでとうにゃー!!

早速だけど、聞いたにゃよ!ディア王女私のAMEK動画を見ているらしいに

ゃね!ありがとにゃー!!

もちろん私もディア王女の生配信は見たにゃ!またいつか私ともAMEKやろうにゃー!

それではこれからもがんばってにゃー!!〉


動画はここで終わってしまった。

スクリーンは再び元の状態に戻る。


『いつも勉強させていただいてますわ!!ってなんで知ってますの!!』


ディア王女はフィナリアのほうを見る。

フィナリアは右上を見続けていた。


『フィナリア!あなた隠れてみてましたわね!!』

『王女様を護衛するのがこの私の使命ですから!』

『だからって人の見てるところを、覗き見るのはどうなのよ!!』

『今回の動画ダメでしたか?』

『よかったに決まってるわよ!!』

『実はもう一人いるのです』

『え?まさか違うわよね!!』

『そのまさかです。最近ディア王女様見てますよね』


:なになに!?だれだれ


:想像つかないな……スラム国といえばきらヒカのイメージ


:ディア王女様が見てるくらいなんだから清楚なライバーなんじゃない?


:確かに……


『それでは参ります』

『ちょっと!?』


画面がまた暗くなる。


『プシュ!あ……まだでした……』


:ん?


:今何か聞こえたなwww


:おいおいおい!!確かに清楚だけどまじかよwww


:ミスってて草



〈スメラ国ーファイ!おー!ディア王女様、初めまして、私は世界樹に導かれてやってきた妖精天使、青山花林と申します〉


『知ってますわよ!!質問送ってますわ!!』


:花林きちゃ!!!


:清楚な妖精天使!!


:質問箱送ってるのかwww


:まじかwww


〈まずはディア王女様お誕生日おめでとうございます。

ディア王女は私の動画を最近ご覧になっているということで、今回ねこうやって動画を撮らさせていただきました。

まずはありがとうございます〉


『こちらこそですわ!!』


:清楚だ……


:いいね……


:心が浄化される



〈そして実はですね、私も質問箱を見ていてこれが王女様なんじゃないですか?と思ってた質問箱を持ってきたんです。これです。画面見えますか?多分そうなんじゃないかなー?と思ってました。

なのでここで少しこの質問箱に応えていきたいと〉


『えええ!!私のですわよ!!』


:まんまディア王女の口調の質問箱で草


:これは。聞かなくてもディア王女本人確定だろwww


:ファンサービス!!?


:これは王女嬉しいやつやん!!


〈それでは……プシュ!ゴクゴク……ぷはあ~!ということで~早速次の質問箱読んでいくら~【めちゃくちゃ面白いですわ!!今度私とコラボしてほしいですわ!!】なんかすごい王女っぽい人から質問きたら~。

じゃあ答えるら~もちろん私は良いらよ~

これで終わりら~またら~〉


そうして動画は終了した。


:まさかの2本目!?


:ほんまにギャップすごいなこの天使


:ド直球コラボお願い質問箱



『以上が全てのメッセージ動画でございます。ディア王女様いかがでしたか?』

『……もう最高ですわよ!なんなんですのよ!』

『これで最悪だったらひっぱたくところだったけど』

『それじゃあ最後はアレ持ってきましょうか』

『準備できたよー!!』


おちゃ漬けが持ってきたのは、ろうそくがついた巨大なケーキだった。


『それじゃあ改めて、お誕生日おめでとう!ディア王女息で火を消してください』

『ええ、分かったわ。ふー』


見事全部の火が消え、フィナリア・スメラ嬢・おちゃ漬けからの大きな拍手が巻き起こる。


:パチパチパチ!!


:おめでとう!!


:88888!!


:88888


:👏


:👏👏👏👏👏


『それではいただきましょうか』

『ええ!』


3人仲良くケーキを食べ始めるのだった。

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