劇場版ザ・オール~王族の反逆~

@oyntheomega

王族の反逆

この世界には多くの国、町、村がある

その中で国の長が国王と呼ばれるものに当たる

国王になる絶対条件は…



王族の血筋



その王族の血はどこから派生したのか

誰も知るものはいない

ただ、DNA鑑定で人とは違う特殊な血脈で判断される

所詮は人の思い込みだ

だがその思い込みは正しいのかもしれない

王族は皆優秀だ

才能はもちろん、成長の速度も人一倍早い

国王は今、この世界に21人いる

そしてここ、アースイ国で22人目の国王が誕生するのであった


次郎「アーサー・ベルファング、お主をアースイ国の国王に任命する」


世界政府警軍総隊長 峰賀谷 次郎


アーサー「はい!まだまだ未熟な私を選んでいただき感謝いたします!未熟者ゆえ、これからも初心を忘れず日々の鍛練に精進いたします!」


次郎「うむ、これからも励むがよい!」


場変


式が終わり…


アーサー「ふぅ~、あぁ言うのはやっぱ疲れるねぇ。常に緊張しっぱなしだ」


アーサー・ベルファング

この物語は彼が中心となる、いわば主人公の立場にある人物だ


ベル「アーサー!!やったなぁ!!お前なら国王になれると思ってたよ!!」


ベル・ヴェルティア

アーサーの一番の親友であり科学者

彼は後にオーヴェル・ティアベルと言う名で科学者の道を進む(ザ・オール~創造を司る者、破壊を司る者、氷雪の薔薇姫~に登場する)


ベル「僕はずっと信じてた!アーサーならなれるって!」


アーサー「興奮しすぎだよベル。それに国王になれたのは俺一人の功績じゃない、俺が選んだ君、そして選ばれた君が見せた科学力は世界を魅了した!俺の選択に間違いはなかったし、君の実力がこの座を導いてくれたんだ」


ベル「よせよせ、僕はまだまだだ!もっと頑張って世界のためになるような発明をするんだ!」


アーサー「その意気だ!」


次郎「盛り上がっとるようじゃのぉ」


次郎来る


アーサー「先生!」


次郎「アーサー、壇上ではあぁ言うとったがだいぶ気が緩んでおるようじゃの」


アーサー「常にガチガチなんて疲れますよ。俺が国王になれたのは先生のお陰でもあるんです!先生が稽古をつけてくれた!国王になれるまでの実力をつけてくれた!先生には感謝しかありません!」


次郎「うむ、して、アーサーよ。お主は国王になって何がしたい?」


アーサー「世界から憎しみを無くしたいです!誰も争うことなく、平和な世界が作りたい!そのためにも彼!ベルの科学力が光ると思うんです!」


ベル「よせよ、照れるだろ」


次郎「…素晴らしい心がけじゃ、確かに科学の力は偉大じゃ。わしらも何度も助けてもらっとるからのぉ。その心を忘れるでないぞアーサー」


アーサー「はい!」


去る次郎


ベル「総隊長、僕には視線すら寄越さなかったよ」


アーサー「あれでも君の実力は認めてるんだよ」


ベル「え?」


アーサー「先生は嬉しいんだよ。教え子が成長してくれて」


場変


次郎「…教え子の最後の一人、アーサーもわしの元から離れてったのぉ」


鬼山「寂しいの?じぃ」


警軍1番隊隊長 鬼山 藍真


次郎「バカタレ!!そんなんじゃないわい」


鬼山「僕が突然後ろにいることにはツッコまないのねw」


次郎「バレバレじゃ、して何用じゃ?」


鬼山「用なんてないよ、いつも通り顔を見に来ただけ」


次郎「そんな暇があったら巡回でも行かんか」


鬼山「ほいほーい」


次郎「全く…」


場変


アーサー「さて、明日からのスケジュールを考えないとね」


ベル「いつも通りで良いのでは?」


アーサー「ダメだよ、国王になったんだ。少しでも国のために出来ることを考えるさ」


ベル「お前のそういう真っ直ぐなところ好きだったよ。何で友達が出来ず学力もイマイチなのか理解できない」


アーサー「ベル、あまり学生時代のことは言わないでくれw」


ガチャ

扉が開かれる


ユリウス「兄上、国王になったそうですね」


ユリウス・ベルファング

アーサーの生き別れの実弟

アーサーよりも1年早く隣の国の国王になっている


アーサー「ユリウス!やっと話せるね!」


ユリウス「対等になったと勘違いしないで頂きたい、兄上はまだ国王の補欠みたいなものだ」


ベル「補欠?正式に任命されたけど…」


ユリウス「兄上、彼は?」


アーサー「俺の親友のベルだ」


ユリウス「国王を前にずいぶん分を弁えない友だな」


ベル「し、失礼いたしました」


アーサー「ユリウス、あまりベルをいじめてくれるな」


ユリウス「それですよ兄上、国王になったのならば親友がどうのとか家族がどうのとかではなく、身分の違いはハッキリさせておかないと…」


アーサー「長くなりそう?俺も忙しいからさ」


ユリウス「はぁ~、兄上には悩まされる」


ベル「…」


ユリウス「とにもかくにも、国王として恥ずかしくない言動をお願いする」


去るユリウス


ベル「なんかお堅い人だな」


アーサー「人生初の会話がこれとはねw」


ベル「初だったのか!」


アーサー「生き別れの弟がいることは知っててね。それがまさかユリウスだと知ったときはビックリ!身分が違うから会話も出来ないし、国王になれば会話できると思って楽しみにしてたんだけど…」


