標識は道すがら

@mohoumono

標識は道すがら

道を歩いていると標識が現れる。

突然目の前に。

標識には、Uターンのマークが描かれていた。

面倒臭いななんて思いながら歩こうとすると後退する。

ずっとずっと

僕が止めると標識も止まる。

僕と標識は一定の間隔を保っていた。

なら、この標識通りに逆の方向を歩いたらどうなるのだろうか。ものは試しだ。そう思った僕は、振り返って歩き始めた。

最近肩が重い気がする。後ろを見ても何も背負ってないのに、一歩を踏み出すのが苦痛で仕方なかった。ふと、足元を見る。

踵が前を向いていた。

そりゃそうだ。歩きにくいに決まってる。

ホント馬鹿げてる。僕は笑った。

走りたくなった。つま先の向く方へ。

走りたくなった。叫びたくなった。

標識は、それほど早く走れなかったらしい。

いつの間にか、一人になっていた。

肺が軋むように痛い。

けど、気持ちよかった。

つま先の向く方へ歩いていこう。

痛みも重さも背負うのは僕だから。

標識は道すがら、確認するくらいでちょうど良い。車等は、また別の話。

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