鬼平主水の思うところ

鬼平主水

『殺めるやつら』あとがき

『殺めるやつら』について①

 昨日をもって完結した本サイトでの処女作『殺めるやつら』。膨大な数の投稿作品がある中で、早速PVがついて驚きました。本当に皆様に感謝です。

 本作の構想自体はもう十年近く前からあったものの、結局こうして文章にできるのは今になりました。

 それというのも、当初は「一人の主婦(今回の美紗のポジション)がお隣の家族がもしかして殺し屋なのではと疑う」というコンセプトでした。そこから殺し屋一家をメインにしたオムニバス的な内容――自分のペンネームの由来の一つにもなっている必殺仕事人をイメージしたような、各依頼ごとにどのような仕事ぶりを発揮するのかを見せるものも考えました。

 最終的には現在のような形になり、依頼者の一人だった主婦が殺し屋の秘密に迫っていく内容となりました。


 ストーリー上のオチは、人によってはかなり唐突に感じたかもしれませんが、はなからこのつもりでした。

 これまで正義を振りかざしていた人物が突然の死を遂げる――美紗のことをうざいと思っていた人は、早く殺し屋にでも殺されればいいと思っていたかもしれません。ですがいざ子供も巻き添えにして死んだとなると、その心境はどのような変化をもたらしたでしょう?

 自分がこのような展開を作ったのはこういう理由です。


 さて、こうした意図を組み込んで書いた本作、個人的には書ききったなと思う反面、しっかりと描けてなかったのではないかという場面もあります。

 キャラ設定に関してはパート2で詳しく書こうと思っていますが、メインキャラの描写不足が目立ったように思います。美紗は頻繁に出てきていたのでそうでもないかもしれませんが、問題は殺し屋一家の方。もう少し殺し屋達の活躍を増やしてもよかったように思います。特に池子は殺しのシーンが一切なかったですからね(依頼者との対話と警察との対話くらいでした)。これをミステリアスさが残っていていいと思う方もいるかもしれませんが。

 また、ご都合主義が過ぎたかなというのもちらほら。『#259』のように、明らかにあり得ないであろうものなら受け入れられるでしょうが、たとえば耕助編の「上司の横暴さに頭を下げられ、その流れで出世する」というのはいくらなんでも現実で聞かないですもんね。展開のためとはいえ、結構無理がありました。

 後は2000字以内にこだわりすぎた気がします。(元々短くせざるを得なかった準備編を除いて)読みやすさも考えてほぼ同じ文字数でそろえていたのですが、よくよく考えれば会話パートの長さもあるので、文字数より行数を考えた方が良かったかもしれません。もっと言うなら、そうしたものにこだわらず、完全に内容で文章量を見ればよかったように思います。


 つらつらと書きましたが、一番は読んで面白いと思ってもらえるか。一人でも多くの方が気に入ってくれたのなら、幸いです。


 次回は本作のキャラ設定を掘り下げようと思います。

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