第18話 初めての生配信
チャット
:初の生配信キター
:嘘やん! めっちゃ嬉しいんだが!?
:スラム国さいこー!!
:まだかなまだかな!?
:まぁ、待てそんなに焦らなくても来てくれるだろ
「ディア王女様・スメラ嬢様。準備はよろしいですか?」
私は、2人の顔を確認する。
「ええ、もちろんよ!いつでも行けるわ!」
「私も大丈夫です」
どうやら2人は何も問題ないらしい。
「それでは、最初のコールは……ディア王女様から」
私は、昨日こんど―さんに生配信のやり方を軽く教えてもらった。
生配信をするには、まず、タイトルを考え、そこからミュートを解除し生配信をするらしい。
もちろん私たちは顔出しOKなので、そのままの設定で配信をする。
ということで早速マイクのボタンを押した。
『スラム国ーふぁーい!』
『『おーー!』』
:おおおお!!!
:きえええええ!!
:↑まだ居たのかおまええええ!!
:安定の発狂ニキ
:おーーーー!!
「はい、ということで、皆さんごきげんよう。私、スラム国王女使用人のフィナリアと」
『このスラム国のすべてを収めているのがこの私! ディア王女ですわ!!』
『え~なんか勝手に巻き込まれて、勝手に共同生活をすることになったスメラ伯爵家の娘スメラよ』
ものすごく個性的な挨拶から生配信が始まった。
「今回はですね、新しく生配信をしようと思いまして」
私は、時々チラッと配信画面を見る。
どうやら、皆は楽しそうだった。
:本物だああ!!
:↑当たり前だろ!!
:今日は何するのー?
「今日はですね、初めての生配信ということで、いろいろ視聴者さんから、いただいたチャット質問を、読んで私たちが答えていくというコーナーをしたいと思います」
:質問コーナーきちゃー!!
:3人は僕の嫁ですか?
:↑俺の嫁だろ!!
:いや俺だろ!!
:おいおい……こんなところで言い争いすんなよ……
:初めての生配信なんだぜ?もっとまじめな質問しよーや
「うわ~すごいですね……沢山質問が来ています」
『ふふん! そのくらいこの私に惚れているということね!』
ディア王女が腰に手を当て、自信満々な顔をしている。
『うわっ……引くわ……』
『なんですってスメラ!!』
「こらこら、こんなところで、喧嘩はダメですよ」
私は必死にチャットを見ながら質問を探している。
質問が以外にも多すぎて、厳選するのにとても苦労をするのだ。
「この質問にしましょう【初見です! 今回初めての生配信ということですが、これから先、生配信するとしたら、何をする予定ですか?】」
なかなか難しい質問である。
これから先のことなど、全く決めていないのだ。
『それは私も気になるわ! 一体どうする予定なのか聞かせてほしいわ』
『私も聞きたいです』
ディア王女とスメラ嬢が私の方を振り返る。
実際には動画も、並行して出していかないといけないので、全員集まれる日というのは極端に少なくなる。
「そうですね、生配信でする内容としては、今のような質問コーナーや、雑談枠。そして以前からいお話をいただいていた、ゲームの生配信。そして歌枠をする予定です」
:マッ!!?
:ゲーム生配信きちゃーーーー!!
:歌枠!? マジ!?
:絶対来る!!
:3人の歌枠とか最高過ぎるだろ!!
「ただ、基本生放送はそれぞれ個別になります。既に、個人での生配信を可能とするように設定はしておきました。3人同じゲームをしても、それぞれの視点で見ることになるのは、許してほしいです」
:おっけー!!
:まぁ、グループだとそうなるわな
:個人的には、ディア王女視点のゲーム配信が気になる!
:分かる。発狂ばっかしてそう
:ある意味放送事故では?
