4/7:韓国映画『梟/フクロウ』

 一日仕事だと何も書くことがないな。前に観て感想まとめてなかった映画の話でも。


 韓国映画・梟/フクロウ。


 大国・清の支配に揺れる朝鮮王朝で、盲目の鍼師が王宮で重用されるも、王子暗殺の真犯人を知ってしまい、陰謀と略殺に巻き込まれるサスペンス。


 予告はスリラー一色だけど、中盤までは笑えるシーンも多くテンポのいい。


 鍼治療の才能はあるけど、盲目の上に両親は他界し、病気の弟を抱える貧しい鍼師が、王宮でどんどん頭角を表していく。


 主人公が目が見えないのをいいことに自分を宮女にモテまくりのイケメンだと思い込ませる三枚目の先輩とか、盲目だからと侮った先輩を出し抜いて王女や王太子にまで認められるとか、成り上がりものとして面白い。


 それだけに、清朝の人質だった王子が帰還してから一転不穏なサスペンスになってからの緊迫感と無力感のギャップが際立つ。

 少しパラサイト/半地下の家族に構成が似ているかも。


 韓国映画ではよく恨の文化と言われるものが注目されることがあって、これは恨みつらみではなく、自分の力で太刀打ちできないものに打ちのめされるやるせなさの怒りの意味。

 本作でもそれが主人公の境遇と併せて響いてくる。


 卑しい身分の者は真実を知ったところでそれを使って改革を起こせる力なんかなくて、義憤に震えて立ち上がったところで、自分や家族の命まで危険に晒すだけだ。

 見えていても見ないふりをしなければ生きられない。


 また、主人公から見れば物凄い権力を持つ王宮の人々も、大国・清の前では翻弄されるだけで、王子暗殺もその動乱を危惧したものであったりと、何処までも弱い者が強い者に食われる世界を描いている。


 盲者が追撃から逃げる単純な筋だけじゃなく、誰を信じればいいのか、悪を見過ごして生きるか、善のために戦って意味などあるかなど幾つもの要素がある良質なサスペンス。



 主人公は全盲ではなく、ある条件では僅かに視野が開ける特殊な盲目で、それが夜の間に逃げるか、立ち向かうか決めなければいけないタイムリミットににもなってくる。

 基本的に朝日は希望の象徴だと思うけど、本作でその夜明けがひどく絶望感を持って訪れる場面がある。

 日陰者が這いずり回れる夜の世界から、表舞台の権力者に翻弄されるしかない昼の世界も表していて、モチーフの細かい併せ方がとてもいい。



 ラストはネタバレしないけれど、主人公にもまた残酷な夜明けが訪れる。その覚醒がとてもいい。


 呪呪呪/死者をあやつる者やオクス駅お化けもそうだけど、韓国映画は最後にこういう善悪を超えたものを持ってきてくれるのがいいな。

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