第34話 炸裂! 氷結魔法

 オレは、ベルファの方を振り向いた。

 そこには、杖を高くかざして不気味に笑うベルファの姿があった。

 その全身は真っ白に輝き、杖の周囲に凄まじい冷気が充満しているのがわかった。さ、寒い……!

 これは、まるで本物の雪女だ!

 自らが狙われていると気付いた巨大な石像は、雄たけびを上げながら、ベルファに向かって突進する!

 巨大な剣を右腕で振り上げる石像。しかし、そこでベルファは叫んだ。


「凍てつく氷の中で眠れ! アイスレクイエム!」


 その瞬間、ベルファの杖から猛烈な冷気がほとばしった!

 ベルファの杖から次々と吹雪が生まれ、石像へ向かってなだれ込む。周囲にいるオレたちにも、凍るような冷たい空気が激しくぶつかって来た。オレは思わず、両腕で自分の顔をカバーしていた。

 突然、吹雪がピタッと止んだ。両腕を顔からどけると、石像の右腕が完全に凍りついていた。不気味なほどにキラキラと輝いている。しかし、右手に持っている剣だけは、凍っていなかった。

 よく見ると、石像の頭や胸、腹、右足なども部分的に凍っていた。どうやら、相当のダメージだったらしい。石像は持っていた剣を落として、ヨロヨロと片膝をついた。完全に動きが鈍っている。


「チャンス!」


 オレはダッシュして石像が落とした剣を拾い上げ、石像の凍った右腕目がけて全力で振り下ろした!


 パキイィィ――――ン!


 命中したその時、ガラスが割れるような手応えがオレの両腕に伝わった。そして、石像の右腕全体にビキビキと亀裂が走り、バラバラと瓦解して崩れ落ちた。

 石像は右腕を失った事で、大きくバランスを崩して転倒した。


「よし! この状態なら、塔の外へ突き落せそうだ! エアリス、手伝ってくれ!」


 オレがそう言ってエアリスの方を振り向いた時、塔の中に不気味な声が響き渡った。


「そんな事をされては、困りますね」

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