囁き機械令嬢と世話焼きメイドメカニック
よなが
第1話
百億年分の夢を見るのに一秒かかるかどうかなんてのは、私の知ったことではないが、とにもかくにも穏やかな午睡は妨げられた。
三週間にも及ぶ旅路を経て、大陸西部に位置する故郷の町ハインラインに帰ってきてからまだほんの六十七時間ほどだ。もっともそこまで気にしなくていいのかもしれない。ここはマキネと比べるとかなりのんびりした時間が過ぎているから。向こうと同じ時間が流れているのか本気で疑ってしまう程度に。
「お嬢さんが店主かね?」
そう声をかけてきた男性こそが、私の眠りを破った張本人であったが、より正確に言うなら彼が開けた出入り口のドアのせいである。開閉の際にやたら大きな音で軋むそれは、マキネのメインストリートに並ぶ店が備えている自動ドアとはまるで違う。別段、郷愁も懐古趣味もそこには感じず、この町にありふれた不便だった。
ハインラインは電化製品一つとっても、前時代の遺物ないし異物としておっかなびっくり扱う人々が大半を占める町だ。牧歌的であると肯定的に捉えてもいい。あの機械都市たるマキネがあまりに忙しなく、慌ただしく、抒情に欠いた土地なのだと見ることも可能だ。
数メートル先から声をかけてきた男性は、私がすぐに返事をよこさないものだからか、距離を詰めて再び同じ質問をした。種々の機械部品が所狭しと雑多に、棚からはみ出してでも置かれている空間。男性は、出入り口から私のいるレジカウンター兼作業台へと颯爽と歩んでくる。
私は店主であるか否かについて「いいえ」と短い返答をよこしてから「ですが、今この時間はそうです」と言い足した。このネイキッド・サンの店長であり私の叔父にあたる人は出かけていた。
「そうか。ここは修理もやっている。間違いないかね?」
その問いに私は曖昧にうなずくと、身体をすっかりあずけていたリクライニングチェアの背もたれをギギギと起こした。それで体勢がいくぶんか従業員らしくなった。もともとレジ用には背もたれすらない丸椅子しかなかった。しかしそれではちっともリラックスできない。そこで私が、店の倉庫に長らく放置されっぱなしだったガラクタ同然のやつを、できるかぎり新品に近い状態に直して運び込んだ。つい昨日の朝のことだ。本来はマッサージなどの機能もついていた椅子だったが、それらは修理していないから、あくまで外面の話。
「機械全般の修理と嘯いていますが、実際はできないものも多いかと」
私は欠伸を噛み殺しながらそう補足した。それから目を軽くこすり、意識をはっきりとさせて男性客を改めて見やる。
年齢は六十過ぎと思われる。だが、単に年を重ねている風貌ではない。背筋がしゃんとして、肩幅も広い。その身なりは無教養の農夫でもなければ酒飲みの大工といった感じでもなかった。これから何か重要な会議に出席するのだと言われても納得のいく、きちんとした服装。ハインラインでは珍しい。それにマキネにいた研究者の中でも優れた者のみに認められる知性溢れる目つきをしている。その口元を囲う白い髭の形は芸術的だ。頭頂部もまったく禿げておらず、髭と同じ色の髪をかっちりと固めている。
端的に言い表すなら老紳士という風格で、品性を醸し出していた。
「機械と縁遠い者たちがほとんどの長閑な町で、それほど複雑な機構をもつマシンが持ち込まれることもあるまい」
「ええ、おっしゃるとおりです。ただ、何事にも例外はつきものでしょう? たとえば古い家の物置に第五次大戦前からずっと眠っていた用途不明の品をいきなり店に持ってこられるかもしれない。換金できるかって」
「そんな前例が?」
「あったらしいです。店長の話では」
私が肩をすくめてそう言うと、老紳士は得心がいったような表情を示した。そして私は彼が左肩に提げている黒い円筒形のバッグに視線を移す。それが合図になったかのように、彼はそのバッグをゆっくりと下ろした。直立した私の胸元までの高さはありそうだ。底が平たく、自立するタイプ。
