第19話紗和と真希、二人の化学

理系の大学に通う紗和と真希は、共に化学を専攻していた。二人は研究室で出会い、次第にお互いに惹かれていくものの、告白の言葉はまだ交わされていなかった。


ある日、紗和は分子の構造について真希に説明していた。


「真希、覚えてる?ベンゼンの分子構造は六角形で、炭素原子が頂点にあり、二重結合と単結合が交互に繋がってるんだよ。」


真希は紗和の説明に聞き入りながら、彼女の瞳に映る知的な輝きに心惹かれていた。


ある週末、二人は大学の研究室で、共にフッ素を用いた有機化学の実験を行っていた。手際の良い真希の姿に、紗和は彼女の熱心さに感動していた。


「フッ素は最も電気陰性度が高い元素で、分子内に結合することで化合物の性質が大きく変わることがあるよね。」


真希は紗和の言葉に頷き、実験結果をノートに書き留めた。二人はお互いの研究成果を共有し、互いの知識を深め合っていった。


ある夜、研究室で遅くまで研究に励む紗和と真希。紗和は真希に向かって、勇気を振り絞り、思いを伝えた。


「真希、実はずっと言いたかったことがあるんだ。私、君と一緒にいると、すごく心が落ち着くし、とても幸せだと感じるんだ。」


真希は紗和の言葉に驚いたが、彼女もまた紗和の知識と情熱に惹かれていたことに気づいた。


「紗和、私もそう思っていたんだ。君の知識や情熱に触れる度、胸が高鳴っていたの。」


告白の言葉は交わされなかったものの、紗和と真希は互いの気持ちを理解し合った。

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