日記:終わってる大学生活と体脂肪率選挙
シャンプーの試供品をもらった。
ローズ&ポメラガノリアみたいなことが書いてあった。
「ポメラ……?」と思いつつ、裏見りゃ書いてあるだろと思ったら、ローズの香りとだけ書いてあった。
ああ、失敬。ネイティブの発音は君ではわからないか。まあ、薔薇と思ってくれたまえよと言われたようで切なかった。どうでもいいですか。
日記となると本当に書くことがない。
そう、選挙の期日前投票に行きました。
数少ない友人にそれを話したら「何か意外。選挙行かないと思ってた。というか行けないと思ってた」と言われた。人権が存在しないと思われているのか。
まあクソ治安の街なので立候補者も微妙で、既定路線の結果になるのだろう。そんなものだ。
学生時代の何かしらの専任もそんなことが多々あった。
うちの大学は無駄に歴史だけはある文学部強豪みたいなところだったので、文学関連のゼミや文化部を総括する連盟みたいなものがあった。
毎日キャンパスで連盟の人間らしきひとがスピーカー片手にアジテーションをしていた。同じ学生の身でよくやるなあと思っていたら、先輩に「あれは学生ではなく、昔からアジテーションをしに来るひとだよ」と言われて怖かった。妖怪じゃないか。
その連盟には毎年リーダーを決める暗黒円卓会議みたいなのがあった。バトル漫画の学園みたいだね。
自分は文学部所属で文芸部の編集という文化の渦中にいたので、先輩からやんわりと暗黒円卓会議に出てくれないかという誘いが来た。
話をよく聞いていなくて「あー、いいですよおー」と答えてしまい、時間も場所も知らないまま当日が来た。
まあそんなに早くやらないだろう、暗黒円卓会議だし、暗くなってからやるはずだとたかを括ってダラダラしていた。
購買で富良野ラベンダーアイスみたいなのを買ったら、死ぬほど硬いし、一口食うたびにエステーの芳香剤の匂いがするしで悪戦苦闘していたら後輩に出くわした。
自分は大学一、二年生でキャンパスライフに疲れ果てたので、みんなでランチとかは全部ぶち切っていた。空きコマは喫煙所のベンチか中二階の吹き抜けで唐十郎全集とかを読む、気の狂った隠居老人のような暮らしをしていたので、たまに後輩が見に来ていたのだ。見世物じゃねえぞ。
後輩と「アイス食べる? 死ぬほど硬い」「これもう岩じゃないっすか」とかやってたら、ふと「先輩、会議出なくていいんですか」と聞かれた。
「もうやってるの?」と聞いたら「終わりました」と返された。いっそ教えないでほしかった。
一応慌てて向かったら、先輩にやんわりと何してたんだてめえと詰られ、「アイスが硬くて……」とか言ったらそれ以上何も聞かれなかった。諦められたんだな。
そのまま何を打ち上げるのかわからない飲み会に連行されたら、自分と同じくらい終わってる大学生だったOBがやってきた。
こちらの学部も部活も聞かず、彼の挨拶は「巨匠とマルガリータ、読んだ?」だった。気が狂ってる。
「ブルガーゴフですね」と答えたら気に入られた。仲間だと思われたくない。
いやあアイス食ってたら選挙サボっちゃったんですよとか言ったら、OBも「あー! 昔僕もやったけど訳わかんなかったね!」と笑っていた。
「あれって決まってるひとに投票するだけのマッチポンプだから行かなくてもいいよ!」
「そうなんですか?」
「うん、僕は誰に入れるか知らなかったけどね」
「じゃあ、どうしたんですか」
「一番太ってるひとに投票した」
最悪だ。
開票の際、既定路線のひとに一票ずつ加算される中、たったひとつだけ一番太っているひとに票が入って、一番太ってるひとは戦慄していたという。可哀想に。
だいたいそんな感じの飲み会ばかりだった。
卒業前日の飲み会で、後輩に「卒業したら真っ先に死にそうな先輩ランキング」という下馬評を聞かされたことがある。先輩で最悪のウマ娘をするなよ。
自分のオッズを聞いたら低かったのでよかったと言ったら「先輩は大本命すぎて誰も賭けないんですよ」と言われた。哀しいね。
このレースに勝ってもチュウしてくるのは死神だけだ。
投票行きましょう。
とりあえずある票は使わないと勿体ないです。
困ったら一番太ってるひとに投票しよう。
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