【episode.2】遠足〜試練のお弁当作り〜
今朝の私は気合が入っている。
なぜなら今日は優太の遠足の日。
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遠足と言えば、そう、お弁当である。
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料理がお世辞にもうまいと言えないことは自分でもよく分かっているが、今日の為にお弁当レシピをネットで調べて動画を見ながら何度も練習してきた。
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昔から、苦手は努力で克服するタイプだ。
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よし、作るぞ。
練習通りに作れば大丈夫だ。
あれだけ練習したんだから自信を持つんだ私。
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そう自分に言い聞かせておかず作りをスタートさせた。
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いざ勝負の時間が始まった。
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何度も練習した行程を繰り返し、順調におかずが出来上がってきた。
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そして、今日の一大イベントならぬ
一大メインおかずの時間がやってきた。
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それは、にんじんだ。
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優太はにんじんが大好きなのだ。
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お弁当には絶対にんじんを入れてねと本人から釘をさされている。
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もちろんにんじんは入れるのだが、なんと今日の私は、このにんじんを花びらの形に切ろうとしている。
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野菜を普通に切ることさえもままならない私が、花びらの形に切るなんて、まさに至難の業だった。
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しかし何度も動画を見て練習してきたので、あとは覚悟を決めて切り込むだけだった。
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切るぞ。
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手が震えている。落ち着け、私。
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少しずつ形ができてきた。
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よし、緊張して少しいびつな形になってしまったが、わりとうまくできた気がする。
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ふぅ。これで今日の山は超えた。
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一息つく。
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その後も順調におかず作りは進んだ。
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ウインナーは、お弁当と言えば鉄板の
タコさんウインナーにする。
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こちらも練習通りに丁寧に切る。
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うむ。まあまあの仕上がりだ。
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玉ねぎはコンタクトを付ければ目が染みない事に気づいてから、コンタクトを付けて切るようにしている。
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それから下味をつけて、、
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あ、調味料の量を間違えた。
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いや、これくらいなら誤差の範囲内だ。
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大丈夫。
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よし、できあがりだ。
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独り言をぶつぶつ言いながら、
完璧に近いおかずができた。
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あとはおにぎりを握るだけだ。
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ご飯は昨日のうちにタイマーをセットしておいた。
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炊飯器の蓋を開ける。
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、、ん、、??
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ぬああーー!
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スイッチを押すのを忘れていた!!
炊けていない!!!
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なんてこった。
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いや、こんなこともあろうかと、チンするご飯も買っておいた。
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備えあれば憂いなし。
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さすが私。
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チンしたご飯をレンジから取り出して握り始める。
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優太は私に似てよく食べる。
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きっと沢山歩いてお腹が空くだろうし、多めに握っておこう。
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塩を振って、ぎゅっぎゅっぎゅっ。
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両手からはみ出す程の大きさのおにぎりを3個握った。
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念のため味見。
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カラッ!!
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塩をふりすぎた。
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塩の量までは練習していなかったな。
作り直しっと。
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十数個の失敗作を生み出したが、ようやく美味しいおにぎりが握れた。
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失敗作は夫に食べさせるので問題なしだ。
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よし!かんせ〜い!!
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とっても上手く作れた!
記念に写真を撮っておく。
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自撮りもしておこう。
お弁当を持って、1人でピース。
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そうこうしているうちに、息子を起こす時間になった。
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普段はなかなか起きない息子も、今日はすぐに起きて自分で遠足の準備をしていた。
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忘れずにお弁当を持たせて、
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「いってらっしゃーい!!」
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「いってきまーす!」
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家を出る優太を夫と2人で見送る。
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お弁当ちゃんと食べてくれるかな?
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花びらのにんじんは喜んでくれるかな?
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元気よく走り出して行った優太の背中を見て、お弁当を作りきった達成感を感じていた。
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夕方になり、無事に優太が遠足から帰ってきた。
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----続く----
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#お弁当作り
#試練
#大きなおにぎり
#大きな愛情
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