「その中に直してほしいものがあるんです?」
「そのとおりだ。お嬢さんは単なる受付係ではないんだろう。よければ見てくれないか」
「あの、お嬢さんはよしてください。私はソフィー。名前で呼んでほしいわけではありませんが、お嬢さんと呼ばれるのは……ちがう」
彼は意図を捉えかねているのか小首をかしげた。彼からすれば、十九の私はいくら成人しているといっても小娘であるのに違いない。外見上は大人びていないのも確かだ。化粧っ気がないし、身体的特徴として小柄であるのも否定できない。とはいえ、お嬢さんだなんて呼ばれるのはむずがゆい。それならいっそ、叔父が時折言う
「見慣れない方ですが、ひょっとして役所のお偉いさん?」
マキネに発つ前、すなわち生まれてから三年前に至るまで私は町でこの老紳士と出会った覚えがなかった。小さな町だからまったく関わりがないほうが稀だ。したがって、遠方から役所にでも赴任してきた人物だと考えたのだ。
「そんなふうに見えるかね」
彼は私の予想に反して苦笑した。
「まぁ、はい。少なくとも昨日、店に来た人たちと比べるときちっとした装いですから。いえ、ちがうんです。彼らを貧しい人たちと言いたいのではなく」
「ふむ。どんな人がどういった用件で来たのかね?」
彼が興味深げな調子で訊ね、その顎鬚を指で揉み始めた。私は守秘すべき顧客情報ですからとは言わずに、思い出しながら話してみた。
「まず、三軒隣のパン屋がオーブンの調子が悪いって来て、それから裏の通りにある骨董品屋が空調の温度調節が狂っているって喚きながら来ました。あと……スクーターが動かないって夜遅くにやってきた人が。私から言わせれば、真っ当に整備がされていないこの町の通りを馬鹿みたいに走っているのが悪い」
およそ自動車と呼べる代物すべてが、運転手と歩行者の両方にとって安全に走行できる町ではない。とりわけ雨天時は視界不良に加えて、地面がぬかるみ、自殺行為と言っていい。大人しく徒歩中心で過ごすべきだ。急ぐなら必死に走れ。荷物があるなら荷車をごとごとと引けばいい。荷と場所によっては、町の東を流れる河川を利用するのもありだろう。
「それら全部、君が対応したのかね」
「叔父さ……店長にやれって言われたので」
「詳しく聞かせてもらっても?」
パン屋のオーブンの不調については庫内の汚れをとろうと掃除に使った洗剤が原因だと判明、骨董品屋の空調は冷媒系統の経年劣化、そしてスクーターはジェネレーターの破損だった。パン屋には適切な清掃手順の指示をし、後者二つは部品交換を勧めた。結果として、空調には応急処置を施し、一旦見送り。スクーターは持ち主から交換費用がないと言われたが、人身事故が発生しては手遅れであるのを話して今はとりあえず損傷した部品を回収して走行不可状態。曾祖父の遺産だどうだと言われても、だったらもっと大切に乗りなさいよとしか思わない。
私はざっとこんなことを話した。
「なるほど。話を聞く限りでは、君は手際がいい」
「あ、ありがとうございます」
「信頼できる機械技師のようだ」
微笑みかけてくる彼に対して、今度は私が苦笑する番だった。
「その肩書きがつけられるほど、諸々の技術に精通していませんよ。店長の厚意でしばらく置いてもらうことになっているだけで」
「こちらの見立てでは、君こそが噂のマキネ帰りの機械技師だと思うのだが、あっているかね?」
「噂? まさか。ご冗談でしょう。皆、そんなに興味ない」
事実、一昨日の夕方に帰ってきたときに私を温かく迎えてくれた人は数少なかったし、マキネでの話を聞きたがる人もそういない。叔父さんは、関心はあるのだろうが、私が話したがらないのをすぐに察してか遠慮している。もう二度と帰って来ずに向こうの街に骨を埋めるかもしれない、そう本気で言って別れた過去を思えば、私がわけありで帰郷したのは勘付いているはずだ。
