真っ赤ないちご
もち桜
第1話 それじゃまたね
「それじゃまたね」
いつもの交差点。またここで会う約束をして手を振る。彼女の名前は美沙希ちゃん。
数日前私は高校入学を果たし、晴れて高校生になりました。新しい学校で新しい友達と出会い、毎日楽しく過ごせそうなのですが、学校から帰る途中で定期券を落としてしまったのです。
(あれ?定期がない!落としちゃったのかな?)
来た道を戻ろうと振り返ると、黒髪で同じくらいの身長の美人さんが立っていたのです!
「わわっすみません!!」
(すっごい綺麗なこ…)
綺麗でサラサラな黒髪を三つ編みのハーフアップにしたおしゃれなアレンジをした女の子が声をかけてきました。
「あのっ」
(はっ!つい見惚れちゃった)
「は、はい…」
「これ落としましたよ?」
青天の霹靂とでもいうのでしょうか?体に電気が走ったかのような感覚に襲われました。これは運命の出会いかもしれないと私は思い、立ちすくんだまま身動きがとれませんでした。
「?あ・・・あの、そんなにジロジロ見られても困ります・・・は!もしかして貴女の落とし物じゃなかったですか?すみません!落としたところが見えたので慌てて拾いに行ったので勘違いしてました!急いで持ち主を探さないといけないのでこれで失礼しますね」
ぼーっと見とれていたので、彼女が何を言っているのか分かりませんでしたが立ち去ろうとしている事は分かったので、慌てて声を張り上げてしまいました。
「それ私のです!!!」
「!っへ?や、やっぱり貴女の物ですよね?良かったです〜!大事なもの見つかって!」
いきなり大きな声になってしまったのと、振り向いた時の驚いた表情の可愛さに自分でも顔が真っ赤だとわかるくらい熱くなってしてしまいました。
その時、彼女の白くて真っ白な手で私の手を取り、落とした定期券を握らせてくれました。
(勘違いでもいい、このこと仲良くなりたい・・・!)
「あっあの!!良かったら私とイヌスタ交換してくらませんか?」
(ううっ・・・ちょっと噛んじゃった、恥ずかしい///)
「ぅええぇ!!ちょ、そそんないきなりですか?ま、まあ全然いいですけど・・・ぷっふふふ」
「あ、あのやっぱり変でしたか?」
「変ていうか、すっごく顔を真っ赤にしながら急に連絡先聞いてきてちょっとかわいいなって思っちゃてつい」
(かかかかわいい!?信じられない・・・こんな美人さんにそんなこと言ってもらえるなんて!)
「じゃあQR私が出すね・・・『いちご』?・・・ふふっかわいいアカウント名ね」
(ま、また言われちゃった!私も何か言わないと!)
「『ミサキ』さんっていうんですか?と、とってもいい名前です!」
「ふふっありがとう、美沙希て呼んでもらえると嬉しいな!」
「う、うんよろしくね、美沙希ちゃん!私はそのまま苺って呼んでくれればいいから!」
「苺??本名が苺ってなんだか素敵ね・・・貴女にぴったりの名前。さっきもイチゴみたいに真っ赤だったもの」
「ええ!?いきなりいじられちゃったよぅ!でもほんと変わった名前って言われるんだ〜。素敵なんて言われたの初めてですっごく嬉しい!」
「本当にお似合いでかわいいよ!私の名前なんてすごく普通。苺ちゃんが羨ましいな・・・」
「そんな事ない!美沙希ちゃんだってすごく素敵なお似合いの名前だよ!」
咄嗟にさっき握ってくれた真っ白な手を、今度は私が握り返していました。
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