第33話 転生詐欺

 聞いていた話と違う。


 俺が住んでいた地球からこの剣と魔法のファンタジー世界に転生したら、強い力と俺のことを好きになってくれるパートナー、信頼できる仲間ができるって話だったじゃないか。


 異界の神とか名乗るやつの口車に酔った勢いで乗ってしまった。


 それがどうだ、実際は『普通の人間』よりは強い力を持つ魔物に生まれ変わって、森の中でクオリティ・オブ・ライフ最悪劣悪な環境だ。強ければモテる、転生特典のおかげで俺は次期群れの長だ。

 パートナーはかわいいはかわいいけど小動物的なかわいさっていうか小動物型の魔物。

 信頼できる仲間っていうか、群れ。


 平穏スローライフではあるけれど、魔物の中では最弱すぎて捕食される側だしなんなら冬眠したらそのまま死んじゃいそうな虚弱生物。

 神のやつめ、俺のことを騙しやがったなー!!!


 俺はパートナーの首元に顔を埋めながら、誰にも理解されることがない日本語で叫んだ。その度に視界にポップアップするゲームのようなウィンドウに『嘘はついてない』と神から返信がある。


 見守っててくれてるけど、……冒険すらない俺の魔物生の何が面白くて見てるんだよ……。

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