黒電話
なゆお
黒電話
「その黒電話は使わない方が良い。」
それは、突如言われた。
俺は、気分転換に今日旅行に来た。
だが、旅行先はクソみたいで、
電波も繋がらないし、牛の糞臭いし、
日頃の疲れを癒すどころか、逆に増やしてしまった。
取っておいた旅館も、薄気味悪いし、料理も不味い。
怖いので親に連絡を入れようとしたが、
やはり、電波が繋がらない。
なので、旅館にあった、黒電話を使おうとしたのだけれど。
それで、今に至る。
「…、何でですか?」
営業スマイルを忘れずに、接する。
でも、そのお婆さんは何も教えてくれずに
ただ、
「やめといた方が良い。」
とだけ言う。
さすがに腹が立ち、
「うるせぇ。」
と、お婆さんを追っ払った。
そして俺は慣れない手つきで、親に電話を掛けようとした。
だが、何も無く、ただ外から聞こえる鳴り止まないセミの音と時間が、過ぎていく。
(止めとけって言われたのはこのせいか?)
と、疑問を持ちながらも、
俺は部屋に行き早く寝た。
次に起きたのは夜の二時だった。
俺はトイレがしたかったので、トイレをした。
そうしたら、
「プルルルルルルル!」
と電話の音がなった。
後ろを向くと、そこには俺が使った黒電話があった。
「何だ?」
俺は黒電話に手を近づけると、
「やめろ!」
と大きな声が聞こえた。
そこにはお婆さんが。
「丑三つ時に鳴る黒電話は取っちゃ駄目じゃ。」
「何で…?」
そう聞くと、お婆さんは。
「死にたく無いなら取るな。」
とだけ言った。
だが、相当な勇気があったため、俺は
恐れず手に取った。
「ほら、何にも…」
そこにお婆さんはいなかった。
気付くと、俺は謎の黒い空間にいた。
手にあった電話は無かった。
そして目の前には、黒電話があった。
また、鳴り出した。
今度ははっきり聞こえた。
「ありがとうございました。またのご来光お待ちしております。今度は…。」
ジジっ!
「貴方の魂を頂きます。」
俺は目覚めると、病院にいた。
どうやら俺は事故ったらしく、
意識不明の重体だった。
最初は鼓動が無く、もう…。
と諦めた瞬間鼓動が安定したらしい。
その時刻は、丁度、
俺が最初に黒電話を取った時の時刻と同じだった。
二回目も同様だった。
最後の時は、
下手したら死んでたかもしれない。
と言うぐらいのものだった。
俺はあれから電話が怖くなった。
今読んでいる皆これを読み終えて、電話が来たとしよう。
それが非通知だったら、
君達も魂を抜かれるかもしれない。
黒電話 なゆお @askt
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