【10】ケダモノたちの手慰み(島流しにされた男爵イモ) その後のやりとり


【10】ケダモノたちの手慰み(島流しにされた男爵イモ)

https://kakuyomu.jp/works/16817330659015777347



□島流しにされた男爵イモ

2024年10月20日 08:47


@梶野カメムシ 様

このたびは自作の読み込みと、講評をしていただきありがとうございました。読みながら感想では序盤から妙に持ち上げられるものなので、「担ぎ上げてから、槍でメッタ刺しにされるパターンかな……」と身構えていましたが、杞憂に終わって安心しました。


過分なお褒めの言葉と鋭いご指摘をいただき、今年も参加させていただいてよかったと思っています。これから仕事なので、密度のあるコメントの方は今夜中に改めてさせていただこうと考えています。取り急ぎお礼申し上げます。



■梶野カメムシ

2024年10月20日 13:02


>男爵さん

こちらこそ、この度は企画へのご参加ありがとうございました。

講評とは名ばかりのただの感想ですが、作品改善のお役に立てば何よりです。


私は基本的にお世辞を言えない人間なので、そんな高度なテクニックは持っていませんw 褒めるところのない相手なら普通に流しますし。仮にそうなった場合でも、読む前はそう思っていたと受け止めていただければ。


お返事の方、特に急ぎませんのでご都合よい時で構いません。

それでは、お待ちしております。



□島流しにされた男爵イモ

2024年10月20日 21:55


@梶野カメムシ 様


お待たせしました。

こちらのコメントでは、読みながら感想や総評で言及していただいた点への回答を中心にしていこうと思います。大まかには以下の三つですね。


➀段落について

➁タイトルの解釈について

➂最後の台詞について



それでは➀から。

こちらは特に深い意味はない悪癖です。読者の目が滑らないように一定間隔で入れているだけといいますか。強調したい一文や場面転換を知らせる文を除いて、35~115字で改行するようにしています。なので別作品でも読者の方から「段落のつけ方が機械的で、こだわりを感じられない」という旨の指摘をいただいたことがあります。今回はそのうえ「区切る箇所が不自然」という課題も明らかになったので、修正する際には文章全体の流れを意識してみることにします。


続いて➁。

作品タイトルと本編の結び付け方は、かなり客観的なものになっています。総評で挙げていただいたように陳は合致しているとして、問題は主人公の佐伯ですね。梶野様には本編を感情移入しながら読み進めていただけたようですが、実は作者の方は冷めた見方をしていました。本作は復讐のカタルシスを表現しようとしつつも、根底には破滅しかないと。


本編では復讐を果たし、新たな伴侶の候補も見つける。しかし客観的にみれば、主人公は犯罪者の仲間入りをしただけで、一連の苦悩も傍から見れば異常者の気の迷いにすぎない。現に自身の性的倒錯を否定できなかった。駅で声をかけてきた人物は本当に主人公を心配していたかもしれないし、味を占めた陳はさらなる犯罪を画策するかもしれない。結局、主人公を取り巻く環境は悪化していき、酒浸り以上の暗い未来が待っている。


本編で主人公になにかしら同情した方々には一つの物語であっても、傍観に徹した方々にとっては危険な人間たちの手慰みにすぎない。そんな皮肉を込めてタイトルをつけました。ただ、そうした作者の都合を強引に通すのは違う気がしますし、描写を工夫すれば匂わせくらいはできそうだと今は感じています。


最後に➂。

これは➁にも関連して、「主人公をあえて軽い存在にしたかった」という意図がありました。さんざん悩んでおきながら、やはり本質は欲望に忠実なケダモノだと。とはいえ軽くしすぎた感は否めないと総評を読んで痛感しました。自分で積み上げてきたものを自分で蹴り崩すような、そんな自爆めいたことを最後にしてしまったのかなと思っています。考えてみれば他にもやり方はありますし、なにもチープな主人公にする必要もないですね。そもそもノリであんなことを口走るのは人物像に適していない、などなどの想像が膨らんできました。諸々のご指摘いただいた部分と合わせて、作品全体をもう一度洗ってみます。


やや長くなりましたが、ここまでがそれぞれの回答となります。去年と同様、今年も多くを学ばせていただきました。一人で頭を捻っても気づかなかったであろう部分への言及の着眼点については、これからの作品づくりのときにも役立てていきたいです。作品を丁寧に読み込んでいただきありがとうございました。重ね重ね御礼申し上げます。



■梶野カメムシ

2024年10月21日 02:31


>島流しにされた男爵イモ さん


>こちらは特に深い意味はない悪癖です。


なんと!

むしろ意外過ぎるお答えでした。


実はこの指摘については、私より文学に詳しい後輩から裏で「こういう手法もあるよ」と逆指摘されてまして、これは浅学故に失礼な指摘だったかと反省していたところだったんです。


もしかすると実際こういう手法があるのかもですが、私個人の感覚では、これを見て真似をしたいものではありません(後輩も同意見)。 

なので、男爵さんから意図的なものだと言われましたら、そこは意見の相容れないところと答えるしかないな、とか考えていました。


まさかの悪癖だったとは……

文章の難しさを改めて思い知った次第ですw


>本作は復讐のカタルシスを表現しようとしつつも、根底には破滅しかないと。


これは確かにわかりますが、私はクライムノベルとして、そこら辺の倫理観は投げ捨てて楽しむものなのかと思っていました。


>結局、主人公を取り巻く環境は悪化していき、酒浸り以上の暗い未来が待っている。


ここも、私の感覚としては、愛する犯罪者がいることが何より幸せなのが佐伯ではないのかな、と。その結果が地獄行きでも後悔だけはしないような。

もちろん常識的には作者の見方が正しいと思われますが。そういう意味で「悪党だけが行ける天国」と思ったわけです。


>ただ、そうした作者の都合を強引に通すのは違う気がしますし、描写を工夫すれば匂わせくらいはできそうだと今は感じています。


確かに、作中で「ケダモノ」か「手慰み」の言葉が効果的に挿入すれば、タイトルとの親和性は上がると思います。


>自分で積み上げてきたものを自分で蹴り崩すような、そんな自爆めいたことを最後にしてしまったのかなと思っています。


私もこういう感覚でした。

順当にゴールすれば高評価だったのに、最後に何故……と唸ったものです。


>考えてみれば他にもやり方はありますし、なにもチープな主人公にする必要もないですね。そもそもノリであんなことを口走るのは人物像に適していない、などなどの想像が膨らんできました。


あの台詞以外で、ここまで男爵さんが迸らせていたセンスが在りさえすれば、私は納得行くと思います。言って、状況説明はそれ以前に終わらせてますから。本当に締めくくりの一言だけの問題でした。


>去年と同様、今年も多くを学ばせていただきました。一人で頭を捻っても気づかなかったであろう部分への言及の着眼点については、これからの作品づくりのときにも役立てていきたいです。作品を丁寧に読み込んでいただきありがとうございました。重ね重ね御礼申し上げます。


こちらこそ、大いに学ばせていただきました。

バトル書きとして、センスとわかりやすさの両立は理想であり、今作ではその体現を目の当たりにした気分です。


改めて、今後の活躍に期待します。

参加ありがとうございました。

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