世界樹喫茶は今日も閑古鳥が鳴く~美少女エルフに生まれ変わってみた件~
神霊刃シン
世界樹の女神
プロローグ
第1話 もう会えない、彼との約束
「そろそろ、起きて
もう朝?――と
(私は死んだはずだ……)
正確には『殺された』と言った方がいいのだろう。
「
と男性。その優しい声音に、私は
初恋の男の子に似ているのかもしれない。
遠くへ引っ越してしまった年上の幼馴染だ。
もう少し、このままの体勢でも良かったのだが、彼はゆっくりと私を降ろしてくれた。
どうやら、彼に抱きかかえられたまま、私は運ばれていたらしい。
空は満天の星空。冷たい夜の世界。
(まるで星の海を旅しているみたい……)
足場はあるのだけれど、そこを地面と言っていいのかは分からない。
鏡のように綺麗な平面で、天から降り注ぐ星の光を反射していた。
色は
私の足が触れた場所からは、
白い光の円は緩やかに遠ざかり、千切れた弧を描く。
水面に
それでいて、水の上ではないのだから不思議な感覚である。
(まるで
周囲には漆黒の闇と
地面は存在するが、無限に広がる空間に私は立っている。
あまりの
風はなく、静寂が支配する世界。これが死なのだろうか?
ただ眠りに
「申し訳ありません」
と男性――私を抱えて運んでくれていた青年――が謝った。
長くも短くもない綺麗な
優しそうな雰囲気は亡くなった父親を思い出す。
死神というよりは、天使といった印象だ。
(
青年の言葉の意図が分からず、私が首を
「本来は
「もう、元の世界へ戻ることは出来ません」
と説明された。その口調は穏やかだ。
私を刺激しないように、
頭で理解するのに少しだけ、時間が掛かってしまう。
恐らく『輪廻転生』――生まれ変わること――が出来なくなった。
そんな
本来ならば「どいうこと⁉」と声を上げて、詰め寄るべき
ただ、私自身は『やっと解放されたのだ』という喜びの方が強かった。
他人から見れば十分に恵まれていた人生だったのだろう。
しかし、私には
すべては母の死から始まり、年の離れた双子の姉たちに起因する。
貧乏だったワケではないし、生前の両親は優しかった。
問題があったのは姉である双子の存在だ。
「それは、いいことを聞いたわ♪」
と笑顔で答える私。この反応には青年も
やや
わざわざ、
(別の使い道があるのよね……)
「私に
腰の後ろに手を回し、前屈みポーズを取る。
心が軽くなったため、自然と身体が動いてしまった。
若くはない私がやっても可愛くはないだろうが、年齢はもう関係ないハズだ。
(死後の世界だものね……)
青年こと『
この時から、私と彼――そして仲間たちとの長い救済の旅が始まったのだ。
世界は過去に5回滅んでいる。
6度目の世界に、私は生まれ変わった。
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