はに子VS埴輪シャーク

Li'l Hatter

はに子VS埴輪シャーク

むかーしむかしの弥生時代に、粘土ロボ『はに子』を制作している卑弥呼博士がいました。


「よーし! ついに完成したわ!」


完成した粘土ロボ『はに子』を見て、卑弥呼博士が喜びの声をあげます。


「うふふ♪ これさえあれば、町おこしが成功するかもしれない」


そう言うと、卑弥呼博士は早速、はに子を邪馬台国に配置しました。はに子は、ゆるキャラのような姿をしていて、見た目が可愛い埴輪です。その可愛さで、たちまち評判になり、観光客もたくさん訪れました。

ところがある日のこと。


「ハッハッハッー!!」


突然、誰かが高笑いをあげて、卑弥呼博士の前に現れました。


それはなんと、黒衣を着た狗奴国くぬのくにのマッドサイエンティスト『Dr.卑弥弓呼ドクターヒミココ』だったのです。


※狗奴国とは?。魏志倭人伝に記載されている、3世紀頃の日本に存在したと伝える国名。北の邪馬台国と対立し、卑弥呼と卑弥弓呼は『素より和せず』と抗争状態であった。


「なっ……!? アンタは、Dr.卑弥弓呼!! なぜここにいるの!?」


驚く卑弥呼博士に、Dr.卑弥弓呼は不敵な笑みを浮かべて言いました。


「フッ……愚問だな。俺様はただ、この領土を侵略しに来ただけだよ」

「なんだって!? そんなことさせないわ!」「はにはに!」


卑弥呼博士が身構えると、Dr.卑弥弓呼は邪悪なオーラを放ちながら言いました。


「フンッ……。貴様の作ったはに子など、俺様が開発した粘土ロボの前には無力なのだよ」


すると、Dr.卑弥弓呼の背後から、サメの形をした粘土ロボが現れました。


「こいつの名前は『埴輪シャーク』! こいつのパワーは、あのヤマタノオロチにも匹敵するのだ! 喰らえぇい!」


Dr.卑弥弓呼が叫ぶと同時に、埴輪シャークは勢いよく襲いかかりました。しかしその時、


「させないはに!」


はに子が両手を広げて襲いかかる埴輪シャークをキャッチしたのです。


「なにぃ!?」


驚くDr.卑弥弓呼。そして、はに子は埴輪シャークをジャイアントスイングして投げ飛ばしました。


「ぐわあぁああ!」


投げ飛ばされた埴輪シャークは運悪く通行人の謎ピエロに激突しました。


「ナイススイングよ、はに子!」

「くそぉ! こうなったら、奥の手だ!」


Dr.卑弥弓呼は懐からリモコンのようなものを取り出すとスイッチを押しました。すると、投げ飛ばされた埴輪シャークの頭部が6つに増えて起き上がりました。


「ハァ~ンニィ~ワァアアッーーーッ!!」


奇声を発しながら襲ってくるシックスヘッド埴輪シャークに対し、はに子はファイティングポーズをとりました。


「死にてぇ奴から、かかってこいはに!」


こうして、はに子VSシックスヘッド埴輪シャークの第二ラウンドの戦いが始まったのです。6つに分かれた頭のうち2つはヌンチャクのように振り回しながら攻撃してくるため近寄れません。ならばと、はに子はヌンチャクを避けつつ、隙を突いてヤクザキックやパンチを浴びせていきます。さらに、残り3つの頭はそれぞれ口から炎を吹き出し、それをはに子が手刀で断ち切ります。一見互角に見える戦いですが、次第にはに子の体力の方が消耗していきました。


「ハァ……ハァ……」


息切れし始めたはに子に、Dr.卑弥弓呼が勝ち誇ったような表情を浮かべます。


「フッ……もう終わりかね? ならば止めを刺してくれるわ!」


Dr.卑弥弓呼が指パッチンすると、シックスヘッド埴輪シャークは一斉に口からレーザーを放ちました。その熱光線を浴びたはに子は倒れてしまいました。


「はに子おおぉぉーーーっ!!」


悲痛な叫びをあげる卑弥呼博士。


「クックックッ……。ハッハッハッハッハッ!! 俺様の侵略を邪魔するからだ!」


勝利の高笑いを上げるDr.卑弥弓呼。


「うぅ……このままじゃ、邪馬台国が奴らに乗っ取られる……。あ、そうだわ!」


卑弥呼博士はあることに気付きました。


「はに子! これを食べて元気を出して!」


そう言って卑弥呼博士が取り出したのは、『はまぐり』だったのです。


「これは……?」


首を傾げるはに子に、卑弥呼博士は言いました。


「この『はまぐり』にはね、高コレステロールの改善や動脈硬化、高血圧症を予防&改善したり滋養強壮にも効果的なの。だからこれを食べれば、あなたは元気になるはずよ!」


そう言われたはに子は、迷わず『はまぐり』を食べたのです。


パクリッ。


『はに子』は『はまぐり』を食べると、みるみると回復していきました。


「よし! これでまた戦えるはに!」


立ち上がるはに子を見て、Dr.卑弥弓呼は焦りの色を見せました。


「ば……バカな!?」


Dr.卑弥弓呼は再びシックスヘッド埴輪シャークに指示を出しました。


「ええい! もう一度、奴を焼き殺せ!」


再び放たれるレーザー。しかしはに子は避けようとせず、右手にエネルギーを集中させました。


「喰らえはに!」


そして、そのまま勢いよく手を突き出すと、そこから巨大なビームが発射されました。


醸造酒じょうぞうしゅーーーッッ!!!」


ビームはシックスヘッド埴輪シャークの頭部を貫き、そのまま木端微塵になりました。


「なにいいぃい!?」


Dr.卑弥弓呼はあまりの出来事に愕然とします。


「こ、こんなことが……。だが、まだだ! 俺様にはとっておきの切り札──」


しかし、Dr.卑弥弓呼の言葉を言い終える前に、はに子はDr.卑弥弓呼に剛拳ラッシュを喰らわしました。


「はにはにはにはにぃぃーーーっ!!!」


──ドガガガガガガガッ!!


「ぐわああぁぁああっ!!」


Dr.卑弥弓呼はなすすべもなく、その場に崩れ落ちました。


「ぐふ……お、覚えていろ……ガクッ」


捨て台詞を残して気絶したDr.卑弥弓呼に、はに子と卑弥呼博士はハイタッチしました。


「やったはに!」

「さすが私のはに子!」


こうして、はに子の活躍により、邪馬台国の領土は守られたのです。その後、はに子の評判を聞きつけたたくさんの外国人観光客が訪れ、町おこしも大成功。はに子の人気は右肩上がりに伸びましたとさ


めでたしめでたし。

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