第4話 王国へ
2柱の魔神――吸血連合が復活、そのツートップのジルとエルゼベルが襲来してきた。僕とアオイは
「アオイ、活動拠点はどこの国にする?」
「活動拠点にする国って、強くて大きい国の方がいいよね?」
「そうだな…、例えば神国オデヌヘイムとか」
「オデヌヘイムって、あのオーディンを信仰してる大国?」
「まあ、そうだな。ここからは遠くないはずだけど…」
すると、転移魔法でも使ったのか急に1人の女性が現れた。
「あなたたちは、この町の冒険者方ですか?」
「一応そうですが、あなたは?」
「私は、オデヌヘイム国王直属の召使い及び
「それって、僕たちのことでいいんだな?」
「はい。それでは、私につかまってください」
「はい。ほら、アオイも」
「うん」
「術式発動。秘技『
*
「ここが…、神国オデヌヘイム」
「人が…いっぱいいる」
神国オデヌヘイム――。軍神であると同時に農耕神であるオーディン神を信仰し、その効力か遥か昔から栄え、どの時代の文献で軍事面でも経済面でも最強と謳われた大国。世界のどこを探してもここまで繁栄している国はないとまでいわれ、今でも多くの人々が生活を営んでいるけど、他の国や地域と住宅の形状は同じようにしてあり、それがまた国の至る所にある文化財と調和している。ここはまさに理想郷とも言えなくはない国だった。
「国王様がお待ちです。こちらで拝謁を」
「はい」
そして王のいる城内の宮殿に向かったが…。
いきなり中からアオイより少し年上に見える少女が飛び出してきた。
「おお!千里眼で見たとおりの人間肌のイケメン…。ルキネア、コイツ旦那にしていい?」
「だめですヘルヴィア様。この方たちは国王様のお客さんです。それに、へルヴィア様のお婿様は…」
「私、あんなヤツと結婚するつもり無いから。でも、お父様のお客さんってことは、コイツは私が貰っちゃってもいいわよね?」
「だから、だめです。それより、通してください」
「はーい。ああ、未来の旦那様…」
僕はその少女に唖然とするしかなかった。何?僕が未来の旦那?
「えっと…、さっきの
「国王様の御曹司にして第一王女のヘルヴィア様です。あなたたちを千里眼で見ていた時からあなたの容姿を称賛していました」
「そうですか。そういえば…」
「国王様が既にいらっしゃいます。できるだけ私語は控えてください」
「は、はい」
「国王陛下、ご所望の客人を連れて参りました」
「さすがだ、ルキネア。下がってよい」
「はっ」
その玉座に座っていたのは想像した顎髭を蓄えた威厳のある王ではなく、筋肉質な身体を持ち、軽装を身に纏った銀髪の若者だった。
「すまない、急に呼び出してしまって。お主らには依頼したいことがある。が、その前に。お主ら、言いたいことがあるであろう?分かっている、だから遠慮はいらない。さあ、言ってくれ」
「あ、あの、国王様。どうして国王様はそんなにお若い身体をお持ちに…?」
「そりゃあ誰でも最初は驚くだろう。俺は昔…つっても200年くらい前だが、堕天使ルシファーに喧嘩を売って不老不死にされちまったんだ。最初はどうしようと思ったさ。だって、不老不死ってどんな罰よりも重いから。だが、この身体のおかげでずっとこの国の政治は俺に権利があるし、老いがない分強くなれて戦場に出向けば有能な戦力として戦った。で、今の女王も跡継ぎに恵まれなかったから次の世代は俺がまた政治をやる番だ。どうだ?」
「そ、そうですか。ところで、依頼とは何ですか?」
「実はお主らは見ていなかったであろうが、あの魔神どもが他の冒険者の前に立った時、冒険者らは立ちすくむか腰を抜かすかして立ち向かうことすらできていなかったんだが、お主らはヤツらとまともに会話できた。つまり、今のところヤツらに対抗できるのはお主らだけだ!と、いうことで、お主らには
「ちょうどいいですね。僕たちはアイツらを封印しに行こうと思っていたところなんですよ。」
「ならば頼んだ。こちらからはできる限りの支給品を用意させてもらおう。シグルド・ニーベルング・オデヌヘイムの名にかけて!」
「ありがとうございます。そういえば、まだ名乗っていませんでしたね。僕はシドラ・コエクシストといいます」
「私はアオイ(本当はブルーハだが、王を信用しきれていないため、普段の偽名)・チョンチニーといいます」
「そうか。アオイは聖剣を持っているようだが、シドラは聖剣を持っていないようだな。ならば、これをお主に授けよう」
「あ、ありがとうございます。これは…?」
「心裂剣リディルだ。あのファブニールの心臓を切り取る際に使われたという伝承がある。それでいいか?」
「はい。本当にありがとうございます。必ず、吸血連合を封印してきます」
「もしものことがあるとまずいから、一応千里眼で見守る。だからイレギュラーがあれば俺たちも出陣する。さあ、世界の為に頑張ってくれ」
「はい。行ってきます!」
続く 次回、
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