ベル「国王になりたい理由の一つはそれか」


アーサー「まぁね、でも一番は先生にも言った憎しみを無くしたいかな。この世界が平和になってからで良いよ、弟と仲良くなるのは」


ベル「相変わらず優しいやつだ」


アーサー「とんでもない」


場変


鬼山「ふわぁ~眠ぃ…巡回って言っても大したことないもんねぇ~」


商店街の真ん中に人だかりが出来ている


鬼山「ん?何だろう?」


モブA「俺も俺も!」


モブB「な、押すなよ!次俺だぞ!」


モブC「私もお願い!」


鬼山「ねぇ」


モブD「ん?うわぁ!!鬼山隊長?!なんでここに!」


鬼山「巡回中~、これ何の集まり?」


モブD「100%当たる占い師がこの町に来てるんだよ」


鬼山「100%当たる占い師?何か胡散臭いね」


モブD「本当なんだって!見た目はローブ被ってるおばちゃんだけど100%当たるんだ!」


鬼山「ローブ被ってるおばちゃんて…胡散臭さ半端ないんだけどw」


占い師「押さない押さない、次はお兄さんね」


モブB「よし!あ、あのぉ…俺今日告白する予定なんだけど、成功するかどうかすごく知りたくて…」


鬼山「ベタだねw」


占い師「…ふむ、成功する」


モブB「いよっしゃぁ!じゃぁ早速…」


占い師「ただ、その女の子は止めといた方が良いじゃろう」


モブB「何で?」


占い師「その子はお前さんと付き合ってるにも関わらず一週間後に別の彼氏を作る」


モブB「そ、そんなぁ…」


鬼山「あれ信じるの?」


モブD「信じるよ!昨日、一昨日占ってもらった人全員当たってるもん」


鬼山「すごいねそれ」


占い師「そろそろ疲れたのぉ、今日はこの辺に…」


鬼山「割り込みでごめんね、僕もいいかな?」


モブE「はぁ?てめぇ割り込んでんじゃ…ッ!警軍!!!」


鬼山「今からお開きってときにごめんよ、僕も二つほど良いかな?」


占い師「世界政府のお方か、良いが占えるのは一人一つまでじゃ、2回目は10年後になるのぉ」


鬼山「おっけ!じゃぁ聞くね、僕は明日じぃ、総隊長のお菓子盗み食いするけどバレるかな?」


全員(すっごいしょうもない事聞いてる!!!)


鬼山「ちなみにバレない自信はめちゃくちゃある!そのお菓子はもう製造されないから最後の一つなんだけど、僕もめっちゃ好きだから能力で奪う」


全員(そんなことに能力使うのぉ?!!)


