孤高の天才とお花畑ギャル
銀鏡 怜尚
第1章 天才の登場とギャルの応酬
第1話 落伍者のレッテル
「あんたなんか、高校行ったってしょうがないでしょ! 中学校でもロクに宿題すらやらなかったくせに、高校行ったって中退するに決まってる!」
「勉強もできない。運動もできない。何も取り柄がないんだ。高校でも時間をムダに過ごすだけだな」
「行ってみなきゃ、分かんないじゃない! 高校行ったら勉強頑張るって」
「嘘をつくな。働きたくないだけだろ? 言っとくけど、うちは遊んでるだけのボンクラ娘に、授業料払ってやるだけの余裕はないんだよ」
中学3年生の夏。アタシは毎晩こんな感じで、両親と口論していた。
アタシは中学1年生の終わりくらいに、不良ではないものの勉強のできない生徒たちのグループに入った。もともと成績が悪くて授業についていけなかったアタシ。入学して夏までは、バドミントン部に入っていたけど、練習がきつくてたったの2週間で辞め、勉強にもスポーツにも打ち込めず、これと言って趣味もなかったアタシが、居場所を求めて落ちこぼれの集団に入るのは、ある意味で自然な流れだった。自由を尊重する校風を良いことに、オシャレには興味のあったアタシは、髪を染め化粧は濃くなり、スカートの丈は短くなっていった。
家で勉強なんてまったくやらなくなり、もともと下位だった成績は、いよいよビリになった。さすがに見かねた教師から何度も呼び出されたが、反抗期も重なったことで改善はしない。早くも『人生の
そんな不真面目集団の友達でも、高校は受験するという。中卒で人生やっていけるほど甘くないと言われ、親に尻を叩かれているという。
かくいうアタシは、親に高校に行かせるのもムダと言われるくらい、見放されている。授業料をドブに捨てるなら、
授業料の余裕はないと言っているけど、正直、毎晩のように行っているパチンコや、競馬の賭け金、タバコ代の方がずっとムダだと思う。
友達に高校に行かないと言っている人はいない。みんな、どこかの高校を狙っている。通信制高校に進もうとしている人もいるけど。最終学歴=中卒にされそうなのはアタシだけだ。
まだこんな年で働きたくない。高校に行って青春を
不本意だけど、最終的には土下座をして、高校受験を許可してくれた。と言っても、内申点はボロボロだ。成績はさっきも言ったとおり
結局、『Fラン高校』と言われる高校を受験した。比較的近くて入れそうなところはそこしかないだろうと言われたからだ。そこを受けて、正直、試験の手応えも何も感じなかったが、合格した。
そんな学校でも、働くよりはマシだった。親は、アタシの態度次第で1年で辞めさせるとか言っているけど。
入学して、相変わらず勉強についていけず、部活には入らず、頭の悪い集団に溶け込みながらも、友達はできた。授業はつまらないし、部活も入らないけど、友達と過ごすのは楽しいし、学校には登校した。
そんな高校1年生の6月のある日。アタシに人生の転機となる出来事が起こった。
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