第6話 秘密の共有 ※ステータス表示あり


 マイスペースは、思っていた以上に凄い可能性を秘めたスキルだった。

 これなら、当初考えていた…インドア生活も本当に夢ではない。


 あとは、このユニークスキルの事をどこまで正直に秋実さんと共有するかだ………。

 こんな世界になったので、個人のスキル情報は重要だ。

 秋実さんは、信用出来る人だとは分かっているが………直ぐにこの情報を彼女に開示して良いのか………迷い所である。


 俺のスキルを知った上で悪用したい者が、秋実さんから情報を得ようと拉致・拷問するかも知れない。そんなことも含めてスキル情報をするかは慎重に判断だ……。



「秋実さん、これから一緒に行動する訳ですし、お互いのスキル情報を共有しませんか?」


「いいですよ。では、まず私から説明しますね。 私は、回復魔法のスキルを得ました。ヒール(小)とキュア(小)が使える様です。ヒールは傷の回復。キュアは状態異常の回復です。って、スキルは試した事が無いのですが、何故か何となく分かっちゃいました。」


 そう言うと、秋実さんは俺にステータス画面を見せてくれた。


 名前 : 滋賀 秋実

 レベル : 1/50

 スキル : 回復魔法 レベル1

  レベル1 : ヒール(小)、キュア(小)

  レベル2 : ヒール(中)

  レベル3 : **********


 俺は秋実さんのステータス画面を覗き込む。相手のステータス画面も見えるのか。逆も可能な訳だから、気を付けないとな。


「回復役ですね。それは重宝されそうですね!! RPGでも必須のポジションですもんね。」


「はい!前線で戦うのはちょっと……難しそうだったので、回復魔法を授かって良かったと思います。」


 確かに前線で戦っていたら、胸が邪魔で戦い難そうだ……。


「…………冬夜さん、何か失礼な事を考えてませんか?」


 秋実さんの目が怖い……。


「そんな訳ないです。じゃ、じゃあ俺の番ですが、ちょっと特殊なスキルです。『マイスペース』って言うです。」


「っぇえ〜〜〜!!ですか。流石、冬夜さん。凄いじゃないですか。」


 秋実さんは自分の事のように喜んでくれている。実は彼女もラノベファンである。出版社に努めており、ラノベ系の事も以前ちょこちょこ話していた記憶がある。


「偶然ですが、そのようです。どの様なスキルかと言うと。『マイスペース』を設定出来てで、『暗黒ハンク』を配下として召喚できます。今出来るのはそれくらいのようです。」


 名前 : 海堂 冬夜

 レベル : 1/50

 スキル : マイスペース【ユニーク】 レベル1

  レベル1 : マイスペースに配下を召喚可能(2/10) ▽

  レベル2 : オプションカード枠+1枚 (****)

  レベル3 : **********


 俺は、ステータス画面を秋実さんに見せた上で、『暗黒ハンク』をその場で召喚して見せた。

 俺の目の前に大男が現れる。

 一瞬秋実さんは驚いていたが、ハンクが俺の命令に従う上に話も出来ると知ると徐々に慣れて行った。


「試したのですが、設定したマイスペースの外へハンクを連れ出す事は出来ませんでした。そのため、拠点を守る形の戦闘になると思ってます。俺自身は、戦闘スキルを持たないので、ハッキリ言って戦いであまり役に立たなそうです……すみません。」


「そんな事ないですよ。ハンクさんが居れば、ゴブリンなんて楽勝そうですし!まず、敵を釣ってハンクさんの戦闘能力を測って見ましょう!」


 思いもよらない提案だった。

 ずっと待機しているつもりだったが、それだと現状は安全かも知れないが、何も進展しない。


 しかも、時間が経てば、怪物改め。この先、日本がどうなるか分からないが、政府の機能が低下して、法という抑止力が無くなれば、力を付けた者は、善からぬ事に手を染める可能性が高い。


 そんな悪の手に対抗するためにも……秋実さんを守るためにも、最低限の力が必要だ。現状の力を把握して、それを伸ばして行くべきだ。

 そのためまず、モンスターを釣ってハンクの戦闘能力を測るのは、現状出来る最善の手だ。


「……そうだよ!! それは最善の手ですよ。早速やってみましょう。」


 俺は嬉しくなって、秋実さんの手を両手で握っていた。


「急に手を握って来るなんて反則です………。」


 秋実さんは俺に聞き取れないほどの声を出して、頬を少し赤く染めていた。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇


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