占い師「…ふむ、バレる」


鬼山「え?何で?!」


占い師「答えまで言ってしもうたら面白くないじゃろ」


鬼山「さっきの告白の子には答えいってたじゃんw」


占い師「ほっほっほ、お初と言うこともあってこの場で一番怪しんでおられるのがあなた様じゃからのぉ、信じてもらうためにあえて答えは言わんでおくよ」


鬼山「ふふ、じゃぁ明日楽しみにしとくよ」


そして翌日


警軍本部


鬼山「こちら鬼山、作戦実行に移ります!」


鬼山「くれぐれも気をつけて!」


一人で子供のようなことをしている鬼山

これでも警軍の隊長です


次郎「さて、食うかの」


席を立つ次郎


鬼山「じぃが今立ちました。風の知らせも良好!ミーティングルームに到着と同時にすり替え…」


次郎「ところで…わしの物を盗もうとする愚か者の匂いがするのぉ」


鬼山「ギクッ!」


次郎「この総隊長室を破壊してでも排除せぬといかんかのぉ」


天井から出てくる鬼山


鬼山「待って待って!降参するからぁ!」


次郎「バカタレが」


鬼山「なんでわかったの?能力使ったのに」


次郎「そこじゃ、お主の風能力でいつもの空気の味が変わっとる、空気も、場の環境も」


鬼山「嘘でしょ!そんなので分かるの…」


次郎「能力を恨め」


鬼山「絶対成功すると思ったのに…」


次郎「して、処罰はどうしようかのぉ」


鬼山「待ってじぃ!じぃに会わせたい人がいるんだ!」


次郎「む?」


場変


モブA「あの占い師なら今日はいないよ。一ヶ月後にまた戻ってくるって言ってた。まぁ無理させ過ぎたよなぁ」


鬼山「…」


次郎「どう言うことじゃ?」


鬼山「へへ、また一ヶ月後にここで」


次郎「ばっかもぉおおおおおおおん!!!」


鬼山「うぅ!!」


次郎「わしは警軍の総隊長じゃ!暇人じゃないんじゃぞ!!」


鬼山「ごめんて…でも本当にすごい人なんだよ。じぃも占って欲しいし」


次郎「全く、そやつが次来るのは一ヶ月後じゃったな」


鬼山「いいの?」


次郎「暇潰しにはなるじゃろう」


鬼山「暇なんじゃんw」


場変


アーサー「うんうん、この国は平和だね!」


ベル「わざわざ国王様が出向かなくても部下達や警軍が巡回くらいするでしょう」


アーサー「ダメだよ、国王だからってずっと座りっぱなし任せっぱなしは俺は嫌だ」


ベル「真面目にもほどがある」


モブA「あ!国王様!!」


アーサーの前に沢山の人たちが集まってくる


アーサー「やぁ皆、この国は平和で明るくていいね」


モブB「すげぇ、あの占い師の言った通りアーサー様が本当に町に来た!会えた!」


アーサー「占い師?」


モブA「絶対に当たる占い師がいたんですよ!マジてすごい人なんです!」


アーサー「興味深いね。でも占いで自分の運命を知るのは俺は好きじゃないかな」


ベル「真面目君だな」


アーサー「君の方が真面目じゃないか、ってそんな話しはよしとして、何かあったら何でも言ってくれ!俺が国王として皆を守る」


モブB「頼もしい!」


モブA「お言葉に甘えて、期待してますよ国王様!」


アーサー「あぁ」


それからアーサーは毎日町に降りては民衆と話し、仲良くなっては信頼を得ていた

国王と言う立場にありながら町の人たちの仕事を手伝ったり自分に出きることを町の人たちのために全力で費やした

まるで国王と言うよりも友達と言う言葉が似合う光景

ただ、国王の仕事が後に後にとドンドン貯まっていってるのは悲しい話だ

相棒のベルは最初は付き人だったがアーサーなら大丈夫と思い自信の研究に没頭するのである


そして約1ヶ月後


場変


ここはレッサリーナ一族の研究所


後に生まれる世界一の天才科学者にして反乱軍の一角の一人、アーロット・カルメ・レッサリーナの父と叔父がニュースを見ていた


司会「今!科学者の中でも勢いが止まらないこのお方!アーサー国王の相棒ベル・ヴェルティアさん!」


モロズ「ふぉっふぉ、科学者も大分増えたのぉ」


アーロットの祖父、モロズ・カルメ・レッサリーナ


ファンサ「親父、そんなことよりNo.1を越える科学力はどうしても手に入らんぞ!どうすんだ」


司会「いやぁ素晴らしい功績をバンバン残していってますね!今回科学者No.3になってご感想はございますか?」


ファンサ「何?!No.3だとぉ?!」


モロズ「ふぉっふぉ、ファンサ、No.3の座を奪われたのぉ」


テレビにはNo.4ファンサ・カルメ・レッサリーナと書かれていた


ファンサ「あ、あんなクソガキに!この俺が抜かされるわけが無いだろうが!ふざけやがって!」


ベル「僕は大したことしてないです!相棒のアーサーが頑張ってるのに僕がそれ以上頑張らないとっていつもアーサーに元気もらってるんですよ」


ファンサ「こいつの人生ぶっ潰したくなった。親父、能力をかけてくれ」


モロズ「ふぉっふぉ、わしの能力は嫌いなんじゃなかったのか?」


ファンサ「今は許す」


モロズ「生意気な息子じゃ」


ファンサの肩に手を置くモロズ


ファンサ「…まだか?」


モロズ「もう少し待て」


ファンサ「…いつも以上にかかってるな、そんなに難しいのか?」


モロズ「急かすでないわ、完了じゃ」


ファンサ「ん?あのガキ以外にも一人…」


モロズ「占い師も追加した」


ファンサ「何?」


モロズ「わしのただの勘じゃがな、そやつも使える」


ファンサ「親父の勘は絶対当たるから受け入れよう」


ファンサがベルに変身する


ベル(ファンサ)「ふむ、初めて変身したがスゴいな。見た目だけじゃなく雰囲気、オーラ、しゃべり方の癖に目の動き、全てを完璧に変身させる能力、絶対変身。盗賊向きの能力持ちでよく科学をやろうと思ったな」


モロズ「ふぉっふぉ、誰しも能力に見合った職に就きたいと思うな。わしは昔から科学が好きなんじゃ」


ベル(ファンサ)「まぁ確かにな。さて、潰すか」


場変


アーサー「うわぁ!すごい行列!何で皆並んでるんだい?」


モブA「国王様!一ヶ月前に話した占い師覚えてますか?あの人が明日帰ってくるんですよ」


アーサー「明日?!今日じゃないのにこんなに並んでるの?」


モブA「はい」


アーサー「その占い師さんて1人1回で2回目は10年後だよね?皆もう占ってもらってるんじゃないの?」


モブA「中にはまだの人もいてその占いを聞くのが好きな人もいるんですよ!つっても大半が占い聞きに来てる人だと思いますけどw」


アーサー「そうなんだ…俺には分からないやwまぁ今日明日はその話でいっぱいだろうし、俺は王室にいるよ」


モブA「国王様が王室に?!珍しい…て言うか国王様も占って…」


すでにいなくなっていたアーサー


場変


アーサー「まずいまずい!自分の仕事が貯まりまくってる!今日明日で片付けられるかなぁ?まぁ自業自得だし、無理無くゆっくりやるか」


そして翌日


場変


ガヤガヤ


占い師の前に集まっている町の人たち


占い師「27歳でお主は死ぬ」


モブ「えぇ!!俺の人生後2年かよ!!」


占い師「冗談じゃ」


モブ「おい!!!」


アハハと笑う町の人たち


モブ「あんたが言ったら冗談に聞こえないんだよぉ~(泣)」


占い師「心配せんでええ、お主は80まではちゃんと生きる」


モブ「良かったぁ~」


占い師「さて、次は…」


町の人たちが道を開ける


占い師「ん?」


鬼山「やぁおばぁちゃん、久々」


占い師「お主、あなた様は…世界政府の」


鬼山「じぃ、この人だよ」


次郎「お主が占い師か」


占い師「いかにも」


次郎「…ふむ、空気で全て伝わった。100%当たるのは本当のようじゃの」


鬼山(風能力者でもないのに、相変わらずスゴいや)


