第50話
◆
俺があの空き教室で
その沈黙を破ったのは
「・・・
「そうです。先生には余計な心配をおかけしたくなくて、刺激の少なそうな映像だけに絞っていましたが、一番多かったのは性的な内容です」
そのやり取りに
「ところで神坂君、私以外の人達はどのくらい繰り返しあの教室に呼び出されていたのかしら?」
「
さっきのハルの話からすると芳川さんは学校へ来なくなったからだろうし、美波は最近だったから2回目の呼び出し前に今の状況になった感じだね」
「私以外の人がそんな状況になっているだなんて知らなかったわ。
どうしてそんな事になったのかしら?」
「二之宮さんで味をしめて繰り返していたように思うけど・・・
逆にどうして二之宮さんは自分以外の被害者が居ることを疑問に思ったの?」
「特に、理由は、ないわ。なんとなく、不思議に、思っただけ」
二之宮さんは少し引っかかりながら返答したけど、ここらも先生や美晴姉さんの引っ掛かったところと関係があるのかもしれない。
「そうなんだ。二之宮さんもそうだったと思うけど、仲村先輩も芳川さんも美波も鷺ノ宮と付き合うようになって、短期間で脅されるような状況になっていたみたいだよ」
「そうだったのね。教えてくれてありがとう」
「いいよ。一緒に対応していこうとしている仲間なんだし。
しかし、関係者が退学してしまうとなると、歯止めがなくなるから、最悪の事態も起きやすそうだと思うけど、そのあたりは大丈夫?」
「しょうがないわよ。
でも、そうなってしまった時には私を守ってくれるわよね?」
「その時はね。起きて欲しくないけど」
「その時はよろしくね。ところで、神坂君が撮った映像はどうしているのかしら?」
「漏洩しないように保存してるよ。余程のことがない限りは動画が流出することはないって感じだから心配しないでね」
「神坂君が流出しないと言うなら大丈夫そうね」
ここで先生が再び話に加わってきた。
「神坂君、今まで目を背けてたわたしには何も言う資格はないと思うのだけど、あなたが抱え込みすぎている様に見えるの。
その抱え込んでいる重荷をわたしにも負担させてもらえないかしら?」
「お気持ちは嬉しいですけど、先生だって今は大変な時なのですから、まずはご自身のことを解決するように頑張ってください」
「それを言われてしまうと、そうよね。
まずはわたしの問題を解決する事が先よね。
それができた時にはその重荷をわたしにも分けてね」
「・・・はい、その時はお願いします」
断るのは不自然なのでお願いすると返答したけど、正直なところ先生には負担をかけたくないなぁ・・・
そして、ここで姉さんも加わってきた。
「冬樹、私もお前に申し訳なかったと思っているし、お前のためにやれることはどんなことでも協力させてもらいたい。
美波や二之宮さんのことも心配だけど、何よりお前が一番大事で心配なんだ。頼むから無理をしないでくれ」
「姉さん、大丈夫だよ。無理なんか何もしてないからさ。そんな二之宮さんよりも辛そうな顔してないで、もっと気楽に構えなよ。生徒会長の力を貸して欲しい時にはお願いするから」
「ああ、生徒会の一存でできることなら何でもするぞ」
「期待してるよ、姉さん」
また二之宮さんが会話に入ってきた。
「美しい
「二之宮さん、茶化すのは止めてくれ。被害者なのはわかるけど、そもそも君が冬樹を巻き込んだのが原因でもあるんだ。
気の毒だと思う気持ちもあるけど、弟や美波が巻き込まれて恨めしく思う気持ちもある。その事はわかってほしい」
「そうですよね。申し訳ありません。
そうこう言い合っている内にハルと美波が戻ってきたので、今日のところは解散することになった。
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