「さぁ、バッグの中身を取り出して、見せてください」
私は本題へと話を戻す。
しかし老紳士は茶目っ気のある面持ちをして「それじゃあ、試しに当ててみてくれないかね、このバッグに入っているものが何か」と言い出すのだった。私が露骨に嫌そうな眼差しを向けても彼の笑みは崩れなかった。
「……
私はあえて恭しく言ってのけた。彼はとくに驚きもせず、笑う。この手の冗談が通じる人のようだ。
「可愛い顔をして、えらく物騒な発想だね。マキネの防衛隊には、そんな武器が支給されていたのかね」
「どうでしょう。あれはあれで平和な街ですからハンドカノンの一つもまともに扱えない連中ばかりだと勝手に思っていますが」
「ふむ。それで他には?」
「ひょっとして電子楽器でしょうか。向こうのどこかの通り、ショーウインドーで目にしたエレキチェロがちょうどそれぐらいの大きさだった気がします」
「残念ながらはずれだ。君は楽器を何か演奏するかい?」
「いいえ。生憎、音楽の素養はちっともないみたいで。あっちで電子オルガンに触れる機会がありましたが、あくまで構造とシステム面を知るのが目的でした」
私はそこでようやく、バッグ側方部に白い文字と図が組み合わせられてプリントされているのに気づく。けれど、それが意味するのが何かまではわからない。すると私の目線を追った彼が説明してくれる。
「ああ、これは中身とは無関係なのだがね、スポーツ用品メーカーの名前とロゴだよ。もうとっくの昔に倒産してしまった。キャディバッグだそうだよ、こいつは。ゴルフクラブの運搬用に設計されたものだ。ゴルフは知っているかい?」
「映像投影機を使用したスポーツのリストに、たしかあったような」
マキネでの記憶を頼りに応じた私に、彼は優しげな表情のまま首を横に振って否定した。
「そいつはちがうんだ、ソフィー。VSS(バーチャル・シミュレーション・スポーツ)に馴染みがあるのはけっこうだがね。あれらはあくまで屋外競技を安全な室内で模擬プレイする狙いで生み出したものだろう?」
「馴染みがあるわけではないですよ。大戦前、えっと、百四十年前なら一般家庭に普及していたのだと習いました」
「しかしもっと前には、そこらの空き地や運動場でごく普通にいろいろなスポーツが行われていたのだ。ゴルフについてはゴルフ場が必要だったがね」
老紳士が、私がこれまでに何度も出くわしたことのある大人たちと同じ目、つまりは無知な子供を諭すようなものになったので、つい私は早口で返す。
「まるで見てきたように話すんですね。あなただって、この星の半分が荒野と化してから生まれた人に相違ないのに。でしょう?」
「ああ、そうだ、もちろんだとも。言い方が気に障ったのなら、すまなかったね」
「いえ……」
彼の紳士的な態度に、私はそう言葉を濁してから、彼が立ちっぱなしであるのに気が咎めた。捨てずに残していた丸椅子を持ってきて、レジの外側にいる彼に勧める。彼は少し思案する顔になってから、礼を言って座った。
「さて。そのバッグの中身とあなたの正体とは何か関係があるんです?」
「正体?」
「ええ。だって、マキネの防衛隊だとかVSSだとか、他にもここまでのやりとりの中であなたがハインラインの人でないのは確かです」
私はアルミ製のキャビネットからファイルを取り出す。顧客名簿だ。タイプライターで印字したものを綴っている。専用紙もインクリボンも私がマキネにいた頃からそう減っていない。
「修理を依頼されるのであれば、どっちみち名前と住所は書き留めますよ」
「うむ。ああ、しかしだね、もったいつけておきながらあれだが、バッグの中身は大したものではないんだ。どれ、答え合わせといこうか」
てっきり名乗ってくれるのかと思いきや、彼は話をバッグに戻して立ち上がった。そしてバッグをジジジと開くと、そこから細長い機械を取り出して作業台の上にゆっくりと横たえた。