次郎「お主に聞こう、何を企んどる?」


占い師「それは占いですかえ?」


次郎「ただのジジィの質問じゃ」


占い師「…」


次郎「おそらく能力じゃろう?未来しか何か…100%当たるすごい占いをタダで行うのは怪しいと思われるじゃろう普通」


占い師「わしはお金のためにやってるんじゃないんです、孫のためにやってるんです」


次郎「孫?」


占い師「孫はもういません、よく口癖のように言うておりました。ばぁやは占い師が似合うと、世界の人を笑顔に出きると。孫が亡くなりわしの能力は開花しました。運命を感じました。孫がわしにこの力を授けたと」


次郎「押し付けじゃな」


占い師「いいえ、孫からのプレゼントだと、わしは思うてます。その孫のために、自慢のばぁやであるために、わしは占い師をやるのです」


次郎「…」


鬼山「…」


次郎「うむ、素晴らしい心じゃ!お主には邪がない。だからこそ信用して聞ける。今から言うことを占ってくれ」


占い師「1つなら」


次郎「この先の警軍の未来、いや10年の間でいい。警軍は続いていくかのぉ?」


鬼山「じぃ…」


ブオン!

誰かが何かを発動する


占い師「…近いうち、世界政府警軍は崩壊するでしょう」


全員「ッ!!!!!!」


占い師「それがいつなのか…う、誰がするのか…すみません。この先の未来が見えません」


モブ「占い師さんが見えないなんて!!」


次郎「崩壊…」


占い師「すみません、いつもならハッキリ見えるはずなのに」


次郎「よい、感謝する」


去る二人の隊長


それの会話を最初から最後まで影で見ていた謎の人物


?「フフフ、やはり親父の勘は当たる」


場変


アーサー「いやぁすまないねベル。研究で忙しいのに連れ出してしまって」


ベル「僕は構わないが、アーサー自信の仕事はいいのか?」


アーサー「その事は言わないでくれ…頭が痛くなる」


ベル「サボってばかりだと本当に生きてる内に終わらんぞ」


アーサー「昨日頑張ったんだけどね…なかなか骨が折れる作業と言うか…」


ベル「そもそも、今日はどこに行くつもりなんだ?」


アーサー「国王になってからユリウスしか会話してないだろ?他の国王に挨拶をしたいと思ってね」


ベル「なるほど、だからわざわざこんな遠い国に…護衛もつけずに」


アーサー「護衛がいると警戒されそうだろ?」


ベル「お前には振り回されるよ」


アーサー「今さらだろw」


ベル「全く」


兵士「止まれ!」


アーサー「あ、すまない。普通に通ろうとしてた。アースイ国の国王アーサー・ベルファング!プッタカ国の国王、ワナビ国王陛下にお会いしに参った」


兵士「失礼しました。王宮内を案内します、こちらへ」


ベル「僕が来る意味あるのかね…」


場変


ワナビ「ハッハッハ!いやぁえらく好青年が国王になったなぁと思っておったがこうして話してみると確かにお主は王の器がある!」


アーサー「滅相もございません、俺はまだまだ修行中の身。ここで立ち止まってはいられません」


ワナビ「ハッハッハ!若い者が上を目指す心意気!うむ、気に入ったぞアーサー王!連絡先を寄越せい」


ベル(スゴく仲良くなってる…)


アーサー「一番近くがここだったんで寄ってみたのですが、あなたに一番に挨拶できて良かった。これからもどうぞよろしくお願いします」


ワナビ「あぁ、よろしく!期待しておるぞアーサー王」


場変


警軍本部


次郎「…」


~回想~


占い師「…近いうち、世界政府警軍は崩壊するでしょう」


全員「ッ!!!!!!」


占い師「それがいつなのか…う、誰がするのか…すみません。この先の未来が見えません」


~回想終了~


次郎「どう言うことなんじゃ?…」


コンコン←ノック音


次郎「入れ」


警兵「失礼します。総隊長にお会いしたいと言う占い師が門前に来ております、お通ししますか?」


次郎「占い師…うむ、通せ」


警兵「はっ!」


次郎「先程の占い師か…何か思い出したのか?」


占い師?「失礼します」


次郎「うむ、して何用じゃ?」


占い師?「総隊長さん、思い出しましたよ。誰が警軍を崩壊させるのか」


次郎「申してみぃ」


占い師?「王族です」


次郎「ッ!!!!!」


占い師?「近いうち、王族が反乱を起こしここを潰しにかかります。そうならないためにも一刻も早く…全員抹殺した方がよろしいかと」


次郎「…」


占い師?「特にアーサー王が危険です。その側近のベル・ヴェルティアはもっと危険です!今すぐ始末を…」


次郎「お主、本当なんじゃろうな?」


オーラをあげる次郎


占い師?「うぅ!!」(重たい!)


次郎「わしら世界政府と王族は昔からの間柄じゃ、兄弟のような関係じゃ。よもやそれを潰すために嘘を吐いておるわけでは…あるまいな?」


占い師?「め、滅相もございません!!!わたしめの言葉に嘘などございません!」


次郎「…く、嘘の気配はない…信じよう」


占い師?(ふ、科学の力さえあれば誰でも騙せる!)


次郎「話しは終わったか?」


占い師?「は、はい…わしはこれで下がらせてもらいます。くれぐれも…ベル・ヴェルティアにはお気をつけを」


去る占い師?


