第4話

▫︎◇▫︎


 ふわっと目を開くと、そこは私のテントの中だった。

 戦場でこんなに穏やかな眠りを過ごせたのは初めてだった。


 幸せな夢だった。


 愛おしいものを私に向ける母の夢を見たのはいつぶりだろうか。

 お母さんは、私のお母さんはやっぱり、どの妃よりも圧倒的に美しかった。綺麗だった。


 ふっと息をついた私は薄着の上に純白の軍服を重ね、パチンと黄金のボタンを止めた。

 そして、私の相棒である真っ白な柄に優美な曲線を抱く大きな刃がついた大鎌を手に取った。研ぎ石や布巾を出して、私は自分の武器を磨く。

 大鎌の刃と柄をつなぐ部分には大きな青い宝石がついている。青い宝石は魔石という特殊な石で、私のお守りだ。手に入れるのに中々に時間を要したが、手に入れる価値があったと今では確信している。


 腰に揺れる房飾りを撫で、私はふぅーっと息を吐く。

 きらきらと輝く刃を持つ私の武器のコンディションは今日も完璧だ。

 私は軍服の上に胸当てや肘当てを身につけ、バサッと真っ赤なマントを羽織る。


 私の名前はワルキューレ・フローラ・ディステニー。

 この国の戦姫だーーー。

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