第57話 ウェルゼナ国王22歳

「遠路はるばる、よく我が国へ参られた」


 ウェルゼナ国王に謁見したオレたち4人は同時に片膝をつき、臣下の礼を取った……あれっ? お前ら女子3人って、エルディア姫に謁見した時と違って、まともな応対しているじゃん! やればできるじゃん! エルディア姫の時の無礼な態度って、何だったの?

 ……まあ、予想はつく。

 このウェルゼナ国王というのが、金髪のイケメンなのだ。年齢は確か、22歳と言っていたか……白馬の王子さまみたいなもんだ。ユリカあたりは、瞳をキラキラと輝かせている。

 まあ、コイツは金が目当てかもしれないけど。


「こちらが、エルディア姫からの親書です」


 オレは、おずおずと国王に向けて親書を差し出した。二国間で同盟を結ぶための重要な文書だ。えっ、中味? そんなのオレたちが見れるワケないじゃん!

 国王は親書を受け取ると、その場で封を切って内容を吟味した。


「……ふむ。魔王軍の攻撃を頻繁に受けている我が国に対して援軍を送る意思があると……これは、ありがたい申し出だな」


 このウェルゼナ王国は、魔王軍の領土に隣接しているため、人間国家の中で最も魔王軍の脅威にさらされているはずだ。エルディア姫は、この国と同盟を結ぶ事によって、連携して魔王軍と戦おうとしているのだ。


「だが、余がこの場ですぐ決断する事はできない。国内の重臣たちと、内容について議論する必要がある。7日ほしい。7日後の同じ時刻にここへ来てくれ。その時に、姫へ渡す親書を用意しよう」


 さすがに、国家間の取り決めを即断即決とは行かないか。まあ、普通はそうだよね。これは仕方がない。


「わかりました。では、その時に再びお伺いします。お忙しい中、ありがとうございました」


 オレは一礼して、その場を去ろうとした……その時だった。


「ちょっと待ってくれ」


 国王が呼び止めた。まだ何かあるのか?


「余の返事を待つ間、この王都に滞在するのだろうが、一つ注意してもらいたい事がある」

「それは……何でしょうか?」

「実は最近、この王都で若い女性が行方不明になる事件が相次いでいるのだ。我々としても対策を講じているのだが、まだ手がかりもつかめていない。そちらの方々も、滞在中は十分に気をつけてほしい」


 国王の視線が、オレの後ろにいる3人の女子に向けられた。3人の顔が、同時に青ざめた。

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