次郎「…」


次郎には最後の忠告は耳に入っていなかった

占い師の言葉を信じようとしてもやはり信じられないのだ

それほどまでに警軍と王達の絆は深い


次郎「…」


コンコン←ノック音


警兵「失礼します」


次郎「何じゃ!!」


声を荒げる次郎


警兵「は、はいぃ!!総隊長にお会いしたいと言う科学者が…」


次郎「科学者?通せ!」


ベル?「失礼します」


警兵「あ、勝手に…」


次郎「構わん。下がれ」


警兵「はい…」


ベル?「総隊長お疲れ様です」


次郎「何用じゃ?」


ベル「遠目でしか見えなかったのですがこうしてみるとやはり顔色が優れない。最近お疲れのようですね」


次郎「何が言いたい?」


ベル「完成したら総隊長に真っ先使って欲しいと思っていた道具があるのです」


次郎「…」


ベル「これです」


ビー玉の様なものをだす


ベル「これに触れるだけで疲れを全てこの中に凝縮してくれる素晴らしいアイテムです」


次郎「ほぉ」


ベル「僕もNo.3になり、科学者としての力は総隊長もお分かりいただけてる。是非この科学力を間近で感じて欲しいのです」


次郎「わしにアピールと言うわけか。悪くないがお主もそういう行動を取るのじゃな」


ベル「と言いますと?」


次郎「別にお主の事を知っとるわけではないがお主はアーサーのために上を目指してるように見えたのでな」


ベル「はい、これも全てアーサーのためです」


次郎「わしには自分のためと映るが?」


ベル「自分のためでありアーサーのためです。科学は時には予想外の行動もするのですよ」


次郎「…」


ベル「ではこちらをどうぞ」


次郎にアイテムを渡す


次郎「これが…」


ベル「さようなら総隊長」


次郎「ぬ!!」


いつの間にかアイテムが次郎を包み


ザシュザシュザシュザシュザシュ


斬激が次郎を襲う


次郎「ぬわぁあああああ!!!」


ベル「ハッハッハッハ!終わりだ!ベル・ヴェルティア!!」


鬼山「羅刹!」


いつの間にか背後に現れた鬼山が攻撃を繰り出す


ザシュザシュザシュザシュザシュ


次郎を包んでいた球体が壊れる


鬼山「じぃ!!」


ベルの偽物はもういなくなっていた


次郎「…」


気絶寸前の次郎


鬼山「じぃ!!!」


次郎「鬼、や…ま…王族の、情報を全て集めろ…」


鬼山「全部話してよ!何があったんだい?」


次郎「…占い師の言ったことは…本当じゃった…」


場変


ファンサ「これで最後の関門クリア」


路地裏で占い師が死んでいる


ファンサ「すまないねぇばぁさん。恨むならベル・ヴェルティアを恨むんだな」


モロズ「ふぉっふぉ、恐ろしい息子じゃ、能力阻害装置も偽装装置も瞬間移動装置も完璧じゃ。科学力だけで言えば遥かにわしを越えておる」


ファンサ「親父の能力がなければ出来なかったさ。これであいつは終わる!生きていたとしても一番大事な国王も失う。生きてる意味がなくなるはずだ!」


モロズ「科学者の嫉妬とは怖いのぉ。変わり者にしか科学者はなれんと言うのが良く分かる」


そして翌日


場変


アーサー「それで俺が走り出したらお化けが出たと勘違いしてベルも大騒ぎで走り出したんですよ」


ノンパーソン「カッカッカ、案外ビビリなんじゃないかベルよ」


ベル「アーサー、余計なことを言うんじゃない!」


アーサー「良いじゃないか、大体この話すると皆笑ってくれるんだ!」


ベル「人の面白話を撒き散らすな!」


笑う二人


ノンパーソン「ん?伝令じゃ」


アーサー「?」


ノンパーソン「…こんな伝令初めてだ。全国王へ、今すぐ警軍の本部へ集合。仕事は投げて良い、緊急招集」


アーサー「緊急招集…」


ベル「アーサー、僕なんか嫌な予感がするよ…」


アーサー「ベル、ワープ装置を出してくれ。アースイ国へ戻る!」


ベル「行くのか?」


アーサー「行くしかないんだ。緊急事態みたいだからね。すまないが妻を任せるよ」


ベル「分かった。絶対帰ってこいよ、お腹の赤ちゃんも心配してるはずだから」


アーサー「あぁ」


ノンパーソン「アーサー、おいも失礼するぞ」


アーサー「もちろんです。行きましょう」


場変


鬼山「…」


闘魔「鬼山、総隊長は無事なのか?」


警軍2番隊隊長杉村闘魔


鬼山「うん、何とか一大事は凌いだ」


カリヴァ「しかし未だに信じられんぞ。王族が反乱を起こすなんて」


警軍3番隊隊長カリヴァ・アリバ


鬼山「僕もだよ…でもじぃは嘘は言わない。何より傷ついた体が全てを語ってるよ」


カリヴァ「賊は本当にベル・ヴェルティアだったのか?」


鬼山「僕らが一番知ってるはずだよ?じぃは相手のオーラ、雰囲気や癖を全て見抜ける。長年じぃが何千もの教え子を見てきたから備わった力だ。だてに何十年も総隊長やってないのよあの人は」


闘魔「…」


警兵「失礼します、国王全22名、あの場所へ集結しました」


鬼山「そいじゃ行こうか。最悪戦争になる可能性もある。気を引き締めて」


闘魔(一番似合わん男がその台詞を吐くか…大分キレてるな)


