第169話
◆
まさか
その後、校長先生達と塚田先生は一度学校へ戻り話し合いをすることとなったものの、わたしは同席しない方が良いだろうという校長先生のご配慮でその場には居合わせず、まっすぐ帰宅した。
当日中に今後の方針がだいたい定まり、塚田先生は
わたしに影響が大きいところでは、具体的にどんな処遇になるにせよ塚田先生が抜けることは確定との事でクラスの担任がいなくなることがあり、わたしが塚田先生の代わりに今年度の残りの期間担任の代行をすることになった。
副担任の
秀優高校では過去に学外で活動された画家の美術科の先生や書道家の書道科の先生がいらっしゃった事もあり芸術科の教師はクラス担任にならない不文律があったため、わたしも副担任すら受け持ったことがなかったので困惑するところではあったものの鈴木先生のご負担を考えたらわたしが受け持つ方がまだ良いだろうと考え応諾した。
また、塚田先生は魔が差したと言うことで反省していて、今後わたしには近付かないことを約束してくれたので、校長先生からは穏便に済ませて欲しいというお願いもされた。
自分自身ストーカーされていたという実感がないこともあり、また今後も勤める学校のことなので穏便に済ませるということには異論はない。それをみゆきに言うとみゆきは怒り出して『ちゃんと警察に通報させなさい!』と言うけど、それは部外者だから気安く言えることだと思う。
既に大きな事件で傷付いている生徒たちや、その影響で大学受験の推薦枠が減らされて苦労している生徒たちの心情を考えると未然に防げた問題について、わたしから騒ぎを大きくする様な事はしたくないと考えてしまう。
こういう時、俯瞰でアドバイスをくれる人がいてくれると良いのだけど・・・
◆
校長達を信用していたわけではなかったけど、初日ということもありどのくらいの熱量で対応してくれるのかを測りたい思いもあって、姉さんとふたりで校長と教頭が塚田教諭を尾行している姿を確認していた。そして渋谷の繁華街で居酒屋へ高梨先生が入っていったところをついて入っていった塚田教諭が校長達に抑えられたところまでを見届けてから帰った。
その後に高梨先生からメッセージがあり、塚田教諭の処分は未定だけれど明日から出勤はさせないことは決定し、その影響で高梨先生がうちのクラスの担任になるということだった。また今まで秀優高校は芸術科教師がクラス担任にはならないの不文律に則って今まで担任をしたことがなく、不慣れなので協力して欲しいというお願いも書かれていた。
むしろ、今までのご恩をお返しする機会をもらえたと思って嬉しく思う。
最近特別教室の担当や転校生などの受け入れで仕事が増えていたのだから他の芸術科の先生でも良かったと思うけど、クセが強い他の芸術科の先生方に任せたくない校長たちの気持ちと、そういう流れで高梨先生へしわ寄せがいっていることについて考えてしまった。
僕と美晴さんと姉さんとハルと
また、ついでとばかりに明日の放課後に転校生と留学生の歓迎会をしようという話が持ち上がっているから参加して欲しいということも告げられた。
色々と不安もあるけど、楽しみにもなっている。
◆
美波さんから塚田先生の件について連絡をもらった。
昨日の今日で、既に塚田先生のストーカー行為が学校側に捕捉され、最低でも学校へはもう現れなくなったのだという。
早すぎる解決について、話を聞かされた冬樹が高梨先生を囮にして証拠を掴むという方法を立案し、それを校長先生と教頭先生に行わせて言い逃れができない状況まで持っていったと言う。
やっぱり冬樹はすごい人だ。
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