第103話  ※三人称視点



 <三人称視点>


 異世界のとある洞窟を進んだ最奥に大きな空間がある。


 その空間には、舞台の壇上の様に小上がりが設置されており王座らしき立派な椅子があった。


 その王座には1人の人物が腰を掛けており、その周りには無数のモンスターが膝を付いて頭を垂れていた。


 そして、王座に座っている男が皆に向かって口を開く。


「やっと世界は次の段階に進みつつあるのだな………。」


『はい、主様。』


「準備の方は問題ないか?」


『各部隊とも順調でございます。』


「では、我らも地上の領地を手に入れる為に動き始めるとするか!」


『『『っは!』』』


(作戦通り動いてくれているわね)そんな一向を近くで観察している謎の姿があるのだった。




 世界干渉(地球と異世界が転送陣で繋がった現象)が第2段階に入ろうとしていた。


 世界干渉が第1段階だったこれまでは、1日のうちに転送陣を使うのに人数制限があった。また、強力な力を持つ者の行き来を阻害する力が働いていた。


 その為、ドラゴンやキメラなどの災害級のモンスターが地球へ転送される事は無かった。


 第2段階でも、まだ災害級まで強い個体の転送は難しいが、これまで以上のモンスターが往来する事が出来る様になる。また、人数制限も大幅に緩和される。


 この世界干渉の第2段階が地球人にとっての踏ん張り所である。







 また、異世界の軍事国家であるアメントンガ帝国は、領地拡大の為に地球に興味を示していた。


 アメントンガ帝国は、地球の各国に偵察隊を派遣しており、これまで数ヶ月の間に侵略先を検討していた。


 検討しているだけで行動しなかったのは、近隣諸国との戦争を行なっており、そこまで地球侵略に戦力を裂けない事が理由だった。


 仮に現時点でアメントンガ帝国がフリーの状況であれば、地球は大規模な侵略を受けていただろう。


 これまで、剣と魔法の世界を生き抜いて来た軍事国家と日本人の様な平和な世界で暮らす国が、数ヶ月前の世界干渉が起きた直後に戦争になっていれば………、日本は瞬く間に制圧されアメントンガ帝国の植民地化や隷属国化となっていただろう。それは、今の地球の以上の悲惨な状況となる。




 そんな軍事国家であるアメントンガ帝国は、が地球を狙っているとの情報を諜報部隊よりいち早く掴んでいた。


 その為、地球に対して全面的な侵略は無理だが、地球侵略の足掛かりとする拠点だけでも確保すべく、小規模な侵略軍隊の編成を急いでいるのだった。


 この行動は、世界干渉が第2段階へ入る事を知らないアメントンガ帝国にとって、凄く良いタイミングだった。


 別の勢力は、転移の阻害を考慮して本格的な地球侵略が出来なかった。しかし、アメントンガ帝国はこの別の勢力の動きにつられる形で侵略準備を進められたのだ。


 逆に地球人にとっては、悪い状況である。


 異世界の2つの勢力から、侵略を受ける時が刻一刻と迫っているのだった。



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