グレーのホースがその機械のフォルムの大部分であり、下部には四角いレンガのようなパーツが取り付けられている。機械と言っても外からうかがえる構造は複雑ではない。肝心なのは上部の側方に接合されている透明な円柱形のパーツだとわかった。
「向こうの資料で見た覚えがあります。たしかコンパクトスイーパーの一種で、旋回式粉体分離機構によって集塵し……」
私がそう話しながら、おそるおそるその機械に触れようとすると、不意に彼が噴飯した。私は手を止め、彼をじろりと睨んだ。
「失礼。ソフィー、君はなんというか、非常に真面目だね」
「なぜ笑ったんです?」
「そう怖い顔をしないでくれ。悪かった、このとおりだ」
「理由を説明してください。もしかしてまったくの見当はずれでしたか」
私は否応なしにマキネでの最初の頃を思い出していた。ようは田舎者の私があの機械都市の文明というやつに毎秒の如く面食らっていた時期だ。その頃には顔を羞恥で真っ赤にすることが何度もあった。
「逆だよ。不要に精確なのが可笑しかったんだ。こんなのはね、掃除機と言ってしまえばいいんだよ」
老紳士は紳士らしからぬ、にやけた顔で弁解した。私は深呼吸を一つして、落ち着き払った調子で彼を見据えて言う。
「承知しました。それでこの掃除機、どこがどう故障しているんですか。フィルター部分や集塵スポットの日常的な手入れがされていてなお、吸引に問題があるなら、モーターやファンにでも異常があるんでしょうね。ぱっと見た感じだとホース部分に破損はありませんから」
私がそう言うと、彼はなぜか嬉しそうにうんうんと頷いてみせる。
「君ならきっとすぐに直せるな。そうでないと困る。うむ。修理しながらいくつか訊きたいことがあるんだ」
「訊きたいこと? 今のあなたの顔、いけ好かない試験官のようです」
「察しがいいな、君は」
「口述試験なんて真っ平御免ですよ」
私は溜息をつくと、彼から目を逸らして掃除機を調べ始めた。電源コードによって電力供給をするタイプなので、まずはコードをレジ内側にあるプラグと接続した。
「ソフィー、君はどこの大学に通っていたのかね?」
「今度はあなたが当ててみてくださいよ」
そう返して、私はホース部分にあるスイッチをオンにする。吸引力の強弱が選べるみたいなので、とりあえず低めから試す。ブォオオンと音が鳴る。なかなかに耳に障る。きちんと埃を吸えるか、床で試してみる。問題ない。が、吸引力を高めに設定したら止まってしまった。
「ユービックかね?」
掃除機の音が止むのを見計らって、老紳士が私に言う。
「……正解です」
ユービック大学は、マキネで最も歴史ある工学系の大学だ。工学系といってもそこに含まれる領域は広い。そして私が参加した短期修学プログラムを、ハインラインのような遠方の小さな町に暮らす人のためにも開催しているマキネ唯一の教育機関でもある。他の教育および研究機関にも似た制度があるが、費用や筆記試験での点数等々と受講要件を満たすのは厳しい。
「ユービックというと今は理学部と工学部に二本化したのだったかな。かつては総合技術学部と情報学部だったはずだ。何を専攻していたんだね?」
「私は短期修学プログラムによる履修生でした」
「つまり?」
「そこまでは把握していないのですね。短期生は原則的に皆、工学部ベースエンジニアコースに属するんです。そこで三年間学び、ほとんどがマキネの中小企業に就職。晴れて正式に機械都市マキネの一員、あるいは歯車となれるわけです」
「でも君はそうならなかった」
「ええ、そうです。見方によっては『なれなかった』と言うべきですが」
私は一旦、電源コードを抜いてから円柱形のパーツを取り外す。すんなり外れた。吸ってくれた床の細かな埃を集塵部から取り除くと、ファンとモーター部分の点検を始める。
