第12話蟹と狸と夏休み
ある日、海辺の町で暮らす小学生の華と椿は、夏休みに入ってからも毎日、海に足を運んでいた。ある日、二人は浜辺で、蟹の柄の水着を着た少女・潮と出会った。
潮は、自分が着ている水着を自慢げに見せてくれ、海での遊び方や、海にまつわる話を語り始めた。潮との出会いによって、華と椿は、毎日の海遊びがより一層楽しくなっていった。
ある日、三人は砂浜で休憩をとりながら、話をした。
すると、潮が「私が蟹の柄の水着を着ているのは、私の家族が狸だからなんだ」と告白した。
華と椿は驚き、潮の話を聞くことになる。潮は、狸の一族の中でも特別な存在で、自分が着る水着は、狸の姿を蟹に変える力を持っていたのだという。
華と椿は、潮の話に深く興味を持ち、潮と過ごす時間をますます増やすようになった。
そして、夏休みが終わりに近づき海水浴場も営業終了の日、三人で最後の海遊びに出かけることになった。
その日、姿を見せない潮を探す華と椿の目の前を一匹の蟹が走り去っていった。
それから潮と会うことがないまま夏休みが終わり、華と椿は学校に戻った。
そして二人は潮との出会いや、彼女の力を思い出しながら、毎日を過ごしていった。
夏の思い出は彼女たちの心の中にずっと残り続ける。
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