場変


ガヤガヤ


国王達が話し合っている


「緊急招集なんて初めてだぞ」


「そんなに最悪な事態が訪れたのか?」


ユリウス「…」


ノンパーソン「…」


ハルト「…」


ワナビ「…」


アーサー「…せっかく全国王と会えて仲良くなろうと思ったのに、そんな雰囲気じゃなさそうだ」


ユリウス「当然ですよ兄上。こんな緊迫してるなかでバカなことを考えないでもらいたい」


アーサー「ユリウス…」


鬼山「やぁやぁよく集まってくれたね国王の皆さん」


周りが一気に静まり返る


鬼山「急な緊急招集でよそよそしいのは分かるけど、事態は深刻なものだよ」


全員「…」


鬼山「警軍総隊長、峰賀谷次郎総隊長が動けないほどの重症を負った」


全員「ッ!!!」


ワナビ「一体誰が!」


ノンパーソン「なるほど、その賊軍を全員で潰すと言うことか」


鬼山「違う違ぁう。確かに賊軍を今から消しに行くんだけど、その賊軍はもう僕らの近くにいるのよ」


ハルト「どう言うことだ?」


鬼山「その賊軍は…王族の君たちだ」


その言葉が終った瞬間、一斉に警軍の兵士達が銃撃する


辺りに鳴り響く銃声


鬼山「おや?何人か生きてるね」


アーサー「く、何が…」


ユリウス「…」


ハルト「…」


パムー「???」


22人の国王の内4人が銃撃をかわし、油断していた18人はあっけなく死んだ


アーサー「どう言うことですか?!」


鬼山「どう言うこと?君たちはまだシラケるつもりかい?」


ユリウス「納得の行く説明を」


鬼山「君たちがやったんだよ。じぃへの襲撃は」


アーサー「だから、それが分からないと…」


鬼山「君の親友のベル・ヴェルティアがじぃを消しかけた」


アーサー「ッ!!!!!」


ユリウス「どう言うことです兄上」


ハルト「…」


鬼山「僕らは絶対に当たると言われている占い師からこう告げられたんだ。警軍は近いうちに崩壊する。王族の手によって。そしてじぃはその未来を信じた。実際殺されかけてるし、信じるには十分だよね」


アーサー「ベルが…あいつがそんなことするはずありません!あいつはずっと俺といました!そんなこと出来るわけが…」


鬼山「くどいよ、もう引き金は引かれてるんだ。君たちを返すつもりもないし、王族の血筋はこの世から全員消すよ」


パムー「ま、待ってくれ!妻は、あいつは助けてやってくれ!俺はどうなっても良い!」


鬼山「奥さんか…残念だ、ちょうど今兵士からインカムで連絡が入ったよ。君、チャーター国の国王だろ?妻は殺したよ」


パムー「ッ!!!!!!!!貴様ぁあああああああ!!!!!!!」


パムーが向かうと同時に一斉に兵士達の銃撃がパムーを襲い殺す


パムー「がっ!!!…」


アーサー「ッ!!!」


ユリウス「…」


ハルト「パムー、なぜ能力を使わなかった!」


ユリウス「使わなかったのではない、この肌がピリピリする感じ…能力封じか何かを使っているね?」


鬼山「ユリウス王は鋭いねぇ。正解だよ、これは最近科学の力で世界に大きな功績を残したアイテムの1つ」


アーサー「まさか!!!」


鬼山「そう、ベル・ヴェルティアの科学の力だ」


アーサー「く!!!」


珍しく怒っているアーサー

ユリウスは弟とは言えアーサーとは何十年も離れ話したのでさえ最近の事

だが分かるのだ

兄弟と言う理由だけで分かる

普段は温厚な兄が相当怒りを表していることに


ユリウス「兄上!」


アーサー「大丈夫だよ、ユリウス」


それでもアーサー怒りを押し殺した


アーサー「鬼山隊長、俺の親友の科学力をこんなことに使うのはやめてくれ。こんなことのために俺達は頑張ってるんじゃないんだ!世界から憎しみを消したい!争いがない世界を作るために俺は国王になった!」


鬼山「素晴らしい信念だよアーサー王。でも争いがない世界なんて誰も作れやしない。争いがなくならないから僕らがいる。憎しみは人を作り出す感情の1つだ。憎しみが生まれなければ世界はとっくに平和さ。押し殺してるつもりだけど君は今、僕に殺意と憎しみを眼で向けてる。そりゃ憎いだろうね、君の親友の力をこんなことに使ったのだから。でも、それ以上に僕らの憎しみは大きいものと知ってほしい。子供の頃から大事にされ続けてきた子供が、親を半殺しにされて憎しみを抱かないなんて…あるはずがないんだよ」