「経緯を話してくれるのであれば、清聴を約束するよ」
「いいえ、話しません。あなたはマキネのことをある程度知っている方みたいですが、私とは初対面で親しくない間柄であるのも間違いないですから」
「たしかに」
彼は不快には受け取らずに、納得してくれた。ユービックの講師連中には、傲慢で高圧的な振る舞いをする人間もいたのを思い出す。彼らはとりわけ私のような、よそ者かつ田舎者を快く思わず、それ相応の扱いをしたものだった。
「ところで、君は『アーティフィシャルライフ概論』は知っているかね」
「はい?」
唐突な問いかけに、彼の表情をうかがった。口許に笑みは浮かべたままだが、その目は真剣だった。
「ジェシー・ベイリの著書のことですか」
「おお、知っていてくれたか」
知っているも何も……と思ったが口をつぐむことにした。
「古く、それほど有名な本でもないはずだが。ひょっとして、近頃はマキネで人工生命体の研究が盛んに行われているのかね?」
「私の知る範囲ではノーです。そこまで力を入れていない、いえ、入れることはできていないと言えばよいのか。いくらマキネでも失われた高度な文明と技術を完全に取り戻せてはいないですから」
先のVSSしかり、大戦を経て人類と世界とが後退または荒廃して以来、科学技術の多くは記録にしか残っていない、おとぎ話めいたものとなっている。その肝心の記録も不鮮明で不明瞭である。それが何らかの組織の介入、すなわち情報統制なのかどうかはわからない。そうした陰謀説を含めて、ロストテクノロジーに関する私見を記した本ならマキネに多くあった。そしてまたマキネに生きる人々の中には、文明の再建や維持といったものを己の責務としてみなしている者も少なからずいた。そうした志を持って遠方からやってきた学生も。
「では現存している、ロボット工学に関係する本も読んでいるかね」
「何冊かは」
「『ヒューマノイド・プロデュース』シリーズはどうだ」
「ええと、最初の一冊を半分ぐらいで断念しました」
「それはもったいない」
「アンドロイドが登場するSF小説ならいくつも読みましたけれどね」
「それはそれで、けっこうなことだ」
私は話しながら分解したモーターの故障個所を突き止めることに成功する。これなら私でも修復整備が可能だ。必要な部品を用意できれば、作業そのものは三十分もあれば充分だ。彼にその旨を伝えると「よろしい」と彼は笑った。
「では、最後にひとつ」
いっそう生真面目なトーンでその老紳士は口にする。
「なんです?」
「ソフィー、君はさっき話してくれたような、そして今まさにしてくれているレベルの機械いじりにこの先の日々も終始するつもりかね」
「というと……」
「君がなぜマキネに残らずここにいるかは聞かないことにしよう。それはそれとして、もしも君に、より複雑で高度な機械との接触と交流を依頼したら、引き受けてくれるかね?」
より複雑で高度な機械との接触と交流。
私は彼の言葉を心の内で反芻してみて、しかし何を言わんとしているのか捉えきれなかった。こんなところで何か一大プロジェクトのチームのスカウトされるなどとは信じ難いからだ。
だとすれば、彼は厄介な依頼、つまりは古い家に残されている古い機械の修理でも頼もうとしているのだろうか。彼自身にも知識とそして経験がありそうだから助手として雇いたいと考えている?
「報酬しだいで、と言う前にそろそろあなたの素性を教えてください」
夢破れてマキネから逃げてきた事実を一旦脇によけ、私は堂々と彼にそう言った。マキネからハインラインへと帰ってくるまでの三週間で湧き上がった後悔と反省、それから機械への熱意の再燃を今は表にしない。
今、あるのは直感。この人は何か面白そうな機械と私とをめぐり合わせようとしている――――。
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