成金独身貴族の家庭事情

マキシム

第1章

第1話:転生

私の名はアルクエイド・ロザリオ【年齢は今年で27歳、身長184cm「ガルグマク王国の男性の平均身長176㎝,女性に平均身長は163㎝」、細身の筋肉質、碧眼、漆黒の短髪、色白の肌、彫りの深い精悍な顔立ちの男前】、ガルグマク王国に仕えるロザリオ伯爵家の現当主だ。ガルグマグ王国は国王等の王族を中心に貴族と準貴族と平民に分かれている。国王を中心に次期国王である王太子、王妃、王子、王女、大公に順じ、公爵よりも上の身分)等の王族、貴族の身分は五爵【公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵】に分かれており、公爵は臣籍降下した王族だけがなる爵位で、ガルグマク王国に仕える家臣たちの爵位は侯爵を筆頭に伯爵、子爵、男爵が占めている。次に準貴族は騎士爵&準男爵に分かれており、貴族ではないがある程度の特権や経済基盤などを持っている有力者である。最後に平民は爵位を持たない普通(一般)の人民である


「私の実家の爵位は伯爵、家臣の中で2番目に偉いです。」


突然だが私には秘密がある、私は転生者(現代日本人&女の子大好きな元OL)であり、前世では会社員をしつつ副業で個人経営のネットショップを営み、小金持ち並みの生活を送っていた。仕事が終わった後、そのままベッドに眠ったが途中で心臓麻痺を起こしポックリと亡くなった。その後の私は何故か男になっており、ロザリオ伯爵家の跡継ぎとして生を受けていた。その後、父が死に私は19歳の若さで正式にロザリオ伯爵家を継ぎ8年の歳月が流れた


「まぁ、やりたいようにやるしかないわ。」


それからの私は前世の知識をフル活用し商売を展開した。周囲からは下手な横好きと陰口を叩かれたが商売が上手く軌道に乗り、国有数の大金持ちになった。元々、ロザリオ伯爵家は領地【交易港あり、広大な田畑、交通の要衝、大きな町と複数の村】だけだったが前世の知識をフル活用し様々な商売を展開した事で大成功を納め、更にロザリオ伯爵領は交通の要衝でもあるため、陸路及び海路での商売もスムーズに進み、他の貴族よりも大変裕福で羽振りの良い生活を送ることができた。商売の売り上げの4割は王国に献上し王家との関係も良好である。領地経営では税金を下げ、新しい田畑&産物の開発に尽力した。言っておくが後ろ暗い事はしていない。まぁ、付け届けは貰うぞ、この世界では付け届けを貰う事は御歳暮を貰うような物である


「おぉ、あの子たちも頑張っているようね。」


勿論、自分自身の評判を高めるために孤児院を経営している。身寄りのない孤児たちに食事を与え、文字の読み書きや礼儀作法や武術や算術等を覚えさせ将来、1人で生きていけるよう育成している。孤児院を出た何人かは役人や騎士や冒険者等として活躍しており、俺の下に感謝の手紙が送られる事もあり私としても鼻が高かった


「私が成功を収めた途端に媚を売る奴等は信用出来んな。」


散々、私の事を馬鹿にしていた連中は、掌を返したように媚を売ってきたが信用できないので絶縁状を叩きつけてやった。そんなある日、私は執事から無理難題を吹っ掛けられた


「旦那様。いい加減、身を固めては如何ですか?」


「ジュード、それ今する話か?」


私に小言を言うのはロザリオ伯爵家の家令を勤めるジュード・ピグサム【年齢53歳、白髪混じりの黒髪短髪、細身の筋肉質、色白の肌、碧眼、身長178cm、彫りの深いキリッとした男前】、父の代から仕えている古株である。ジュード曰く、「仕事や女遊びにかまけてないで、早く孫の顔を見せろ」と母が愚痴をこぼしているのだとか・・・・


「私は当主としての役割は果たしていると思うぞ。」


「それとこれとは別でございます。御先代様が御逝去あそばされ、旦那様はお若くして伯爵家をお継ぎになられました。旦那様が当主となられてからはロザリオ伯爵家を国有数の資産家として優れた手腕を発揮され、ロザリオ伯爵家を繁栄させた事、このジュード甚だ感服仕りました。ですが未だに独り身とは流石に世間体がわるうございます。このジュード、御先代様より旦那様をロザリオ伯爵家を御支えせよと御遺言されて以来、日夜苦心を重ねて参りました。私としても御相手を見つける事を切に、切に願っておりまする。」


「う、う~ん。」


「まずは、これを御覧くださりませ。」


ジュードが持ってきたのはお見合い写真ならぬ、お見合い肖像画と紹介状である。因みに私には許嫁がいたが他の男と駆け落ちし行方知れずである。あの時はショックはあったが、それはそれで仕方がないと諦めた。まあ、それを理由にずっと独身貴族【仕事をする傍らで女遊びもする】を謳歌していた。最早、これまでかと観念して紹介状に目をかけた


