第68話 押し寄せる魔王軍

「なぜだ!? ここにいる敵は全部倒したぞ!? まだいるのか!?」


オレの反論に対して、ベルファは頭を抱えながら言った。


「別の方向から、新しい魔力を感じるのよ。邪悪な魔力が。おそらく、王都の北側と南側……もしかしたら、東側からも来ているかも知れない……かなりの大軍だわ……」

「そんな! じゃあ、オレたちはどうすればいいんだ!?」


 オレはベルファに詰め寄った。ベルファは答えに窮していたが、代わりにエアリスが口を開いた。


「ここにいた敵は、みんな一直線に王城を目指していた。たぶん他の敵もそうだろう。四方から王城へ向かっていると見るべきだ。だから、ボクたちも王城へ急ぐんだ!」


 そう言って、そのまま王城へ向かって一人で走り出した。


「ナリユキ! あんたは足が速いから、ここへ来る憲兵たちに呪いの騎士の弱点を伝えてから後を追って来て! 氷が溶けてまた動き出したら、面倒だから! 王城の入口で落ち合うわよ!」


 ベルファはそう言うと杖に跨り、後ろにユリカを乗せて飛んで行ってしまった。まだ戦いは続くのか……頭が痛いぜ。

 オレは憲兵たちの到着を待つ間、黙々と凍りついた呪いの騎士たちを『鉄子』を使って破壊していった。あ~めんどくさい。本当は休みたいんだけどね……。


 しばらく経ってから、憲兵隊の連中が駆けつけて来た。遅いよ! もう、ほとんど壊しちゃったよ……。

 オレは一人の憲兵に呪いの騎士の弱点を説明すると、急いで走り出した。この状況だと、手裏剣と焙烙玉も必要だ。まずは、宿屋へ戻ってこれらを持って来ないといけない。使える武器は、全て使わねば!

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