次郎は鬼山の親ではない

もちろんそれは本人も知っている

だが鬼山を子供の頃から育ててきたのは次郎だ

鬼山にとっての父親は次郎以外いない

本当の父親だと思って育ってきたのだ


アーサー「もう何を言っても無駄なのですね…」


ユリウス「そう言うことです兄上、不承不承だが戦うしかない!」


ハルト「3人で勝てるのか?」


アーサー「やるしかないよ…これが…運命なのだから」


向かう3人の王


鬼山「君たちは手を出さなくていい!彼らは僕ら隊長が相手する」


アーサー「うぉおおお!!」


ぶつかり合うアーサーと鬼山


ハルト「ふ!」


蹴りをかわすカリヴァ


闘魔「ん!」


闘魔の圧に少し吹き飛ばされるユリウス


ユリウス「く」


始まってしまった世界政府と王族の戦い

誰も止めることはできない…


アーサー「はっ!」


鬼山「遅い」


弾かれる


アーサー「く!三叉槍!」


鬼山「よく知ってるね。そう、僕の武器は三叉槍、名刀の名は風刃」


名刀

剣、銃、弓、鎖、様々な武器に名前がつけられており主に刀が多いことから名刀と呼ばれる

通常状態と解放状態があり解放状態は名前が変わり力が何倍にも増幅する


アーサー「名刀、やっかいだ」


鬼山「君の剣には名は無いのかい?」


アーサー「生憎ありませんよ。俺は無能力者でここまで強くなった。先生の教えです!」


鬼山「先生…そう言えば君はじぃの弟子の子だったね」


アーサー「えぇ、あなたの剣技も先生のでしょう!一太刀で伝わる。先生からの教えが」


鬼山「…」


アーサー「俺達が戦って先生はそれで喜ぶんですか?!」


鬼山「羅刹!」


大降りから無数の斬撃が放たれる


アーサー「く!」


かわすアーサー


鬼山「何を言っても聞くつもりはないのよ」←背後


ザシュ


斬られたアーサー


アーサー「ぐ!」


バチバチ


カリヴァ「なぜ能力が使える?!」


ハルト「その装置、まだ未完成に近いだろ?機械は雷に弱いんだ。少し電圧を上げただけで故障したんじゃないか?」


カリヴァ「くぅ、なかなかやるな!」


ハルト「…」


カリヴァ「雷の能力、やりづらい」


ハルト「剣を持ってないってことは能力者だろ?早く出せよ」


カリヴァ「良いだろう、出し惜しみは無しだ!アニマル武装!キメラ!!」


ハルト「それが本気か。面白い」


雷を纏い向かう


ハルト「ショック!」


バチチチ


カリヴァ「キメラの皮膚はそんなものでは傷付かんぞ」


ハルト「ッ」


ドガ

殴り飛ばされるハルト


ハルト「サンダー!」


バチバチバチ


カリヴァ「効かぬ!」


咆哮で雷を吹き飛ばす


カリヴァ「キメラバースト!」


放つ!


ハルト「ライトニング…」


ドーーーーーーーーーーーン!!

直撃


カリヴァ「今ので倒せたとは思ってない。出てこい!」


煙が晴れる


ハルト「…」


ボロボロのハルト


カリヴァ「行くぞ!」


向かうとカリヴァ


カリヴァ「ふぬ」



ハルト「ぐ!はぁあ!!」


バチバチ

ビリビリ


カリヴァ「効かぬと言った!」


尾で締め付けられるハルト


ハルト「ぐぁ!」


カリヴァ「この距離なら防げまい」


ハルト「ライトニング・ディ・ガルテス!」


真上にある雷雲から放たれる


ズドォン!!!


鬼山「く!!」


闘魔「凄まじいな」


警軍の本部が崩壊する


ユリウス「くぅ、もう少し我々の事も考えてほしいものだ」


アーサー「…」


ハルト「ハァ…ハァ…」


カリヴァ「ぐぉ…ここまでの力とは…ぐぁ」


倒れ気絶するカリヴァ


ハルト「…ぐ」


ハルトも倒れる


そこへ向かう鬼山


アーサー「ッ!」


鬼山「こんな勝ち方卑怯だって嘲笑ってもいい、僕らは卑怯なんて言葉、とっくに聞き入れてるのさ」


ザシュン

ハルトの首を切り落とす


アーサー「あぁ!」


鬼山「羅刹!」


ザシュザシュザシュザシュザシュ

無数の斬撃が放たれる


アーサー「俺が未熟故に彼を殺してしまった…もう止められないんだアーサー、受け入れろ。終わってから全て考えろ!俺はこの人を倒さなければならない!」


ユリウス「ふ!」


ギィン


闘魔「いい太刀筋だ」


ユリウス「兄上…」


アーサー「うぉおおおお!」


ザシュザシュザシュザシュザシュ

斬られながらも突っ込んでいくアーサー


鬼山「ッ!羅刹をあんなに受けて体がバラけない?!」


アーサー「俺に技なんて無い、能力なんて無い。けど先生が教えてくれた剣がある!」


ザシュ

斬られた鬼山


鬼山「う…」


アーサー「鬼山隊長ぉ!」


ぶつかり合う二人


アーサー「あなたを倒します」


鬼山「目が変わったね」


ドーーーーーーーーーーーン!

吹っ飛ばされてきたユリウス


ユリウス「ぐ…」


アーサー「ユリウス!」


ユリウス「兄上の心配など無用。自分の敵に集中してください」


闘魔「アーサー・ベルファングか…俺と同じ無能力者でここまで強いとは」


アーサー(無能力でユリウスをあそこまで圧倒するのか!警軍二番隊隊長杉村 闘魔、恐ろしい男だ)


ユリウス「致し方ない、私の名刀の最終奥義を使う!」


アーサー「ユリウス?」


ユリウス「兄上、巻き込んでしまったらすまない。私の名刀は通常状態がない、刀に宿る能力もない。だが、奥義はある!名刀ラストカリバー…」


その名を聞いた瞬間闘魔の顔色が一気に変わる


ユリウス「世界をも切り裂くと言われている名刀だ」


闘魔「全員ここから逃げろぉおおおおおお!!!」


逃げる闘魔と鬼山と警兵


アーサー「ユリウス、それを使って君はどうなるんだ!」


ユリウス「…命と引き換えに」


アーサー「ダメだ!!」


ユリウス「兄上は生きてください」


アーサー「ユリウス!!まだ兄弟らしいこともしてない、話しもちゃんと出来てない!兄として俺は…」


ユリウス「兄上、それで充分です…ラストカリバー!!」


アーサー「ぐぅ!!」


遠くへ吹き飛ばされるアーサー


ユリウス(兄上、私が一人前になったらと思っていたが…所詮未熟者で終わりそうです)


バァン!


