恋文の隠れ家

千才生人

恋文の置き場

僕には、好きな子がいる。

彼女の名前は、一肇。優等生で、なんでもできる完璧美少女。

そんな彼女に恋をしている。顔面偏差値の低い僕では釣り合わないのは、わかっているはずなのに諦めずにいてしまう。


諦めないというところだけは何故か前向きだが、お気持ち表明ができないというのが僕の欠点だ。

残念ながら、僕には口で伝えるのができないらしい。だから僕は、とある策を考えた。


「手紙を書こう」


そうして僕は、気持ちの塊を手紙にぶつけて、封を閉じた。しかし、初めて手紙を書くので何を書けばいいのかが分からず、二言で済ませてしまった。


手紙の内容はこうだ。

『好きです。僕と付き合ってください』


後は、手紙をどこに置くか。当然ながら、手渡しは無理なので、どこかに置くしかないのだ。

机の中だと勝手に物をいじってしまうので、気持ち悪がられてしまう。なら、机の上はどうだ?違う人の手に渡ってしまうかもしれないが、そうしよう。


とある授業の移動教室。僕は、保健室で休んでいた。本当のところ、どこも悪くはないが、手紙を置くため保健室でサボってしまっている(良い子は真似しないように)。


「先生、頭痛治ったので、授業行ってきます」


「本当に?お大事にね」


僕は教室に戻った。僕は彼女の机を見つめた。僕は一歩ずつ近づいていく。


一歩、弍ほ、サんほ―――――――――頭は真っ白で全て無意識にやっていた。


彼女の机には、手紙が置かれていた。



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