「(おいおい、ゴルテア侯爵家って、何の冗談だ。)」


ゴルテア侯爵家とはガルグマク王国創業時代から続く由緒正しき名門貴族であり、王家とも縁も深い。そんな家が私と縁談を結びたいとは・・・・


「ジュード、これは何の冗談だ?」


「いいえ、冗談ではございません。これはれっきとしたゴルテア侯爵家からの縁談でございます。」


「・・・・やはり貧乏には勝てないか。」


この国の貴族【公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵】の大半は貧乏である。先祖代々の遺産を食い潰しつつ、貴族としての家格を維持するために日夜、節約生活を送るのが当たり前である。私のように商売を成功し家を繁栄させた少数の貴族は【成金貴族】と呼ばれ、陰口を叩かれつつも縁談の相手としては持って来いの物件である。次に肖像画を見ると、そこには金髪ロングのローポニーテール、翠眼、色白で彫りの深い端整な顔立ちの美少女が写っていた。名前はアシュリー・ゴルテア、ゴルテア侯爵家の令嬢(長女)であり、年齢は今年で17歳(高校2年あたり)であり、私より10歳年下である


「ジュード、この令嬢は大丈夫なんだろうな?」


「御心配なく、このジュード。前回の失態を糧に吟味に吟味を重ねましてございます。先方の方でも是非にとの仰せにございます。」


「それは向こうの親御からであって令嬢本人の意志ではないだろう。」


「こればかりは仕方がありません。貴族の令嬢として生まれた者の運命にございます。」


今にして思えば、前の許嫁も本心で私に嫁ぎたいと思っていなかったのであろう。家の都合で付き合わされ、最後は恋人と共に駆け落ちする始末。許嫁の家は謝罪し慰謝料を支払ったが一度ついた汚名はそう簡単に取り払えるわけではなく、他の貴族たちから無視され孤立していき、最期は全員自殺したのである


「はあ~(嫌な事、思い出したわ。)」


「それで如何なさいますか?」


「まずは侯爵閣下のみと御面談したい。話はそれからだ。」


「畏まりました。」


一方、ゴルテア侯爵家では父親であるクリフ・ゴルテア侯爵【年齢42歳、身長180cm、細身、色白の肌、翠眼、やや長めの金髪、彫りの深い聡明な顔立ち】と娘のアシュリー・ゴルテア【年齢17歳、身長166cm、金髪ロング(ローポニーテール)、細身、巨乳、翠眼、色白の肌、彫りの深い端整な顔立ちの美少女】が婚約の事で揉めていた


「お父様、いくらなんでも急すぎます!私に黙って婚約を進めるなんて!」


「アシュリー、家の為には仕方がない。それにお前にとっても良縁だと思うぞ。」


「相手は【成金貴族】ではありませんか!」


「アルクエイド・ロザリオ伯爵はロザリオ伯爵家は高官を輩出した由緒正しい家柄の当主であり今では国有数の資産家、それに亡き先代は国王陛下の側近であり信頼も厚い。更にロザリオ伯爵は領地経営でも領民たちからの信頼が厚い。それに彼の御仁が経営する孤児院では優れた人材を輩出したと専らの評判だ。」


「その御方は女遊びも激しいと聞いております!」


「ロザリオ伯爵は独り身、一肌が恋しくなる事もある。それに彼の御仁は過去に婚約を結んだ相手がいたが、その相手は想い人と共に駆け落ちした。」


「それについては同情致しますが・・・・」


「結婚すれば落ち着く事もある。まぁ、会ってみるだけでも損はないと思うぞ。それに・・・・」


「父上。」


割り込む形で息子(兄)のレオン・ゴルテア【年齢18歳、身長180m、色白の肌、細身、翠眼、金色の短髪、彫りの深い端整な顔立ちの美青年、婚約者不在】が現れた


「レオン、どうした?」


「はい、ロザリオ伯爵より手紙が届きました。」


「うむ、見せよ。」


レオンから手紙を受け取り、内容を拝読するとレオンとアシュリーの方へ顔を向けた


「父上、伯爵は何と?」


「御茶会の招待だ。」


「アシュリーも御同席にございますか?」


「いや、私だけだ。恐らくは婚約の事で話し合うのだろう。」


アシュリーはまた自分を除け者にして父と婚約者(予定)であるロザリオ伯爵に嫌悪感を抱いた。実は彼女には他に好きな人がおり、身分の差や家の問題もあって悩んでいた


「(どうして、こうなるのかしら。)」


アシュリーは自分の境遇を呪いつつ、婚約話が破談になる事を祈るのみであった


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る