ラストカリバーの光が無くなる


ユリウス「な!!」(どう言うことだ?!)


場変


鬼山「光が無くなった!」


闘魔「…間一髪だったな。ベル・ヴェルティアの装置のおかげだ」


鬼山「どう言うこと?」


闘魔「ラストカリバーは自分の命と引き換えの大技、自信の心の乱れによって発動出来るか出来ないか、威力の増減が決まる。恐らく賭けだったんだろう」


鬼山「彼は知らなかったんだね。ハルト王が装置を壊していることに」


闘魔「人は死を目前にするとすくむ。それがヤツの心を捕えたんだ」


場変


ユリウス「…そうか、私は恐怖していたのか…ふふ、未熟者ですらなかったと言うことか…」


倒れるユリウス


ユリウス(兄上、こんな私を許してくれ…)


場変


アーサー「ハァ…ハァ…ぐ!」


吹き飛ばされたアーサーは落ちたことにより何本か骨を折っている

能力者でないアーサーには当然の姿だろう


アーサー「ユリウス…あぐ!」(骨が何本か折れてる…)


折れた刀を見るアーサー


アーサー「先生、結局俺は…何もすることが出来なかった…く」


辺りは静かだ


アーサー「…」


町の誰も通らない裏道に吹き飛ばされていたのだろう


アーサー「まだ、まだ彼がいる!ベルが…俺は無理だったけど…ベルなら…いや、押し付けは止めよう。せめて妻と子供を!」


剣に全てのオーラを込める


アーサー「…リン、子供の顔が見たかった」


人の生命エネルギーと言えるオーラが無くなれば人は死ぬ


アーサー「…」


知っていた、誰もが

だがアーサーは涙を流し、誰かがこの剣に触れてくれると信じ命をかけた


アーサー「世界の憎しみを…」


その言葉が言い終わることはない

彼はもう…











そして数日後


警軍本部が崩壊したこと、王族の反乱、王族の抹殺

数々のニュースが世界中の人々を震わせた


場変


鬼山「…」


警兵「鬼山隊長、王族の血を持つものはこれで全員です」


鬼山「ご苦労様、君たちには1ヶ月休暇をあげる」


警兵「恐れ入ります」


鬼山「…終わったよ、じぃ」


場変


ベル「クソ!クソクソクソ!!あいつら絶対許さん!」


走り出したベルを必死に止めているリン


リン「ダメです!あなたが行ったら生きてることがバレる!あなたも私も…お腹の子供も」


ベル「それがどうした!僕はアーサーに付いていったけど、君など知らない!アーサーをよくも、よくもぉ!!」


ベル・ヴェルティアは嘘(フェイク)能力者だった

アーサーが頼んだのだ

何かあったときのためにフェイクをかけておいてくれと

そして研究に集中しすぎたベルは能力が解除されニュースを目にした


ベル「何が世界政府だ!何が王族の反乱だ!アーサーがそんなことするはずがない!!」


リン「アーサーは貴方が死に行くのを望んでるの?!」


ベル「ッ!!」


リン「…」


ベル「知ったような口を…」


飛び出すベル


リン「ベル!」


場変


ベル「クソ!警軍、許さん!絶対許さん!」


足を止めるベル


ベル「なんだ?」


何かにひかれるように足が進みだす


ベル「…剣?」


進んだ先には一本の剣が落ちてあった


ベル「ッ!!!これはアーサーの!!!」


その剣に触れた瞬間、脳裏に誰かの声が抽出される


「この声が届いていることを願う。俺はもうこの世にはいない。事故で死んだんだ。誰かに殺されたわけではない。こんなことを頼むのはおかしいことだと思う。けど聞いてほしい。この世界から憎しみを消すことが俺の夢だった。この声を聞いている君に頼みたい!俺の夢を継いでくれ。片隅に置いておくだけでもいい、俺は平和を築きたいんだ。妻も子供も親友も、俺が守りたかった…俺が…」


そこで声が途切れた


ベル「…」


雨が降る


ベル「あぁ、任せてくれ親友」


走り出すベル


場変


リン「…?」


ベル「リン!」


リン「ベル、びしょ濡れじゃない」


ベル「そんなことはどうでもいい。今から君にフェイクをかける、命を落とす可能性もある!」


リン「何を言って…」


ベル「政府の巡回が収まるまでお腹の子を留まらせる!」


リン「それって…」


ベル「おそらく1年以上はかかるだろう。子供が元気に生まれたとしても…そんな長い間中に留まらせていたら、君は死ぬと思う。」


リン「…」


ベル「それでも君が良いというなら…」


リン「私と、アーサーのためね。…お願いするわ」


ベル「…」


そして数時間後…


場変


ベル「…君のためでも、アーサーのためでもないよ。僕の悪あがきさ。アーサー、決めたんだ。…僕は憎しみを糧に科学を続ける!憎しみを人に振りまいて…思い知らせてやるんだ!僕の怒りを!!」


それから数年後…


警軍による王族の処刑は完遂した

本来なら一人一人DNA鑑定が必要だが警軍が雇った一人の能力により王族の血筋を探すことは早く終わった


後に王族の反逆としてニュースや本に記される出来事が幕を閉じた


親友を失って最悪の科学者が生まれ、自我によって王族と政府をハメた科学者は息子に殺され

一人の国王が掲げた憎しみは…無くなるばかりか広がっていく

この先も憎しみは…

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劇場版ザ・オール~王族の反逆~ @oyntheomega

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