【25】二日生きた以上(終楽章) 総評


【25】二日生きた以上(終楽章)

https://kakuyomu.jp/works/16817330663415040274



⬜️全体の感想


・タイトルについて

意味が全然わかりません。

「小説を見せる」という部分にも、とくにかかってないですし。


エピソードタイトルも、全体的にピンと来ません。

とくに「ゼロ」や「?」は無茶苦茶で、普通に数字を並べた方がまだましです。


・文章について

「ぼくとっても文章が上手いんだ。すごいでしょ!」

と得意げにしてる小学生のような文章です。


刺身抜きで、けん(大根の細切り)だけを延々食わされている気分になりました。技術はあるけど味気ないところとか、まさにそんな感じ。


別にセンスの全てを否定はしません。

それなりに悪くない表現もありました。普段なら個別で拾い、誉めるなり叩くなりするところですが、今回、ほとんどそれをしなかったのは、全編にわたるクソ修辞が鼻につきすぎて、誉める気が失せたからです。ゴミ袋に多少使えるものが入っていても、いちいち確かめないように、です。


一言で言えば、内容に対して装飾が過剰すぎ。冗長すぎ。

鼻くそをほじるシーンでも華美に描きそうです。

文章以前に引き算以前に力の加減を知らないレベルで、習字で言えば

「抜き」を一切使わず、クソぶっとい書を書いてるよう。言うまでもなく下手な奴です。読みづらく、かえって滑稽に映ります。


ここぞという場面で力を入れるのは構いません。

ですが、他は意図して簡素に書くようにしなければ、強調の意味がなくなります。文章の全てにアンダーマーカーを引いたら、強調の意味がないでしょう。そういうことです。


唯一、締め付近の感情描写は毛色が違っていて、幾分マシに思いました。ここだけは褒められます。(締めくくりの台詞はともかく)


全編、これくらいを基調に強弱を意識して書いた方が、主人公の気持ちがストレートに感情が伝わり、よい塩梅になると思いますね。



・内容について

昔、「人の見た夢の話ほどどうでもいいことはない」という説明で夢オチ作品を斬ったことがありますが、「死にたがりの話」もそこに加えたくなりました。


過去話も詳細もない「なんとなく死にたい」みたいな人間の話は、余人にはどうでもいい話です。本当に辟易とします。

リアルで「死にたがり」と関わっていた経験から、私の感想が辛くなっている点は否めませんが、書き手として見ても難しい題材で、面白くしにくい分野だと思っています。


何故かというと、「死にたがり」には答えがないので。

読んでも何も得られず、終わりも救いもない。

個人的には全篇通して、本当に読むのがしんどかったです。

おそらくは時間の無駄だろうことが想像出来ましたし。


逆に作中で救われる展開だと、「その程度で死にたい連呼してたの?」となるので、逆効果という。

この手の小説を好む読者は、たいてい同じような体験や憧れを持ち、共感を前提にするので、そこで裏切られたような気分になるのではと思います。現実から見ればご都合主義ですし。暴力で改心させるは誰でも考えますが、それで上手くいけば誰も苦労しません。


結果、死にたがりの話と言うのは、多分に雰囲気小説になりがちです。

物語で面白さを保障できないので、文章でごまかすわけです。

今作はまんま、このパターンにはまってる気がします。

文章がアレすぎて、雰囲気小説にすらなれていない感はありますが。


物語の展開は「チープすぎる」で終わってしまうので、他に気になった部分について。


>小説を読ませる

これ自体は悪くない演出のアイデアだと思いますが、さして違いのない薄い小説と同じような反応を三度も繰り返す展開は、冗長が過ぎて胸焼けがしました。この程度の内容なら、連作する必要はないというか、むしろ害があります。


・方向の違う小説と解釈によって、彼女の悩みの深奥をあぶり出す。

・出だしでなく全体のあらすじにして、結末までを書く。

・本編と文章を意図して変える。

・小説から始まり小説で終わる。首絞めに頼らない。


これくらいの工夫は欲しいところです。


>オチの一言

読む限り、主人公の言葉で彼女に刺さったのは「一緒に死んであげる」だけなので、ハッピーエンドを示唆するような最後の台詞とそぐわないと感じました。心中がハッピーだと思うなら別ですが。


その前の部分の方がよく書けているので、この台詞はない方がよほど読後感がよいです。書くなら流れに即した台詞にすべきでしょう。



・アドバイス回答について

>人の心の動かし方というところに注力して書いたので、それが上手くできているか意見を頂きたいです。


人というのがキャラのことなのか、読者のことかわからないので両方書きますが。


キャラの心の動きは、全編を通してまるで伝わりませんでした。

内容の薄さに加えて、大仰な文章が理解を阻害しています。

唯一救いがあるのは、前述したラスト前で、あそこだけ評価します。


読者=梶野の心が動いたかどうかは、ここまでの感想でお判りいただけるかと。


⬜️総評

・クジャクの羽を刺したカラスのような文章。

・共感性ゼロの「死にたがり」の話とチープな結論。

・読んだ時間かえして。


雰囲気小説として、希死念慮のある読者には刺さるかも。

それにしても冗長が過ぎるとは思います。読むのが本当に苦痛でした。

表現を積み増すのではなく、削って味を濃縮して欲しいところ。

相応のテーマが見出せるなら、この文章でもマッチする可能性がなくはないですが……


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