第101話
◆
「久しぶりね。元気にしてた?」
「身体だけは・・・」
「そう、前から変わりがないみたいね。
今日はね、隆史の口からちゃんと本当のことを教えて欲しくて聞きに来たの。
あなたの言う事を頭ごなしに否定したりはしないから本当は何があったのか教えてくれない?」
「姉貴も色んな人から聞いただろ・・・」
「一応ね。でも、本当のこととして知らされたことが本当のことである確証まではもらっていないのよ」
「姉貴!それはっ!」
「今回の事件を知っていそうなある人に言われたのよ。
どんなに信じられそうにない言い訳の様な話でも一旦ちゃんと聞いて、それが本当か嘘かの裏取りをしっかりした方が良いって。
それを言われてからスッキリしないモヤモヤした感覚があって、それはきっと無視してはいけないものだと思ったの。
だからね。隆史が真実だと言えることを語って欲しいの」
「姉貴・・・」
隆史は急に泣き出した。隆史がここまでボロボロに号泣するなんて小学校低学年の時が最後だったろうか・・・とにかく10年ぶりくらいで、こんなに大きくなってからは初めてのことだ。
・・・そして、隆史の口から聞かされた話は驚く様な内容だった。
ただ、話す時の隆史の雰囲気やこれまでどうして言わないで周囲に黙っていたのかという理由もその通りだと思った。
約束通り隆史が語ってくれた話の裏取りを行おうと思う。
その取っ掛かりには隆史が既に語ったという
ある程度確証を持った上で推論の擦り合わせのために隆史へ面会に来たというのだから、私達にとっても有益な何かを掴んでいるかも知れない・・・
◆神坂冬樹 視点◆
『夜分遅くに申し訳ありません、神坂冬樹さんのお電話でよろしいでしょうか?』
「はい、神坂冬樹で間違いないです」
『すみません。
お願いするのも憚られる立場なのは重々承知しておりますが、少しお話させていただけませんでしょうか?』
いきなり鷺ノ宮の姉から電話がかかってきた。話を聞くと用件は、僕とできたらそこに美晴さんと姉さんも加わった状態で話をしたいとのことで、しかもできるだけ早い方が良いとまで言うので、その場に居た美晴さんと僕のふたりは確定で、姉さんには連絡をして同席できるようなら加わるという大枠で3連休の初日である明日の昼に会うことになった。
那奈さんは昼過ぎまで仕事があるということで、時間に合わせて那奈さんの職場の近くへ行って合流することになった。
美晴さんから姉さんへ連絡を取ってもらい、姉さんも合流することまで決まった。
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