第22話 ライムはデキる子

 オレとユリカはメンバー登録を済ませた後、遅めの朝食を取ってからクエスト選びを始めていった。オレたちは『梅ランク』のパーティーなので、当然『松ランク』や『竹ランク』のクエストは選べない。選べるのは、『梅ランク』のクエストのみだ。 


「あっ、これなんかイイと思うよ~? 『デビルカタツムリ5匹の討伐』だって。梅の中では一番報酬が高いし、クリアすれば『竹ランク』に昇格できるんだって!」


 ユリカがウキウキ顔で話しかけてくる。コイツは金のことしか頭にないからな……。


 しかし、報酬が高いってことは、当然クリアするのも難しいだろう。劣等高校生だったオレでもわかることだ。


「そうだな……オレたちでもできるかどうか、ライムに相談してみよう」


 アホなユリカに選択権を委ねるのは危険だ。ライムの仕事を中断させてしまうのは気が引けるが、彼女に聞いてみよう。詳しい情報も聞いておきたい。


「デビルカタツムリは、人間の身長をはるかに越える高さの殻を背に乗せている巨大な猛獣です。王都ザリザクの北にある森に生息しているんですが、かなりどう猛な性格で、最近は森の近くにある村が襲われることが増えました」


 ライムは、とても丁寧に教えてくれる。さすがは受付嬢だ。


「デカいってのは厄介だな。5匹いっぺんに倒したいところだけど」


「そ、それはナリユキさんでも絶対ムリです! 幸い、デビルカタツムリは単独で行動することが多いので、1匹ずつ根気よく倒していくべきです。日数をかけてでも」


 なるほど。これは思ったより手間がかかりそうだ。 


「もし倒したら、カタツムリの死骸をここに持って来ればいいのか?」

「いいえ。カタツムリが背負っている巨大な殻だけギルドへ持って来ればオーケーです。あの殻は、いろいろな素材として使える便利な代物なので、高く売れるんです」


 報酬が高い理由は、そこにもあるのか。プラスチックみたいな使い方をするのかな?


「ありがとうライム。このクエスト、やってみるよ」

「わかりましたナリユキさん。がんばってくださいね!」


 こうして、無事に初クエストが決まった……のだが。

 クエスト受注の手続きが済んだオレとユリカが、冒険者ギルドの入口の扉を開けようとしたその時……突然、扉が開いて誰かが入って来た。

 それは、赤毛のショートカットに三角帽子を被った女のウィザード……。


「お、お前は…………ベルファ!」

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