【13】あの日、あのとき(@shunSNS) 総評
【13】あの日、あのとき(@shunSNS)
https://kakuyomu.jp/works/16818023213829690222
⬜️全体の感想
▷タイトルについて
>あの日、あのとき
全体が読めていないので、何とも言えません。
一万字時点では、さして意味があるようには思えませんが、雰囲気は多少なりあるので及第点とします。
▷キャッチコピーについて
>きのう、ヒトを殺したんだ
あらすじでまんま説明されているので、これは駄目出し。
もっとテーマを体現するようなコピーがよいかと。
とはいえ、全体像がろくに見えなかったので、「私なら」というものも浮かばないんですが。
▷あらすじについて
>昨日人を殺してしまったという同級生
>人目につかないとこで罪を償ってくるという。
>そんなときに、私がかけた言葉は…
一話目の説明ですね。
短編ならこれでよいですが、長編だと不十分です。
この導入から、読者をこんな方向に連れていくという先の展望、もしくは事態の混沌化を前に出すような説明があれば、なおよしかなと。
最終的な作品のテーマが見えなかったので、私には改善できませんが、もし手を入れるならそこを意識してみてください。
▷文章について
オブラートを重ねても滲み出てくる酷さですね。
誤字脱字、文法無視、登場人物の名前ミスなど、単純な指摘が山ほどあり、途中で拾うのを諦めたくらいです。授業中に隠れてスマホで書いたら、こんな文章になりそう。至極シンプルな文体でこれですから、頭が痛くなります。
誤字脱字は誰でもありますが、ちょっとそういうレベルじゃないです。
誰かに読んでもらいたいなら、少しでも間違いを減らすよう、推敲してください。
ミステリは謎解きです。それは「ちゃんとした問題を出してくれる」という作者への信頼の上で成立します。
日本語のおぼつかない作家を信用する読者がいますか?
教師の板書が誤字脱字ばかりなら、生徒に馬鹿にされますよね?
これでミステリを書こうなんて、手を洗わない寿司屋みたいなもんです。
一つだけ褒めておくと、この小説の形式はよいと思いました。
一話1000字以下でシーンごとに進む構成は確かに読みやすく、描写の少ない淡白な文章とあいまって、独特の空気感を出せています。
このスタイルには未来を感じました。ぶっちゃけ私も真似してみたいです。
ただ、それはちゃんとした文章を書ける人間が、必要な描写のラインを見切って水墨画のようにシンプルに描いてこそ。
今作では描写が極端に乏しく、多すぎる伏線と複合して読解を困難にしています。「想像で読ませる」という手法はありますが、それは作者が緻密に計算した上での話。読者の求める描写を先読みするスキルが致命的に欠けているんです。
まあそれ以前の段階だとも思うので、改善案を言うとすれば、「読者の気持ちになれ」に尽きます。話はそこからです。
▷ストーリーについて
オブラートに包んでも、支離滅裂としか言いようがありません。
もちろん最後まで読んでいないので、この先で奇跡的に全ての謎(ミス?)が解明する可能性はありますが、一万字時点の種明かしですら首を捻るものだったので、1ミリも期待していません。
ミステリ作家の阿刀田高は「ミステリは複数の針穴を合わせて、そこに糸を通すような作業」的なことを書いていました。今作にはそういった、緻密な心遣いが感じられません。思いついたアイデアを雑に投げ込み、キャラクターや社会を捻じ曲げて成立させているので、常識が通用しない世界観になっているんです。
常識の通じない世界で謎解きをさせられるとか、笑えない冗談です。
象徴的な例を一つ挙げると、光の奇行についての説明ですね。
長いですが、11話から改めて引用しましょう。
光と一緒に山奥まで来た、多田野瞳の解説です。
>今日私は、光と話をしていない。
>彼は、見えない誰かと話しているから。
> 私が、昨日人を殺したんだ
>という彼の言葉に反応したのは一昨日から、連絡が取れていなかった
>北野綾華存在があったからだ
>彼の言葉で恐らく彼女は殺されている。
>復讐の理由は、これで十分だけど、
>不可解な点がかなり多い、
>私の名前で会話していること、
>私に話すメリットがないこと
>彼が私の名で話すときの話し方は、
>北野綾華の話し方であることだ。
・何故、この状態の恋人(光)を、瞳は心配しないのか
・この状況に恐怖せず、無視されたままついていくのか
・こんな状態の光の「殺した」という言葉を何故妄信するのか
・なぜ質問も確かめもせず、「復讐の理由は、これで十分」なのか
謎解きの解説部分ですら、これだけ突っ込みがあります。
光もおかしいですが、それ以上に瞳も異常に感じられますね。
・何故、瞳の名前で話す必要があるのか
・何故、話すメリットがないのか
・何故、綾華の話し方をするなのか
こちらは30話前後で説明が入りますが、「思いついたから」くらいの理由で、何ら答えになっていません。二人とも常軌を逸しているという感想です。
「無理筋なアイデアを通すために、キャラを歪めている」としか思えません。
一事が万事この調子なので、まともに読めたものではないんです。
警察の無茶苦茶な対応(殺人未遂を無視)とかが典型例です。
褒められる点があるとすれば、引きや謎解明のタイミングだけは正解です。
「そろそろ」と読者が感じる頃合いに答えを出すセンスは感じられました。
問題はそれが「違う、そうじゃない」だったことですが。
改善案としては、まず普通の物語を書けるようになってください。
謎解きとか伏線は、普通に読める作品の上でのみ成立します。
論理性の欠如した人間にパズルは作れないのと同じことです。
▷キャラについて
全体的に無個性ですが、この作品的には正解だと思います。
淡々と最低限の性格付けで、ストーリーを読ませる方向でしょうから。
ただ、キャラの基本的な設定が途中から矛盾しており、混乱します。
例えば光は瞳の恋人なのかどうか。光と綾華の関係はどうなっているのか、など。
キャラの反応を見ても感情表現がまったくないので、作者のミスなのか意図して錯誤を狙っているのか判然とせず、頭を抱えました。
▷アドバイス回答について
>特に意見が聞きたい部分
>情景描写が具体性に欠けていないか
具体性どころか、最低限の描写すらありません。
「ながら感想」のツッコミを確認の上で補ってください。
>展開に無理がないか
率直に言って、無理しか感じませんでした。
悪いことは言わないので、読書量を今の十倍にしてください。
ミステリを読めとは言いません。好きなジャンルでいいです。
話はそれからです。
⬜️総評
・簡潔に読ませるスタイルは評価。それ以外は壊滅的。
・今年ワーストの文章力。尽きぬ誤字脱字。名前ミス。
・無理筋のアイデアのために世界を歪ませる狂気
すみません。あまりの怪作にオブラートが蒸発しました。
言うまでもないですが、続きを読む気はしません。
ちゃんと書けるなら面白くなる気はするんですが、このまま書き進めてもまともに終わらないだろうことは想像がつくので。
幾つか挙げたように、よかった点も見受けられます。
学生さんですし、おそらくはまだ書き慣れないまま、高難易度なネタを扱ってしまったのが原因ではないかと。
【08】カワリモノマニアック(坂本 千晴)と同じパターンですね。
ミステリは基本、現実世界が舞台なので、まず現実世界を知ることが必要です。わからない部分は積極的にネットで調べ、補うといいでしょう。私も小難しい小説書く時はネットさまさま状態です。調べる手間を惜しまないことは、読者のことを考えることに通じます。
まずは、基礎的な文章力と構成力を身につけましょう。
ミステリへの挑戦は、それに飽きてからで十分です。
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