第16話 内緒にしておこう
分かったことは、どれだけ歩いても『この世界には終わりがない』ということだった。
それでも、世界の
どうやら、物理的な法則は通用しないらしい。
私が進めば世界が広がり、戻れば閉ざされる。
昼と夜の感覚も
太陽が存在するワケではなく、世界は私に合わせて変化するようだ。
そのことに気が付くまで〈
「こういう事は最初に説明しておいて欲しかった……」
と私は肩を落とし、
不思議と疲労感はなく、お腹が減ることもない。
その
まあ、文句を言った所で、誰も責任は取ってくれない。
考え方を変えるべきだろう。
気付けてラッキー♪――そう思うことにする。
また、私には
『ある程度の権限が付与されます』
そんなことを
私は発見した能力に対し、仮説を立てて検証することにした。
まずは〈
私が進む方向に道が出来るので『変だ』とは思っていた。
恐らく、私の『前に進む』という意思に反応して、枝葉が移動しているようだ。
正直なところ、これでは逆に道に迷ってしまう。
(どうすれば、最初の場所に戻れるのだろうか?)
そんなことを考えていると、次の瞬間には
〈
なかなか便利ね♪――と思えた、この能力。
しかし、移動するためには、目的となる場所に目印が必要であった。
基本的に〈
明確な
『太い枝のある場所』や『花が咲いている場所』では移動先が特定できないらしい。
取り
同時に歩く必要すらなかったことに気が付く。
また、これらの能力は便利である反面、同時に問題の発生でもあった。
(私は〈
垂直に木を登っても、枝から宙吊りになっても、落下することはない。
私の足元が常に地面となっている。
乱れることのない髪の毛の様子から、重力が存在するのではなく、私の身体が『〈
(自由に大樹の表面を走り回る少女……)
それを想像するだけで、妖怪じみている気がする。
(いえ、この場合は妖精よね?)
まあ、考えても仕方がないので、出来ることを増やす方が利口だろう。
使えるモノはないだろうか?――と周囲を見渡した瞬間、私の目の前に突如として卵が現れた。
◆◇◆◇◆
物質を風に変えることも可能で、後片付けも一瞬である。
恐らく、
厄介な相手だ。どう戦うべきか、考えるのは後にするとして、
「まずはお互いの情報を精査しましょう」
と私は提案する。すると、
「そうですね。では、申し訳ありませんが、少し部屋を出ていてもらえますか?」
お腹、空きましたよね――
不満は残るが、私たちは一旦、
突風が発生し、
その様子に
明らかに魔法とは異なる力なので、当然の反応だろう。
私はその間に、他の部屋の様子も確認する。
店員や客は眠らされていたのか、目を覚ましたようだ。
次第に店内が騒がしくなる。見付からない内に、私は急いで部屋へと戻った。
店は
「これで食事ができますね」
と
やはり、お腹がいっぱいになれば、私の機嫌が良くなると思っているようだ。
子供
彼は私の頭に
店員が現れ、次々に料理が運ばれてくる。
(別に一人で食べられるのだが……)
その隙に
男同士の会話というヤツだろうか? 少し気になる。
ある程度、落ち着いた所で、私たちは情報交換を行った。
まずはニンクルラの紹介と、ここまでの
(ここに来る前に色々と食べたことは内緒にしておこう……)
次に
若い神官たちは新しい神を信仰しているようで、神殿内で改革を行っているらしい。どうやらそれが、古い神々との決別を加速させているようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます