24‡
Bと和也、純夜は店を出ると「今日は署も病院も始末に追われてる。悪いが落ち着いたらこの件は動かすが……Bには先に動いてもらう」と和也は前に歩むと軽く振り返りBを手招き。
「あらーアナタと
歩き出す和也にBは後を追う。少し鬱陶しく和也に話しかけるや純夜の視線を感じ取ったか。「あっ悪く思わないでくださいね。私はただの“ストーカー”ですから。お子様は家で勉強でもしてなさい。此処からは私達の仕事なので」とBは立ち止まり、純夜と向かい合うと『シー』と口封じをするように人差し指を立てウィンク。
Bと純夜のやり取りに和也は震えるスマホに目を向けながら「おい、あまりイジメるな」と催促。駆け寄りニコニコするBの「イジメてませんよ。警告です」とフフッと企みある笑みに「だから、それ辞めろって言ってんだよ」と和也は軽く足に蹴りをかます。
「だって、まだ裏事情慣れしてないんですから教えてあげないと。ほら、もしものときに痛い目喰らうのアナタなんですよ」
二人にしか通じない“B”と呼ぶ意味。
そして、“B”が和也を“K”と呼ぶ理由。
「うるせぇ、黙れ。Bのクセに偉そうに」
和也の苛立つ言葉にBは満足げに「表の仕事よりは楽しめそうです」と軽く靡いた風で乱れた髪を耳にかけるふりして骨伝導インカムを耳の後ろに引っ掛け当てる。和也も同じく骨伝導インカムを装着すると『あーもしもし? ごめん、あのさ』と騒がしい音と混ざった兄弟の声。圭佑と陽佑だ。
『クズな記者、ほら嘘のスキャンダルとか週刊誌に載ってる常習犯。兄貴がわざと釣ったら上手く引っかかったんだけどさ。和也の所で変に人死んだり報告ないか聞けって煩くて』
和也は陽佑の言葉に黙り、大きく深呼吸しては溜息を漏らす。
「今日は部下のお見舞いに行ったら殺され、署には行ってない。上司に報告、仲間連れて強制捜査。状況把握出来ず単に慌ただしかった」と、まさかのお見舞いだけで帰ってきた和也に「緩くないですか?」とBが突っ込むも「まぁ、過去のこともありますからね。それは“帰れ”と言われますかぁ」と納得した様子で肩を竦める。
『つか、Bいんのかよ。まぁいい、話し続けるけど“クズ記者”の家調べたり、SNSハックしたり、裏ルートがあったらこっちに情報寄越せって訳で。クズな警察は捕まえてない。流石に近寄りがたくてよ』
騒がしい複数混ざった音声がバックヤードにでも入ったのだろう。静かになり、隣でボソボソ圭佑が呟いているのか『あのクソ記者、早めに捕まえた方がいいな。行くぞ、陽佑』と声が聞こえ、和也は切られる前にと早口で言う。
「恭一を“殺し屋”として雇い脅しつつお前らが餌になって捕まえればいい。連絡してみてくれ。
サツに関してはヤりづらいなら嘘の情報をターゲットに流し動かす。とりあえずクズ記者を捕まえたら連絡しろ。クズ警察に情報流す。何かあったら連絡してくれ」
インカムが切れ、「はぁ……」と和也が溜め息を漏らすと「まさかのまさか、もしかして“上司”ってアナタのこと嫌いなんじゃないですか? ほら、私に話してくれたじゃないですが“部下”が目の前で死んだって」とBは知らん顔で語り出す。
「辞めろ。俺の精神乱すな」
「タピオカ奢ってくれるなら黙ります」
突然の子供のようなおねだりに「糞かよ」と和也は苛立ちつつ近くにあるタピオカ店でBにタピオカ4倍ミルクティーを奢る。
「わーい、ありがたやーですね。じゃあ、黙ります」
太めのストローを咥え、時が止まったように恐ろしく静かになるBに和也は「あの時の犯人が【上司】って言いたいのか」と我慢出来ず、確信のない“疑い”を小言で漏らす。
それにBはストローを咥えるのを辞め、和也の目を見ては「周囲に妙な気配が数人。アナタ、監視されてません? 警察とかではなくて“私達とは違うクズ”に」の言葉に目を背ける。
「俺には気配は感じないが」
「あら、そうですか。じゃあ、クズな自警団が近くにいるんですかね。ほら、あの人は恨まれやすいですから……」
「自警団。あぁ、アイツか。アイツがいると少し楽だな。GPSで辿って誘うか」
「えぇ、そうですね。ついでにクズ回収で“大きなゲーム用”に人数確保にもなりますしFも喜びますよ。“アレ”で殺したいと言ってましたから準備の手間も省けますし。というわけで探しますか? あのクズを」
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