ベイブルーズ

ベイブルーズ

さあ、試合は9回裏、ノーアウト満塁です。

一塁ランナー、赤ちゃん。

二塁ランナー、赤ちゃん。

三塁ランナー、赤ちゃん。

そして、

バッター、赤ちゃん。

ただの赤ちゃんじゃございません。

非常に高度な教育を施された、

スーパー赤ちゃんです。

泣かない。おとなしい。

よちよち立ちながらも、バットにつかまり立ち。

バッターボックスで、ピッチャーをしっかりと、

睨んでおります。

ボール、ボール、ボール、ボール。

四球、四球、四球、また四球です。

四四球。

押し出しで、同点です。

赤ちゃんよちよち歩きで塁を進みます。

いまだノーアウト満塁。

このままでは、サヨナラフォアボールです。

ピッチャー、振りかぶらず。

下手投げで、優しく、そーっと投げます。

当たった、当たりました。

優しく放物線を描いたボールは、

赤ちゃんがしっかりと、寝かせて持っている、

バットに当たりました。

泣くか、泣くか、泣くか、泣かない。偉い。

あーっと、

一塁ランナー、赤ちゃん。

二塁ランナー、赤ちゃん。

三塁ランナー、赤ちゃん。

進塁しております。

ヒットの場合は走塁せよと教えこられているのでしょうか。

ただ無情にも、バットに当たったボールは、

内野へと打ち上がっております。

インフィールドフライは宣告されません。

この回、ベイビーズ、選手九人を、全て赤ちゃんに交代するも、

無念。トリプルプレー。

延長戦に突入です。