第180話
◆
そう考えると内々で話をして纏めてしまいたい気持ちも湧いてきてしまうけど、それは春華さん達が訴え出ようとしたことを思いとどまらせた上でやってしまうと不義理になる。
そうなると、然るべき対応をした上でできるだけ穏当な処罰で済ませてもらえるように取り計らってもらうようにするしかないという結論に至った。
校長先生と教頭先生へ動画を見せたら、主要な先生方を招集して会議を行われ、今学期中の停学が決まってしまった。しかも停学によって期末テストを受けられなくなるのだけど、そのための救済措置は行わず留年が確定となるため実質的には退学を促している様なものだった。
また教職員の責任については
話は驚くほど早く進み、わたしは担任代行であるにも関わらず問題の生徒達は生徒指導担当の
悪いのは性的な被害を受けた
わたしはSNSを家族や友人との連絡以外では使わないから良くわからないのだけど、一度の出来心での
放課後になり、恐らく撤去されることになるであろう空席に虚しさを感じながらSHRを終えると春華さんがわたしの元へやってきた。
「対応していただいて、ありがとうございました・・・もしかして、先生は気に病まれていませんか?」
「そうね・・・たしかに厳しかったのではないかという思いはあるし、気がかりですね・・・」
「でも、あたしは美波ちゃんとフユが大事なので感謝してます。
先生もあまり気にしないでもらえればと思います」
「そうですね・・・ありがとうございます」
◆
絵画モデルの話をしてもらった次の日である昨日、
未成年のため同意書を書いてもらわないといけなかったのだけど、夏菜さんは
デッサンのために体のラインが出るように薄い服を着るように指定されたもののヌードになるわけでもなく、薄い服とは言っても現地で着替えれば良かったので寒さに震えることもなかったけど、休憩を挟みつつとは言え同じ姿勢を長時間し続けることは話に聞いてイメージしていたよりも大変だった。
モデルの時間が終わり着替えて主催の方から報酬を受け取りお礼と挨拶をした際には良かったら今後もという話をしてもらい、連絡先の交換をさせてもらった。挨拶も終わり帰宅し始め、駅へ向かっている最中に声を掛けられた。
「凪沙ちゃん、いや『
振り向くと、さっきの絵画モデルの現場で参加していた1人の男性だった。開始前の挨拶で二之宮という名字は名乗ったけど凪沙という名前は名乗っていないし、ましてや偽名の亜梨沙など呼ばれるまで忘れていた。
「何のことでしょうか?」
「大丈夫。しらばっくれててもわかってるから、さ」
「おっしゃっている事が理解できないのですが?」
「
ひと目見てわかったよ、ははっ。
君が輪
「なので、おっしゃっている・・・」
「だからわかってるって言ってるでしょ?
「何をおっしゃりたいのですか?」
「いやぁ、俺とも楽しまない?
あんなガキどもやオッサンよりも気持ちよくさせてあげられるよ」
「お断りします」
「意味わかってる?
凪沙ちゃん、またモデルやるんでしょ?
次来た時、皆の見る目が変わっちゃってるかもよ?」
「それがなにか?
お好きになさったら良いのでは?
私は急いでますので、これで失礼します!」
今の生活がやさしいもので居心地が良いので忘れかけていたけど、過去は消えないし時として牙を剥いてくる。私が撒いてきた種が萌芽し絡みついてくる・・・せっかく良いお話だったけれど、ご迷惑をおかけする可能性があるからには、これ以上お世話になることはできない。
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