沈む

@kyabetu_kun

第1話

海の中に沈んでいく。下を見ると、どんどん光を失っていき、何も無い暗闇へと落ちていく。


まるで生きた心地がせず、死の感覚が全身を包み込む。




上を見上げれば、太陽の光を写した水面がキラキラと光っている。この光が見えているうちは、僕は生きているんだと実感する。




目の前を巨大な魚が横切った。そして巨大なイカに食らいつく。


抵抗もそこそこに、あっという間に魚の口の中へ消えていった。


魚は海の闇の中へ消えていった。


次はきっと僕の番だろう。巨大な魚が何万匹と闇の中で彷徨っている。いつ喰われてもおかしくない。




なぜか息は続く。しかし泳げないので体はほとんど動かない。


助けてくれとも、早く死にたいとも、もう思わなくなった。ただただ自然の摂理に身を任せたい。




そうして頭上の煌めきが少しずつ見えなくなっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

沈む @kyabetu_kun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る