5.「痛ててて…ここは?」
「痛ててて…ここは?」
叫んだ瞬間、体から大きく何かが抜けるような感覚がした。視界が突然切り替わり、上手くバランスが取れずにそのまま転倒。
感覚で分かる。無事、ダンジョン創りの第一歩に成功したということが。
俺はポイントの浪費や致命的な失敗を恐れて色々と考えを巡らせようとしていたが、食事を終えてようやく思い出した。そもそも俺はあまり頭が良くない。だから、時間をかけて頑張って考えても大した知恵は出てこないだろう。だから、俺がするべきことは一秒でもスタートを早めることだったのだ。
辺りを見回すと、そこは六畳程の一面真っ白な部屋だった。壁を触ってみるが何の素材で出来ているかは分からない。おそらく、ここがマスタールームなのだろう。
"その通りです、リョウ様"
"私、『ダンジョンアシスト』にはダンジョンマスターのための『チュートリアル』機能がついております"
"『チュートリアル』を開始しますか?なお、『チュートリアル』は一度中断し、再び再開することも可能です"
『チュートリアル』…まあ、受けた方がいいだろうな。
アシストさん、頼む。
"かしこまりました"
"『チュートリアル』を開始します"
"『サブマスター召喚』を行いましょう"
"召喚台の前へお進みください"
扉から見て右側の手前に石で出来た台が現れた。手前には小さな魔法陣が描かれているようだ。
近づいてみると、コアと似た輝きを放つ半透明な板に文字が浮かび上がる。
サブマスター召喚:0P
0P…?ダンジョン内で何かしらのアクションを行う際、全くポイントがかからないなんてあり得るのだろうか?
"それに関しましては親ダンジョンから支援を受けておりますので、ご心配なさる必要はありません"
親ダンジョン?何のことだ。
"申し訳ありません、その情報は『チュートリアル』完了後に開示可能となります"
…そうか。なら、今質問を重ねても無駄そうだな。
仕方ないので、さっさとチュートリアルを終わらせよう。
召喚…ってのはここを押せば良いのか?
"その通りです"
"通常の召喚と違い、『サブマスター召喚』は基本的に一度しか行えません"
"召喚される生き物は様々ですが、少なくとも現段階でこのダンジョンにおける最高戦力となることは間違いありません"
"召喚には召喚主…リョウ様の意思も強く反映されますので、明確なイメージをもって召喚を行ってください"
明確なイメージ…ダンジョンを創る時と同じだな。ある程度はランダムになってしまうらしいが、やはりここは俺に足りない知性を補ってくれるようなサブが良い。
そうなると、魔法が得意だったりするのだろうか。ダンジョンの立地にも多少は影響を受けるはずだから、海に関連する魔物とかがよばれるのだろう。…少し、緊張したきた。うん、よし。いくぞ。
透明なプレートの文字を指でなぞると、その文字が浮かび上がり光の粒となって舞いだした。
一周目は白色の光。
ニ周目は橙色の光。
三周目は銀色の光。
四周目は金色の光。
五周目で虹色の光がさらに強く光ると、魔法陣に溶けるように吸い込まれる。
魔法陣が虹色に輝き、ふわりと床に着地し、どんどん大きくなっていく。
やがて目も開けていられないほど眩しくなって、部屋が神々しく照らし出された。
「お初お目にかかります、我が主。」
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