第22話 女神☆降臨!
〈天命の剣〉――すべての神々へ役割を与え、運命を定めるという神剣。
人間界に
永遠の命を求める王が――
神が持っていた剣を盗み出した怪物が――
などの話が有名なようだ。
推測するに〈天命の剣〉は
私の場合を例に
そもそも、私をこの世界に連れてきたのは
恐らくは世界という概念が存在する前にあった
野菜などと一緒である。
より良い魂を収穫するために、不要な魂を地上から取り除いているのだ。
ならば
より白く、より黒く。その程度の違いだ。
類は友を呼ぶ――ではないが、善行や悪行を積んだ魂は周囲に影響を与える。
変化に対応できない存在や、自らを変えようとしない存在に価値などないのだろう。不変を許されるのは、神とその
当時OLだった私は、女性だけを狙う
死体となった女性は肉片へと化し、部屋中に
金品が目的でもなく、身体を
『殺す』というよりは『破壊する』といった印象だ。
圧倒的な暴力で、すべてを終わらせてくれる存在。
私はそれに憧れ、求めてしまった。
死んだことに後悔はしていない。
家と会社の往復だけの生活。
恋に興味などはなく、
生きることに価値を見出せなくなっていた私は、
もしも
世界の停滞こそ、私の求める救済である。
そのハズだった――
◆◇◆◇◆
テレッテッテッテー♪ デデデン!
「私、参上!」
(――じゃなかった……)
「女神☆降臨!」
ニンスィキルたちの歌が終わると同時に
人々が――アレは
演出としては十分だろう。
風が吹き、
信仰がないモノたちには、私の存在が
その場の全員が息を呑み、私に
気分は水戸の御老公様だろうか?
「さあ、あなたたちの罪を数えなさい」
と事件解決に必要な決め
ここから先は私の仕事である。行き場を失い荒れ狂う神力。
それが津波となって、この王都へと押し寄せている。
恐らくは〈
過去には――その島で
神力を
〈
神殿の地下にあるという洞窟自体が『魔道具と同じ機能を備えている』と考えるのが普通だろう。
今、神力が暴走しているのは、その儀式を行わなくなったからだ。
私は暴走する神力を借りて、島を沈めることにした。
人々の信仰、暴走する神力、更には
必要な力は手に入れた。
(やはり、最後に勝つのは私である!)
ここからがハイライトよ!――敵の力を利用して、敵に立ち向かうのが王道。
私はそれを
人々には大津波に見えているそれは、私にとっては一匹の
この場合は『
強すぎる力なので、本当は使いたくはないのだが、今は仕方がない。
「
そう言って、私は眷属でもある三人のメダル――いや、
人々の希望を胸に、より高く、より輝き――暴走する神力である――海神へと、その力を解き放つ。三人の魂を借りて――
「今、必殺の……ラムダーキック!」
大胆な掛け声も忘れてはいけない。海神が開けた口目掛け、私は飛び込んだ。
相手は暴走する神力。生命として存在するワケではない。
であるのなら、倒し方は決まっている。
海神の口から、大量の空気を送り込むのだ。
水に物理攻撃が効かないのは分かり切っている。
渦巻く風が大きく開いた
次第に膨張し、膨れ上がった海神は――ついには
竜巻とも呼べる風に巻き上げられ、周囲には雨となって降り注ぐ。
しかし、神力まで霧散したワケではない。
水の力で作り出した一匹の龍に神力を
人々にはどう見えているのだろうか?
巨大な水柱が天へと昇って行く――そんな所だろう。
荒れ狂う神力をそのままに、かつて儀式が行われていたと思われる島へとぶつける。これで島は沈み、儀式を行うことはできなくなるハズだ。
それは同時に神力が生まれなくなることを意味する。
津波は消え、大量の水は再び大粒の雨となって、人々の頭上へと降り注ぐ。
今は多くの人々が感謝している。しかし、
ここに古き神の時代は終わり、新しい神話が生まれた。
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