第192話
◆
元々私は部外者で善意の立会人と言った立ち位置なので、私から促すと玲香さんは『気持ちはわかるね』と調整してくれたし、佐々木先輩に至っては『最優先事項だから万障繰り合わせて時間を作る!むしろ、配慮してくれてありがとう!』とも返ってきて、年末の忙しい時期だろうに3コマ目の講義が終わった後の時間に3人で集まることにし、場所も先輩の会社の会議室を押さえてもらうようにしてもらっていて、玲香さんとふたりで先輩の会社へ訪問した。
まだ設立して数年の若い会社なのに急成長していて最初に借りていたオフィスのすぐ近くに2つのオフィスを持ち、現在は3番目に借りたオフィスに本社機能を持たせている・・・と言うのは、昨日の夜調べて知ったことなのだけど。
「こんにちは。アタシ、今日は佐々木先輩と約束してて・・・」
このオフィスの会議室を借りることを提案したのは私だけど、私は初めての訪問なのに対し玲香さんは今までに何度も来ていたとのことで、ここまでの道案内から訪問時の呼び出しまで玲香さんが引き受けてくれた。
「おぅおぅ、待ってたよ。
「ほんとですよー。大学から近いけど、わざわざ来てあげたんですから美味しいお茶菓子出してくださいよー」
「玲香さん、なに図々しいこと言ってるんですか!
すみません、先輩。変に大学で話さない方が良いかと思いまして・・・」
「気にしないでよ。俺が頼んだことなんだからさ。
立ち話も難だし、こっち来て」
佐々木先輩は会議室へ案内してくれた。
「狭くて悪いけどさ、他が埋まってて勘弁してくれな」
「いえ、今日の今日でご用意いただいたのですから・・・」
私が先輩への言葉を言い切る前に会議室のドアがノックされそのまま開かれた。
「社長!どうしたんですか?」
「岸元さんに呼ばれてね。
話をするに当たって佐々木先輩が常務を務めるこの会社の社長で、私にとっても学科の先輩である
互いに先入観を持たないように佐々木先輩にも玲香さんにも秘密にしてもらっていた。
「みはるん、景子先輩も巻き込んだから、佐々木先輩に会議室取らせたんだ」
「まぁ、そうですね。ただ、佐々木先輩について、玲香さんは良くない印象を持っているみたいですし、私はそもそも全然付き合いがなかったですから、私が信頼できて佐々木先輩の事を知っている人に居て欲しかったので景子先輩にお願いしたのです」
「うん。でも、岸元さんに雷斗君と玲香ちゃんの立ち会いで話を聞かせて欲しいとしか聞いてないから何の話をするのかは知らないよ」
挨拶もそこそこにして、私は話題の交通整理役と聞き手に徹して3人で話をしてもらって、話がまとまっていくと大体の筋が見えてきた。
佐々木先輩は客観的に言えば格好良い部類の見た目であり、景子先輩が頼りにするほど仕事もできるので収入も多く、更にはスポーツも卒なくこなせるいわゆるハイスペック男子とかスパダリと言う人物像なので、大学の内外を問わず多くの女子に声を掛けられていたそうで、お酒を飲みに行ってお付き合いをするかどうか曖昧な状況で男女の仲になったりすることも多く、プレイボーイとしての側面があることは事実とのこと。
ただ、交際相手がいる時は他の女の人とは
また、佐々木先輩がちゃんと別れを告げていたり交際を断っていたりしているのに、景子先輩から見て逆恨みや未練で付き纏う女性も多く、それらの人たちの存在が噂を膨らませている・・・あるいはそう言った女の人たちが噂を流しているのではないかということで、佐々木先輩としては今はフリーで卒業を3か月後に控えているクリスマス直前なので積極的に女性とのお付き合いをお願いして良いと思っている女性に声を掛けて回っていたそうで、驚くことに私にも声を掛けたいと思って玲香さんに仲介を頼んだことがあったとのことだった。
佐々木先輩と玲香さんの関係だと仕事を依頼しているビジネスの関係があって断りづらい点を押したところもあったと謝罪もされていて、景子先輩は有能なビジネスパーソンとしての交渉術を無意識に発露していたのかもしれないという見方をされていた。
玲香さんは玲香さんでちゃんと確かめもせず又聞きの噂を鵜呑みにして偏見を持っていたことを佐々木先輩へ謝罪して、お互いに悪かったところもあったというところで話が落ち着き、改めて
身勝手な打算的なことを考えば、これからこどもを産んで少し手が離れた時に在宅でできる仕事をしたいとなったらそういう業務を持っている会社の役員である佐々木先輩に貸しを作れるのは悪くないと思ったのもある。
在学中には学部の付き合いがあって信頼している景子先輩が『仕事は有能で性格も悪い人間じゃない』と保証してくれるのなら私は前向きに応援しても良いのではないかなと感じたし、玲香さんも思うところができたようで態度がずいぶん軟化している。
佐々木先輩は身長が高くて同じく背丈が大きい明良さんとお似合いのカップルになりそうだなと思ったし、見た目や経験に反して意外に初心にも見えて可愛く見えて微笑ましく感じた。
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