「次の質問に移りましょうか、次の質問はこちらです」
【ゲーム生配信をするとの事ですが、何のゲームをする予定なのですか? また、コラボ配信はしますか?】
『私は簡単にできるやつがしたいわ!!』
『私は……何か作ってみたいわね』
まさかの2人別々にやりたいことがあってびっくりする。
確かに難しいところではある。
『フィナリアはどうなのよ!』
「えっと……」
私は特に何でもいいって言うのが本音なのだが……
王女様の使用人である以上、答えないという権利はない……
するとそこに1つのコメントが流れた。
【猫鎌ヒカリ✔】:呼ばれて飛び出て、にゃにゃにゃにゃにゃーん! ゲームを探しているかにゃ!? にゃったら一緒にAMEKヤラナイカ!!
:おいコラ最後
:wwwwww
「今コメント見たのですが、AMEKというゲームがあるそうですね、ちょっと気になるかも」
:AMEKは1人~5人で出来る、銃を使って戦うゲームだよー
:結構難しい
:多分フィナリアには何も通じないだろうな……
「ふむふむ、そういうゲームがあるのですね」
何のゲームかさっぱりわからない。
日本語を少し覚えたとはいえ、意味までまだすべて覚えているわけではない。
まぁ、皆がそういうならば試しにやってみるのも、良さそうである。
「初めての生配信ということで、とりあえず次がラストの質問になります」
:ええええ
:もっとしてよおお
:なんか普通やな
:↑じゃあ見なければいい
:そういえば、夜亜きらりはいないんだな
【猫鎌ヒカリ✔】:にゃにゃーん! 夜亜きらりは風邪ひいてるにゃー
:そういえばそんなこと言ってたな、可哀そうに
:裏で見てるかもよ?
:あり得る
「最後の質問は……これにしましょう」
【スラム国家は、今の所人口を増やす予定はありますか?】
「これは私が王女じゃないので、ディア王女どうします?」
『良いじゃない! どんどん増やしていきたいわね! でも増えすぎるのも嫌! 最高でも10人!』
それでも結構多い気がするのだが……
『ちょっとバカ王女、わがまま過ぎない?』
「まぁ言いたいことは分かります。そうですね10人増えればいいでしょう。まぁまだ私たちはお城を持っていませんので、とりあえずはお城を見つけないといけませんが」
:ん? 何の話だ?
:↑恐らく、グループの人数は10人までで、お城は恐らく事務所の事だと思う
:あ~ね!
:詳しい説明ナイス
:そういえば個人ライバーってこと忘れてたわ
:私も
「ひとまずこれで質問は全て終わりました。それでは今回の生配信はこれで終わりたいと思います!来てくれた皆さん。ありがとうございました」
私はゆっくりと頭を下げた。
『ふん! 面白いと思ったら、ちゃんと、3人とグループをフォローしなさいよ!』
『よろしく』
ディア王女もスメラ嬢もとにかく楽しそうだったので今回の生生配信は成功のようだった。
「それではまた次回の配信でお会いしましょう」
この言葉で、チャットのコメントが速くなる。
:はーい! おつかれー!!
:楽しかった!!
:また生配信楽しみにしてる!
:3人分フォロー完了
私はそうして、配信終了のボタンを押すのだった。
「はぁ~疲れたわよ!」
ディア王女が椅子にもたれながらため息をついている。
「でも良かったと思いますよ? ディア王女、そしてスメラ嬢も」
「良いわね! フィナリア! 良く分かってるじゃない!」
「……ええ、ありがとう」
「スメラ嬢様どうしました?」
なにやら元気が無さそうに見える。
どうしたのだろうか……
「別に、何もないわ。私は寝るわよ」
「?? だとよろしいのですが、私が敷きますよ」
「別にいい、自分で敷くから」
と寝室に入っていってしまったのだった。
スメラ嬢は結構口が悪いが、祖kまで心は強くない。
いやなことがあれば結構表情と口調に現れるのだ。
しかし、今回は本人も聞かれたくないようだったので、黙っておく。
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